092:指導と実践
雅絵にスキルガチャを追加で二十連回させた後、まなみは艦治の腕を取って医療施設へと向かった。
「病院で何するの?」
≪雅絵ちゃんとお話があるから、かんちは待っててくれる?≫
艦治は先ほどから無言で付いて来る雅絵を振り返る。
まなみに乞われるまま、ナギにスキルショップで排出する内容についてまなみの指示に従うように伝えたが、それに付随する何かだろうと考えた。
「じゃあ今日の戦利品を買い取りしてもらいに行くよ」
≪うん、良いよー。多分そんなに時間掛からないと思うし≫
艦治はまなみと別れ、司(ナギ)と共にロープウェイへと向かって行った。
≪じゃあ、行こっか≫
「……はい」
まなみは何故艦治と別れたのか、今からどこに向かうのか、一切の説明を雅絵にせずに先を歩く。
目的の部屋に辿り着き、扉を開けて中に入ったまなみが、雅絵にも入るように促す。
「……ここは?」
その部屋は手術準備室ではなく、ソファーが置いてあるような個室でもなく、ただ部屋の中央に二組のベッドが置かれているだけの部屋だった。
≪雅絵ちゃん、そこに寝てくれる?≫
「待って下さい! 万が一にも艦治様に手を出さぬよう性欲抑制スキルを与えられたのは理解出来ます。
しかし、避妊手術を行う理由を教えて下さい! お二人を全力で支えるつもりではありますが、だからと言って私の子宮と摘出するのはさすがにやり過ぎではないでしょうか!?」
ここでようやく、まなみは自分が何の説明もせずにこの部屋に連れて来た事に思い至る。
≪あー、ごめんごめん。そんな怖い手術無理矢理受けさせたりしないから安心して。あと、避妊手術じゃなくて排卵抑制手術ね。排卵されなくなるから生理も来ないんだ。まぁそれは良いとして≫
雅絵に説明をしつつ、まなみは先にベッドへ上がり、雅絵の方を向いて正座する。
≪雅絵先生、かんちを私以外見えなくさせる房中術とやらを教えて下さい≫
「…………はぁ」
雅絵は何故ここに連れて来られたのかを理解して、思わず気の抜けた声を漏らした。
「えっと、お教えするのはもちろん問題ないんですけど、その、殿方を模したものがあった方が教えやすくてですね……。あと、裸になった方が教えやすいので、先にシャワーを浴びたいなぁと」
≪あー、全部問題ないよ。仮想空間で教えてもらうから≫
「仮想空間……?」
≪そそ。とりあえず寝転んでー。あとはこっちでやるから≫
相変わらず説明不足のまなみだが、雅絵は自分の身体に勝手にメスを入れられないのであれば良いかと思い、言われたようにまなみが寝転んでいるベッドの隣のベッドへと寝転ぶ。
≪はい、じゃあ目を閉じて下さーい≫
雅絵が目を閉じる。
「はい、開けて良いよー」
「……はい?」
目を開けるとそこは、いわゆるソープランドのプレイルームだった。
シャワーがあり、浴槽があり、床にはエアクッションが置かれ、風呂桶にはローションが入っている。
「先生、私に性技を教えて下さい! ここの時間経過は現実世界の十五分の一になってるから、たっぷり濃厚にお願いします!!」
表情を変え、声を張るまなみに詰め寄られて、雅絵はここが現実世界ではないのだと実感した。
「分かりました、お教えします。ですが、殿方を模したものがないと……」
「大丈夫、ちゃんと用意してあるんだよねー」
プレイルームの扉を開けて、全裸の博務(ナミ)が登場した。
「あ、私はあの人に指一本触れないよ? 見てるだけだから、じっくり教えてね?」
◇
艦治が買取店で戦利品を換金し、そのまま神総研の寄付用口座へ振り込んだ後、ナギのすすめで海中秘密基地へ転移した。
浴室や室内の家具などを確認し、心乃春と心乃夏に細かい移動や入れ替えを指示していると、ワープゲートが開いてまなみがやって来た。
≪お待たせ、待った?≫
「んー? いや、そんなに待ってないよ?」
艦治の視界に映っている時計で、別れてまだ一時間ほどしか経っていない。もっと時間が掛かるものだと何となく思っていた艦治の手を引き、まなみが浴室へと連れて行く。
≪海中を見ながらお風呂に浸かれるって何か素敵だねー≫
まなみの手によって艦治の服がするすると脱がされていく。艦治はてっきり仮想空間内で性別転換した上で犯されると思い込んでいた為、ほっと息を吐く。
「そうだね。ここならカーテンがなくても誰も覗けない、しぃっ!?」
全裸になり、このままシャワーを浴びるのだと思っていた艦治だが、まなみにその胸板に顔を寄せられ、舌で乳首を舐め上げられた為、驚きで声を上げてしまった。
まなみは艦治の左乳首を口に含み、左手で右乳首を撫で、右手を股間に伸ばす。
≪へへっ、可愛い声が出ちゃったね。いーっぱい気持ち良い事して、いーっぱい可愛がってあげるからねぇ≫
まなみは左乳首から口を離して、艦治の腹筋やへそにキスを落とし、少しずつ下へ下へと舌を這わしていく。
≪わー、すーっごくおっきくなってるよ?≫
艦治は指一本動かす事が出来ず、されるがまままなみに身体を委ねるのだった。




