ミルの脳内絵日記 秋1
砦にも謎のキノコが生えてるけど、スノウレア山の麓の森にも種類の違うものが生えてる。
可愛いけど、これ絶対に毒あるよね。
キノコの匂いを嗅いでから笑いが止まらないんだけど、砦のみんなは私の異変に気づいてくれない。
私いつもこんなにヘラヘラしてる?
ルーチェはもう走れるので、クガルグも一緒に三人で追いかけっこをしていたら、ノッテが文句を言っている。
ごめんごめん、でもノッテはまだ目も開いてないじゃん。
仕方ないのでノッテを頭に乗せて走る。ノッテも楽しそうだ。
ルーチェは性格はルナベラ似で、とてもいい子だ。
私がドジをして転んだ時は、見てないふりをしてくれる。
ノッテは猫なだけあって毛づくろいされるのが好きみたい。
同じく毛づくろい好きのクガルグにやってもらってる時は大人しくしてるのに、毛づくろいが下手な私がやると「そこじゃない!」というふうに文句を言われる。
砦で四人で昼寝をしていたら、支団長さんがまた急に鼻血を出してしまった。
私たちを見た途端に鼻血が出た気がするけど、大丈夫かな? 私たちのせいじゃないよね? だって昼寝してただけだし……。
子ギツネの姿でいると毛をもふもふされるけど、人の姿でいるとほっぺをもちもちされるんだよね。
秋になって、地面に映る影も長くなってきた。
前世でやっていた影踏み遊びをクガルグと一緒にしたけど、影が長いのですごく簡単に踏まれてしまう。
この国でもハロウィン的な行事があるらしく、コルビ村の子供たちが砦にもお菓子をもらいに来るというので、私はクガルグと一緒に仮装して待つことにした。
私は幽霊、クガルグは骸骨だ。支団長さんはもっと可愛い仮装をたくさん用意してくれてたけど、私たちはこれがよかったのだ。
トリックオアトリートをしに来たコルビ村の子たちは、謎の才能と芸術性を発揮した完成度の高いキックスの仮装――ゾンビを怖がって、私やクガルグには気づかないまま逃げ帰ってしまった。
秋と言えば焼き芋だけど、この国にサツマイモはないみたい。
ホクホクの焼き芋食べたい……と思っていたらごはんに蒸かしたかぼちゃが出た。
うーん、焼き芋欲はかぼちゃでは収まらない……と思いきや、甘くて美味しくて収まった!
私の頭ボールに続いて、ティーナさんがクガルグの頭ボールを作ってくれた。
ティーナさん作なのに、このボールだけはやたらと出来がいいんだよね。いつもの独創性を発揮して、私やクガルグとはかけ離れたものが出来上がったら、噛んだり蹴ったりしやすくて遊びやすかったんだけど。




