表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
若くして大秘術士と謳われる男の探遊記  作者: PENJAMIN名島
第三幕   大海原にて天と地を臨む男の探遊記
110/192

33 錬金術師の奥の手と怪物の真っ向勝負の噺

 凶暴化しても、野生の本能という物を失っていない獣は、大きく堅い動く物を前に、距離を置いて無言で威嚇行動をしている。


 このタイミングを見逃さず、アンテとウイックは巨竜に詰め寄り、搭載する半分のミサイルをぶち込む。


『よし、効果アリか!』


 大きく口を開いて竜は荒れ狂い、多くの鱗粉を撒き散らすが、循環空調の効いたウイック達には意味もなく、二人は更に接近しようとするが。


『ウイック、飛んで!?』


 アンテは叫ぶより早くコントロールを奪い、プロテクターはブーストを掛けて上昇させる。


 眼下を一筋の赤い光が過ぎ去る。


『なんだよあれ、ドラゴンブレスか?』


『いいや、今のあれからはマナは関知されなかった。純粋なマグマによる炎だよ』


 一直線に遠くまで伸びていったのに、それは火炎の放射によるものだと言われ、混乱してしまう。


『有り得ない事だけど、そう言う生き物なんだよ。そうだね恐竜やドラゴンとも違う。正に怪獣だよ』


 炎の温度を測って、マグマの成分なども検知し、アンテは自信を持って突っ込んだ。


『おい!?』


『大丈夫、まかせて!』


 自慢のワークボットなら、マグマに落ちてもしばらくは行動可能なこの機体なら、この見た事もない生物にだって怯むことはない。


 ホバーダッシュの高軌道で急接近する球体に、怪獣は再び火炎放射を吐く。


「やっぱりこれくらいなら大丈夫だ。ウイック! 残りのミサイルをこいつに喰らわせて」


 アンテの要求に応え、ウイックは残弾を怪獣の頭部目掛けてぶち込む。


『あれだけの物量を使っても、あの角は折れないんだ。よーし、それなら』


 ワークボットの背中にはど真ん中に、アンテのバックパックに似たサイドアーム接続口が付いている。


 もちろんそこにはストレージ内に収納した、専用のアタッチメントが取り付けられる。


『このドリルアームなら』


 取り付けられたアームには螺旋の槍、勢いを殺すことなく怪獣に突き刺した。


『なんて堅さなの!? まさか通らないなんて』


 ワークボットの更に三倍の大きさの化け物は平気な顔をして、右腕を振り上げて、球体目掛けて拳を打ち落とす。


『嘘でしょ? ただの一発でアームがへし折られるなんて』


 ドリルアームはひん曲がり、接続口近くで真っ二つに折られてしまった。


 それはつまりこの怪物の力は、ワークボットの装甲なんて、簡単に破壊できてしまう驚異を示しているのだ。


 角だけでもどうにかしたかったが、少し距離を取る必要がある。


 バックステップで怪獣の手の間合いから逃れるアンテだったが。


『アンテ!?』


 怪獣はその場でぐるりと回転し、勢いまかせに振り回した尻尾がワークボットを捉え、吹っ飛ばされてしまう。


『へ、平気だよ。右腕を持ってかれちゃったけど、本体にはダメージないから』


『そんなわけあるか! お前、怪我してるだろ?』


 ハッチの中はレッドアラートがなりっぱなし、危険を表す赤いランプが回転し、警報が鳴りやまない。


『マーニー、アンテをセイラの所に!』


 辺りにいる怪獣以外の恐竜たちは、そのほとんどが動けなくなっている。


 ミルとイシュリー、それにマニエルが頑張ってくれたおかげで、大ダメージを喰らってしまったアンテの救出を第一にすることができる。


『どうする? 打つ手がねぇじゃねぇか』


 烙印の乙女達との絆を深め、魔晶石の力を一段階高めた結果を量る試練にしては、あまりにも強力すぎる敵。


 ピューレの願いを聞いてやるつもりだったが、ここは撤退を決断する場面ではないのか?


「ウイックさん、よろしいですか?」


『エルラムか?』


 アンテの誘導はなくても、少し慣れてきたプロテクターの操作。


 黒翼を広げて宙に舞っている法術士の元へ、自力の操作で飛んでいく。


「アンテロッテさんも無事なようですね」


 マニエルが疎通の護符で安心を報せてくれる。


 だがしかし、あの大きなゴーレムを持ってしても歯が立たない相手に、焦りばかりが汗となって流れ出るウイックの手を取り、一つの法案を示してくれる。


「恐らくは間違いないと思うのですが、一度試してみる気はありますか?」


 こんな場面で何を思ってか、エルラムはウイックの右手を自分の胸元に押し当てる。


『なんのつもりだ?』


「あ、いえこれは少し落ち着いて頂こうと、いいですか聞いてください」


 エルラムの見立では、あの怪獣は火属性の中でも最上級のエレメントであると言う事。


「つまりあれは恐竜でもドラゴンでもございません。恐らくは……」


 その存在の正体を見抜き、危険度の高さの謎を解いてみせる。


 それならそれで、まだ打つ手はある。


 エルラムは先だって渡したメモの、ウイックの秘術の更なる可能性を試してみるかを確認する。


『いうまでもねぇ、あいつは許さねぇ。アンテの分もぶちかましてやる』


 ウイックは理力を最大限にまで高める準備に入った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ