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若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第四幕   仲間達と世界を股に掛ける男の探遊記
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3 新たな印を手に入れるために、山登りをする噺

「メダリオンがあるのか?」


「えぇ、随分と前から分かっていたのですが、ワタクシの実力では、手に入れらることができなかったのですの。スキルアップ、レベルアップをするか、一緒に挑戦して頂ける方を連れて行くかが必要だったのですの」


 本当ならミルとイシュリーに期待していたようなのだが、解呪のために向かう場所を考えると、メダリオンの回収は是非しておきたい。


「さっきのオイタの時、一応ノアールさんにも術は使えそうでしたので、先に取りに行こうと思いますの」


 ここまでの冒険の中で分かった事、ウイックに対して警戒心がなければ、術は成功させられるようだ。


「触られて、気持ちよさそうにしてましたので、だったらメダリオンを、烙印の乙女の数を増やすのがよいかと思いましたの」


 メダリオンはこの霊冥界の、ここより半日ほど歩いた場所にあり、山の頂上に変わり者の妖怪が持っていて、そいつを満足させないともらえないそうなのだ。


「どこぞの魔女様の時と同じパターンだな」


 今度は大妖怪相手に大暴れしなくてはならないのかと、溜め息を溢すが。


「うん? なぁエル、それでなんでまだ、そんな恰好してるんだ? それと歩いてってのは?」


「さすがはウイックさんですね。理由は着いてみればお判りいただけますよ」


 回復ポーションなども用意してくれているので、直ぐに出発し、聞いたとおり半日掛けて登山をし、到着は日暮れ直後だった。


「ずっと薄暗いのに、夜は真っ暗にならないんだな」


 山の麓まで来て直ぐに気付いたが、この山にはマナのエナジーが全く感じられない。


「ここではいくらエナジーを体内に蓄えて来ても、術として発動させる事ができませんの。ですがワタクシの術衣の様に、来る前に道具用に蓄えたマナなら使えますの」


 試しにウイックは指弾を撃ってみようとするが。


「確かに術が練り込めねぇな。これじゃあ身体強化系の術も使えないか」


 これでは空間ストレージのように、使用時にマナを使わないといけないアイテムも使えない。


「それでは入りましょうか。恐らく中で構えて待っていると思いますので」


 正面の大きな扉を開いて中に入ると、外から見た時から明かり一つ灯されていないと感じていたとおり、中は真っ暗で、それでも全員が足を踏み入れると戸は独りでに閉まり、蒼い炎を上げる数多くのロウソクが壁で灯され、室内を明るく照らし出す。


「いらっしゃいましぃ~」


 出迎えてくれたのは、これまたボディーコンシャスな衣装で、露出度の高いド派手に真っ赤な服の、かなりケバイ女。


 金色の髪は両耳の後ろで束ねられ、二本の束の先端は、腰の辺りまで伸びて鞠が付けられている。


「彼女はダンシングドール。土人形から生まれた妖怪、人形神ひんながみですの。出会った頃はあのような、怪しげな恰好をしていたわけではないのですが……」


「あら、エルラムちゃんじゃな~い、おひさしぶりぃ~~~。元気してた?」


 ド派手な羽根を付けた扇をヒラヒラとさせて、腰を振って踊っている。


「ダンシングドールさん、お久し振りですの。そして今日を最期にお別れですの」


 よほど忌み嫌っている感じが伝わってくる。


「あらあら、これまたいつもと同じ、セ、リ、フ♪ スキよねぇ~~~~~」


 これはエルラムでなくても勘弁して欲しい。さっさと用事を済ませて帰りたい気分になる悪ノリだ。


「あら、いつものネコマタちゃんだけじゃあないのね。竜人ちゃんに、トカゲちゃんと、何か変わったゴーレムちゃんね」


 ウイックはエルラムの助言を受け、プロテクターを装着して入山した。


 不思議な事に、いくら強く意識しても感じる事のできなかったマナが、プロテクターでは動力として魔晶石を使っている為、無尽蔵にエネルギーが流れ込む感覚がある。これなら使える。


「貴方もすごく素敵な衣装じゃないエルラムちゃん。あぁ、あたしが貴方と同じくらいの身長だったら、全て頂きたいところ、だ、け、ど、それよりもあたし専用の仕立て人になってもらって、スキな洋服をスキなだけ作ってもらう方がいいかしらねぇ~~~」


 この鬱陶しい喋り方をする人形以外の気配がしない。


 と言う事は……?


「その通りですの。このダンシングドールがメダリオンを所有していますの」


 このパターンはやはり魔女セレーヌの時と同じなのか?


「いいえ、このくされ神が望んでいるのはただ一つですの」


 戦って勝利すれば、勝手に持っていっていいと言われて。


「何度も何度も挑むのですけれど、ここでは法術が一切使えませんので、今までは悔し涙を流すばかりでしたが、このメンバーでしたら、きっと成功するはずですの」


 なんともシンプルなルールだが、内容を確認したウイック達は、ここで初めて戦うのは一人ずつの一対一と知らされる。


「……暇なのか?」


「そぉっ、のとう~りぃ~~~♪ だってだってねぇ、せっかく演舞場まで作ってぇ、踊りたいのに、誰も来てくれないのぉ」


 念のためにメダリオンを確認させてもらって、自慢の演舞場へ通される。


「それじゃ~あ~、始める?」


「誰から行くんだ?」


「そんなのぉ、決まってるじゃない?」


 当然とも言える第一挑戦者が指差された。

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