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超巨大宇宙船が落ちて来てから十八年が経ちました:今日からあなたが艦長です!!  作者: なつのさんち
二〇四七年

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079:特別視される理由を作る

 探索者累計ポイントランキング一位と二位との邂逅を果たした後、艦治(かんじ)とまなみと(つかさ)(なぎ)は幻想(ゲーミング)迷宮(ダンジョン)に入り、目に入る妨害生物(モンスター)を殲滅して行った。

 艦治とまなみが戦闘担当で、ナギが戦利品回収担当だ。ナギは艦治とまなみが共有している亜空間収納にアクセス可能だ。


≪これだけ暴れても外の人にはこのすごさが伝わらないんだから、もっと何か分かりやすい方法を取った方が良いと思うんだよね。この前のナギの緊急記者会見みたいな感じで、かんちの事を名指しするとかさ≫


≪すぐに手配致します≫


≪ナギ、ストップ。ただ強いからとかただすごいからとかの理由では根拠が弱いと思うんだよね。

 累計ランキング一位と二位でさえ僕ほどの優遇を受けてないんだから、それ以上の分かりやすい成果がないとダメじゃない?≫


≪例えばどんな成果がある? かんちの考えだと、かんちが累計ランキング一位になったとしても、それだけでは根拠になりにくいって事だよね?≫


 累計ランキング一位のルーエンスが、現状で神州丸(しんしゅうまる)から艦治ほどの優遇を受けていない為、累計ランキング一位を奪ったとしても、優遇する根拠としては弱いと思われる可能性が高い。


≪それでは迷宮の解放という根拠をご用意致しましょう。数あるうちの一つの迷宮を攻略し、防衛機能を停止させて通常の船内へ戻したという実績があれば、特別に優遇する理由となるのではないでしょうか?≫


≪でもそれって地球人にとっては一つの金鉱脈を取り尽くしたって事になるんじゃない?

 地球人の本音としては、いつまでも神州丸(しんしゅうまる)の迷宮から戦利品や採掘品を得られる状況が続いてほしいと思っているのに、僕が一部とはいえ迷宮を解放してしまったら、やっかみの目で見られるんじゃないかな?≫


≪はい。なので解放するべき迷宮は一つ。侵略(インベーダー)迷宮(ダンジョン)です≫


 侵略迷宮とは最も難易度が高い迷宮で、死傷率がダントツに高い。

 モンスターは基本的には探索者を殺そうとはしないが、侵略迷宮には侵略者(インベーダー)と呼ばれる地球外生命体が存在し、探索者を問答無用で殺しに来るのだ。


 このインベーダーは、神州丸が宇宙を航行している際に攻撃を仕掛けて来た敵性生命体が送り込んだ人工生命体で、神州丸を内部から侵略するべく活動している。

 それほど知能は高くないが、その分殺傷能力や破壊能力が高く、神州丸は何とかインベーダーを侵略迷宮内に閉じ込めている状況だ。という設定の迷宮である。


≪侵略迷宮内で発生するモンスターや採掘資源は、インベーダーが自己増殖する為に消費されているという設定になっている為、得られる戦利品などは非常に少ないので、侵略迷宮がなくなって困るという探索者は少ないと思われます≫


≪何でそんなに危険で旨味がない迷宮に、わざわざ穂波(ほなみ)さんやせーぎさんは入ってるの?≫


≪一定期間インベーダーを討伐しないと、外に溢れ出して神州丸全体が被害を受けると伝えている為です≫


 探索者を旨味のない侵略迷宮に引き付けて攻略効率を下げる事で、いつまで経っても艦橋や館長室が見つからない事に対する疑問を小さくさせるのが目的だ。


≪でもお金にならないなら皆が行きたがらないんじゃないの?≫


≪その為のポイントシステムです。モンスターよりもインベーダーを倒した際に得られるポイントの方を高く設定しており、スキルショップや装備屋で交換が出来たり、累計ランキングが上がりやすくなったりするので、やりがいを感じられるようにしております≫


 ナギが神州丸を地球に墜落させた理由は、自らの主だった三ノ宮(さんのみや)伊之助(いのすけ)と同じDNAを探す事だ。

 発見するのに何十年、何百年掛かるか分からない計画だった為、探索者をより長い期間神州丸に寄せ付ける必要があった。


 甘い蜜を用意するだけであれば、神州丸がもたらした科学技術を応用して、効率的に資源を回収する為のロボットや装備品を開発する可能性がある。

 そう考えたナギは、自ら提供する装備品を用意しつつ、インベーダーという外的要素を用意して、迷宮攻略を鈍化させる為の機能として使用しているのだ。


≪つまり、侵略迷宮を攻略する過程で累計ランキングが上がりやすく、攻略し切って解放まで行えば、神州丸が僕を特別視する正当な理由に出来るって事か≫


≪仰る通りです≫


 三ノ宮伊之助のDNAを持つ艦治が現れた今、ナギにとっては迷宮システム自体が不要となってしまった。従って、侵略迷宮の存在意義もない。

 艦治が侵略迷宮の攻略を進める事でナギに特別扱いされている根拠を示し、侵略迷宮内の全てのインベーダーを破壊し尽くして迷宮の解放を行う事で、より艦治が特別な存在であると知らしめるのがナギの思惑だ。


≪なるほどなぁ。

 まぁ戦利品にこだわってる訳じゃないし、これからは侵略迷宮を中心に活動しようか。

 あ、穂波(ほなみ)さんと真美(まみ)さんにも協力してもらおうか。そしたら僕だけじゃなく<珠聯璧合(しゅれんへきごう)>が特別って事に出来るし。

 穂波さんと真美さんが空飛ぶ車で神州丸の行き来に使ってもおかしくないよね≫


≪それ良いね。多分喜ぶと思うよ! 侵略迷宮を本気で攻略しようって探索者がいなくって、奥まで行けてないから興味あると思うし≫


≪じゃあ決まりって事で。

 もう時間が遅くなって来たからここら辺で引き返そうか≫


≪りょーかーい!≫


 艦治とまなみは時間が遅い事を理由に、戦利品を換金せずに帰宅した。

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