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【習作】描写力アップを目指そう企画  作者: 描写力アップ企画管理者
第七回 たのしいお仕事企画(2019.4.27正午〆)
217/268

発掘商人は儲からない (相沢 洋孝 作)

※作者本人ページでも同作品を公開しています。

 砕けた窓、焼けたコンクリートビル群、それらは戦場跡地。


 そしてお宝の眠る場所だ。問題はここから出ることだったりする。




 「くそ、何でこの辺りの防衛システムは生きているんだ?結構な数のウォーカーいるじゃねえか」




 プロテクトウォーカー、それは完全な人型のロボット歩兵である。高性能な武装も持つことができるソルジャーモデルもいるが、生産数が少なく、よく出てくるのは汎用ロボットにオプションをつけたモデルとなるウォーカーがメインとなる。戦争前には消防や警備から家事、清掃、販売員という風にマルチな活躍を可能とする名作だが、俺たち発掘屋にとっては厄介な奴らだ。




 何しろ、ウォーカーは機械だから痛覚がない上、全般的に装甲が厚い。通常の火薬式銃器では何発も使わないとダメという物だ。


 やろうと思えば接近してハッキングして敵味方識別システムを誤作動させて同士討ちさせることもできるが少し時間がかかる。




 仕方なしと取り出したのは大口径の対戦車ライフルだ。


 終末大戦の結果、放射能に汚染され、異常な未知のエネルギーによる空間歪曲より魔法と科学が融合した世界で戦後生まれの人類には皆、生まれついてストレージとステータスというシステムが備わった。


 ステータスのうち、筋力を鍛えればストレージの容量が増え、体力が上がれば銃弾も防げる、知力が上がれば様々な改造もできる。敏捷が上がれば足が速くなり、幸運次第ではレアなアイテムが拾えるとかあるらしい。




 その結果として対戦車ライフルなんていう前世代の化け物も持ち歩いて使えるようになっている。


 徹甲弾を装填し、狙いをつける。激しい反動と轟音と共に撃ちだされる銃弾は人間相手なら、かすめただけでも殺せる銃弾だが、ウォーカーなどの無人兵器相手だと装甲やセンサーユニットを撃ち抜いて内部を壊すしかない。




 逃げるのも選択肢だが、ウォーカーは1機いると数機は確実にいるという連携プロトコルが組まれているらしく、囲まれるか、後ろから撃たれるかという状態。




 ゆえに仕留めないと逃げられない。貴重な徹甲弾と無理矢理自作した対戦車ライフルも惜しむことなく使うしかない。


 何度も何度も轟音を鳴らし、徹甲弾を撃ち込む。やらねばやられるという状況下、反撃されて遮蔽物に大きな杭やゴム弾を打ち込まれたりもする。




 そんな中、ウォーカーのそばで暴れまわる大きなモンスターが現れた。スーパーミュータントだ。


 奴らは魔力と放射能の相互作用で巨大化したもので、一説ではオークとかゴブリンキングとかの大物だったりする存在だ。そんな奴らが手にしているのは重いスレッジハンマーだったり、アサルトライフルやミニガン、中には小型核弾頭を持って殴り掛かってくる奴もいる危険な種族だ。




 この三つ巴の混乱ならいけると踏んで逃げだし、とにかく街を目指した。後ろの方で異常な爆発音が鳴り響いた上、携帯しているガイガーカウンターが若干数値を変動させた。奴らの中に小型核弾頭持ちがいて自爆したようだ。




 武装した警備兵とミニガンを持つレストアされた人型装甲兵器PT-G乗りがいる検問とバリケードを抜ければ昔の学校の校舎跡を要塞化したそこはバザーなような状態の街だった。ジャンクに食い物、武器に弾薬、何でもそろう。財産さえあれば女も抱ける。そういう場所だ。 




 「よう、生きていたか。で?今日は売りか?買いか?」


 無愛想な店主に聞かれ、商品を取り出して見せた。




 「両方だ。みてみろ」




 「マジかよ。戦争前のコーヒー豆と紅茶の茶葉、それも未開封物かよ。こっちはラベルが汚れているが、同じく未開封のワイン、しかも量もあるか。これは結構な価値あるぜ。チップが500って所だな。で?買いは何だ?言ってくれ」




 「ウォーカーとドンパチした。薬莢は集めたから火薬と弾頭。もしくは50口径の徹甲弾を頼む」




 売りに出す商品の価値と欲しい商品の価値を考えた店主は悩んでいた。




 「あー。最近、ウォーカーが良く出るようになったらしくてな。徹甲弾は人気だ。そもそも50口径なら徹甲弾じゃなくていいだろう。それと、そのガラクタ銃、修理したほうがいいな。なんだったら比較的出回りやすいバトルライフルがお勧めだ。弾も部品も手に入りやすいし、ウォーカー相手なら十分だ。スーパーミュータント相手はさすがに厳しいが」




 無理矢理、50口径弾を撃てるように作った自作の銃だから仕方ないが、修理用の素材と弾薬自作用の火薬と弾頭を買うことにすれば差額は100チップの儲け。この辺りの街なら飯付きの宿に10日は泊まれるが、贅沢できない。




 命というチップを糧にギャンブルする冒険のスリル。発掘屋は必要とされるが儲からない代わりに、スリルがたまらないから辞められないのか。辞めても潰しがきかないから辞められないのか。因果な商売だ。




 まあ、どちらにせよ。これで食っていくしかない

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