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【習作】描写力アップを目指そう企画  作者: 描写力アップ企画管理者
第二回 因縁のラストバトル企画(2017.7.22正午〆)
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レッド-朱色の機械兵装- (同人サークルUNDOT EFFECT(KAITO) 作)

『――敵軍、第六から第八防衛線を突破! 依然、北上を続けています』

『――ジジジ……な、なんだあいつ! ――うぁああああああッッ!? ジジッジ――ッ』

『――敵はたったの一機だろ!? 何をてこずっているんだ!!』


 無線機から、戦況の報告が聞こえて来る。断末魔とノイズが、激戦を物語っている。


『――あ、あれは……。黒地に赤い龍のエンブレム……』


 一瞬の静寂。無線機から聞こえた、敵の特徴を聞き、息をのむ。


『――蒼い、重装甲兵装(アーマード)……だ』


 全身の毛が逆立ち、無線機を握る手に力が入る。



「 「 あ い つ か ァ ぁ あ あ あ あ あ ッ ッ ッ!!」 」



【レッド-朱色の機械兵装- 著:UNDOT EFFECT(KAITO)】


「ば、ばけものぉお」


 強張る隊員。身を隠している瓦礫が、今から入る墓石のように感じた。表情が曇る。

 空になった弾倉を落し、ジャケットから次の弾倉を取り出す。傷だらけのライフルに差し込み、マガジンキャッチを手のひらで叩く。


「だめ、か……?」


 中隊長が死を覚悟した、その時だった。声が聞こえる。


「 そ こ を どけええええええェッッ!!!」


 一人の兵士が、瓦礫を飛び越え前に出た。中隊員ではない。一般兵装ですらなかった。対赤外線塗料の独特のにおいが鼻をつく。最新鋭の、紅い色の軽装甲兵装(バトルギア)


 俺は、力任せに、真っ直ぐに突っ込み、蒼いアーマードを蹴り飛ばした。叩きつけられた建物が揺れて砂埃が肩に積もる。


「紅いバトルギア。あの時の賊か……生きてい――」

「うるせええええええエッッ!!!」


 左足が地面にめり込む。重心が前のめりになった。紅いバトルギアが駆け出す。蒼いアーマードも遅れて動き出す。一直線の突撃を横に避けた。

 突き立てられた右の拳が、肘の辺りまで、ひび割れた建物の外壁にめり込んでいる。


「そのデタラメな攻撃。相変わらずのようだな、全く成長がみられない」


 首をひねり、声の方を向く。フェイスガード越しでも表情が読みとれる。怒り。

 腕を壁から引き抜くと、構造的完全性を失った建物が地響きを立てながら倒壊する。


「だったら何だッッ!!」

「ふっ、言わなければわからないか。本当にあの時のままのようだ。……いいだろう、ならば、もう一度教えてやろう。その身に刻め。ハア――ッ!」


 碧いアーマードが視界から消える。

 鈍い金属音が聞こえる。接触警報がHUDに表示された。装甲を抜けて衝撃が、肺の空気を押し出した。


「うっぐ――ッ」


 100キロ近いバトルギアが軽々と吹き飛ばされた。両脚が離れて無防備な状態。

 蒼いアーマードは、足を止める。電子音。装甲が開く。小さな破裂音とともに、無数の小型誘導弾が放たれる。花火のような音を立て向かってくる。すかさず身体を丸めて耐衝撃体勢をとる。

 瓦礫に叩きつけられるのと同時に、小型誘導弾が着弾する。


「ぐぅ……ッ! おまえの、おまえのせいで! 綾瀬はッ!!」


 爆炎から飛び出す紅いバトルギア。右腕は無くなっていた。バトルギアの配線と生身の血管が絡まり、肉片がプラプラとぶら下がる。装甲は傷が付き、至る所に亀裂が確認できる。


「……アヤセ。このアーマードの持ち主の名。いや……」


 チャージライフルの砲身が回転を始める。薙ぎ払うような銃撃。弾の軌跡が線を引く。


「――今となっては元持ち主、か」

「おまえがああああ!! うぉおおおおおおッッ!!!」


『――ジジッジジジジ……』


 中隊長の無線機にノイズ混じりの無線が入る。EMPの効果が薄れ、電子機器が復旧しはじめていた。


『――ジジジッ、こちらスカイリーダー。ジジ……該当空域まで20秒。目標の指示を――ジッ、ジジ……、求む』


 中隊長は、銃弾で穴が空いたポーチから、発煙弾を取り出す。安全ピンを抜くと化学反応が始まる。投擲する。

 発煙弾はポスッと音をたてると、先端から勢いよく、橙色の煙が吐き出す。


「スカイリーダー! 爆撃要請! グリッドE-4、オレンジスモークを避けて、南側全域を焼き払え!」

『――ジジジッ、目標を目視。安全圏外に退避せよ! 投下する』


 目の前が一瞬、真っ白になる。物凄い衝撃波が地震のように大地を揺らした。

 空爆が過ぎると、一面は火の海だった。


「油断、したな……。――ッ!」

「グゥハッ……」


 高振動ブレードが真っ赤な装甲を貫いていた。刃を伝って、血が滴る。吐血が続く。


「ぁっ……綾っ瀬ッ! ……仇、とったぞ」


 蒼かったアーマードの装甲は、噴き出す鮮血で、真っ赤に染まっていた。ブレードを引き抜くと、アーマードの膝が折れる。

 二機の装甲兵装は、燃えさかる業火に照らされ、一段と強く、朱色を放っていた。


…………。

……。

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