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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第四幕   仲間達と世界を股に掛ける男の探遊記
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10 呪いの元凶と特殊な状況に悩まされる噺

「俺の事を弄ぶヤツは許さない。その女もあいつらみたいに……」


 その体からは真っ黒なオーラが漏れ出ている。


 怯える少女の姿はもう側にはなく、教室もなくなり、縦も横も分からない黒い空間が拡がった。


「間違いあらへん、こいつが呪いの元凶や」


 呪い除けにノアからもらっていた霊符が反応する。


「なんかひん曲がった感情やで、呪いその物は大したことないけど、特殊すぎて読み取れんかったんやな。これは逆恨みの類や」


 呪詛に犯される事がなかったのは霊符のおかげ、だがその呪いはメンバーの体に重くのし掛かってくる。


 とにかくこれを何とかすれば解呪も可能になるはず。


「けどな、どうも様子がおかしいんや。どうも特殊なんはこの空間のようやな」


 いつの間にか拘束も解いており、闇男は新たなナイフを取りだし、それで空を切ると、別空間と繋がり、黒い陽炎を浮かべる闇の塊が何十体と姿を現し、敵意を向けてくる。


「ウイック、あんたにこれ預けるわ」

 ノアールが呪詛具を渡す。


「そいつをあの男の体に押し付けてやり、それでどうにかできるはずやから」


 その対敵は闇の塊の奥にいて、簡単には届かない。


「あいつのことはお願いねウイック、周りのやつらは私達がなんとかするから」


 せぇらぁ服を脱ぎ捨てると、マニエルはここに入ってくる前の姿に戻る。


 完全竜人化の状態で敵に殴りかかる。


「攻撃、通用するよ」


 全員が戦闘態勢をとり、殴りかかる。


 これならマナを発揮しなくても、何とかなるかもしれない。


 時間と共に数を減らしていく塊、間もなく男に続く道が拓けるかと思ったら、後ろに飛びながら、またナイフを振るって新たな闇を生み出す。


「殴っている感触がないせいか、少しキツイですわね」


 それなりに力を込めて打たないと倒せない。が、当てた感触がないので疲労も溜まる。


「こういう時、聖光気を操れるミルさんがいらっしゃらないのが、惜しまれますの」


 術が使えればなんの苦労もない相手に、少しずつ体力を削られていく。


「でもなんでぇ~こんな苦労をするのぉ?」


「なんでもなんも、呪術空間みたいな不安定な場所じゃあ、ヘタな事できんやろ」


 ダンルーは踊るように髪を振り回しているので、この中で一番無理なく動けているが、そろそろ飽き始めており、そろそろ終わらせたくなっている。


「不安定ぃ? あのナイフを出してきた時点でぇ、安定しちゃってるじゃなぁ~い。この子達ぃ、上手に踊ってくれないから、つまんなぁ~~~い」


 異変に気付いていた人形神ひんながみが教えてくれる。


 試しにエルラムがエアロポケットを開くが、確かに空間が歪む感覚はない。


「なんだ、秘術使っていいのかよ」


 そうと分かれば、呪いの重みに耐える必要もない。


「これで詰みだ」


 ウイックは“転移てんいの秘術”を使い、闇男の後ろ側に瞬間移動をし、アイテムを目一杯に押し当てた。


 強力な呪詛具は、闇男の怨嗟を吸い込み、黒い空間ごと飲み込んで、気付くと六人はエルラムの工房に立っていた。


「……いったいどうなったんだ?」


「呪詛の封印に成功したんよ。これでこのアイテムは人を呪うことができんくなってん」


 複雑であったり、特殊である呪いを解くには、本来なら長い年月をかけなけらばならないが、その大元を捜しあてて、封じればお祓いは完了する。


「あとはこれを元に解呪法を見つければ、呪われた人を救う事もできるようなるで」


 それとこの呪いを使って、新たな呪詛を組み上げられると、ノアールは怪しい笑みを浮かべる。


「それ、持ってこられたの?」


 ピューレはせぇらぁ服姿のまま、まさかの異空間アイテムのゲット。


 マニエルが羨ましそうに眺めている。


「ワタクシとした事が、まさかそんな事が可能だとは……」


 ピューレはみんなと合わせて上着を脱ぎ、スカートを詰めていたから、エルラムが望む一揃えとはなっていない。


「いいですわ。ワタクシがきっと再現してみせますの。シズさん、申し訳ございませんが、ぶるまぁの後の仕立て生地もお願いしますの」


「は、はい……」


 いきなり戻ってきて、ヤイのヤイのとやり取りがされる中、シズはお茶とお茶菓子を用意した。


「俺、呪いの大元をどうにかすれば、それで終わりと思ってたぜ」


「ウチもこんなケースは初めてや。呪いを生んだんはあの変な男やけど、その犠牲者の無念が絡んで、あの特殊な呪いになってしもとるなんて、ホンマにビックリやわ」


 ノアールは黒の空間での戦闘に参加もせず、鑑定を続けた結果、呪いの封印だけでは解呪に繋がらない事が分かった。


「それで?」

「それでって、なんやねん?」


「いや、この後どうすればいいか、分かってんじゃねぇの?」


 呪いなんて物に係わった事のない男が、専門家に頼りっきりなのはどうか許して欲しい。


「それはしゃあないけど、ウチかて全部が全部、分かってるわけやあらへんのよ」


 わりと順調に、協力者にも恵まれてここまで来られた。


 それだけでもラッキーだったと感謝しなくてはならない。


「けどそれじゃあダメなんだ。結果を出さなきゃ意味がねぇんだ。頼むノア」


 沈黙してしまう猫娘を前に、歯痒さだけが募る。


「あ、あのぉ」


 竜人化を解いて服を着てきたマニエル。

 チャイナドレスをいつものゴスロリに着替えてきたエルラム。


 全員が着席し、手の空いたシズが話に入ってきた。

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