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公爵令嬢は我が道を行く  作者: 月圭
第二章 家族の定義
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2/25 副作用注意報


 もう一度言おう、何で、私はまだここにいるんだろうか。


 私のもともとの計画では、ああやってエルの憎しみを煽って煽って煽りまくって力を引きずり出して、あわよくば貴族としての肝の太さを獲得してくれたらなって思ってた。そんで、それは、概ね成功したって言える。正直エルシオ少年、根本的にイイ性格してるし。あの突っ込み体質はキレがある。



 まあともかく、この計画では私が『悪役』としてキャスティングされている。実際下衆顔であの子を『裏切った』。まあその後ちょっとやりすぎたっていうか調子乗りすぎたのは自覚してたのでフォローいれたけど。



 でもね、あんだけ言われてそれでも受け入れられるとは思っていなかったの。



 メリィにも言われたもの、そこまでやるのはいかがなものかと。エルシオ少年はまだ十歳で、公爵家に来てから半月しかたっていないのに、と。



 まあ押し切ったのは私だけど。



 たとえそれが酷であるとしても、目的は結構いろいろあった。裏も表も。


 失敗しても、出来なくても、『私』がいるから大丈夫だという考えは早いうちに切り捨ててもらわなければならなかったしね。



 だから私の荒療治終了後の予定としては二択あった。



 一つはエルシオ少年が『覚醒』できなかった場合。まあこれは確率低いと思ってたけど。だってため込む性格の割には現状に耐えて己の力を磨くばねがある子だもの。『裏切り』に傷ついて絶望するより『ふざけんな』と怒髪天を衝くと思ってた。……それでも私の予想が外れていた場合には、まあうちの跡取りとしてはちょっとまだ力不足ってことだ。フォローをもっと明確にがっつり入れて、私は表からは消え裏から足場固めから入る予定でした。



 もう一つが『覚醒』できた場合。予想通りこっちになったわけだが、この場合は私は事後処理にめどが立った時点……ま、ここらでフェードアウトする予定だったのだ。だってその胆力があれば領主としてやっていける根性も疑いないし、トラウマも克服できてるし。『悪役』はあくまで私だから、『ランスリー公爵家』そのものには矛先が向かないように誘導してたし。精神的ケアはメリィを筆頭にうちの優秀な使用人さんたちがいるから問題ないし。



 公算としては処理後にフェードアウトの予定となる確率の方が高かった。


 まあそろそろ国王辺りがちょっとうざかったのもあるし。



 めっちゃ準備万端だった。立場に縛られるのって、それはそれで利用できる力も多いけど面倒な柵も多いからね。



 でも、だ。



 うっきうきで出て行く準備してたら、にっこにこなエルに捕まった。


 ……。………。



 誰だお前。そんな黒い笑み浮かべるような子だったっけ。イイ性格してるけどどっちかっていうと愛され突っ込み属性だったような。


 思ったけど、表面笑顔で聞いてみる。



「……なにかしら?」


「……ちょっと語り合いたくて」



 エルはジルに劣らぬ笑顔だった。


 ……。………。



 ……やべえ、副作用だ。



 儚げ美少年が! コミュ障だったのに! まさかの!



 外見詐欺腹黒属性を獲得しやがった!



 や、やりすぎたあああ!?



 とか思ってるうちにサシでお喋り☆に移行して。


 ……イマココ。








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