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超巨大宇宙船が落ちて来てから十八年が経ちました:今日からあなたが艦長です!!  作者: なつのさんち
二〇四七年

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069:探索者累計ポイントランキング入賞

 止めどなく打ち上がり続ける花火を眺めながら、艦治(かんじ)とまなみは進学する学部について話し合っていると、艦治へ潤一(じゅんいち)からの着信が入った。


≪おっと、村藤さんから着信だ。ちょっと出るね≫


≪はいはぁい≫


 ちなみに、電脳通話は複数個別に同時通話する事が可能で、艦治は並行思考スキルをインストールしている為、まなみとの電脳通話が途切れる事はない。


≪もしもし、井尻です≫


≪村藤でございます。土曜日に申し訳ありません。少々気になる情報が出回っておりますので、お耳に入れたくご連絡させて頂きました。

 今お時間を頂いてもよろしいでしょうか?≫


≪大丈夫ですよ、何でした?≫


≪実は弊社がドラゴンのモンスターコアを入手した事がきっかけとなり、井尻様のお噂が巷で流れておるようですので、念の為お知らせしておこうと思いまして≫


≪僕の噂、ですか?≫


≪そのご様子でしたらまだご存じなかったようですね。

 探索者は探索累計ポイントでランキング付けされ、神州丸が電脳ネットにて千位まで公表しているのですが、井尻様のお名前が新規でランクインしております≫


≪……つまり、ドラゴンを倒した事で、僕の探索累計ポイントが一気に千位以内になった、と?≫


≪その通りでございます。

 弊社はドラゴンのコアを入手した事をわざわざ公表致しておりませんが、隠してもございません。

 ドラゴンのコアのような特別な情報はすぐに探索者業界に知れ渡ります≫


≪僕が火竜を倒すところを見ていた探索者と、ドラゴンのコアの買取情報。そしてランクインした新規探索者である僕の名前が合わさって、僕の顔と名前とドラゴン討伐の情報が出揃い、僕が特定されたと≫


≪そのようでございます≫


 艦治がドラゴンのモンスターコアにそれほどの価値があると知らずに倒した事で、不用意に目立ってしまった。


≪各国からの国籍変更の勧誘、国内企業からの専属変更の勧誘、犯罪グループからの接触など、様々な厄介ごとが降り掛かる可能性がございます。

 コアの買い取りの際に私がランキングの事を申し上げておれば、もっと早く対応出来たかも知れず、至りませんで申し訳ござません≫


≪いえ、気にしないで下さい。面倒事も何とかなると思いますし≫


 艦治が神州丸から特別に優遇されている優秀な探索者であると示す必要があった為、ランキング上位入賞は決して悪い事ではない。

 ナギの警備のお陰で、面倒な接触を避ける事も出来るだろうと、艦治は考えた。


≪ちなみに僕のランキングって何位なんですか?≫


≪一九九位だと聞いております≫


 艦治にはそれがすごい事なのか、そうでもないのかの判断が付かなかったが、とりあえず潤一に礼を言って、通話を切った。


≪かんちの声しか聞こえなかったけど、ある程度は分かったよ。今電脳ネットで見たけど、初登場一九九位は歴代一位だって噂になってるみたい≫


≪ナギ、探索者累計ポイントランキングに入賞するの、何で教えてくれなかったの?≫


≪いずれ一位になるのは間違いありませんので、些細な事だと判断しておりました。

 ご指示通り、他の探索者と同様のポイント算出方法で計算した正式なポイント数となっております≫


≪でもあの場所に火竜を出現させたのはナギだよね……≫


 累計ポイントを管理しているのはナギであり、通常は出現しないはずの幻想(ゲーミング)迷宮(ダンジョン)中層に火竜を出現させたのもナギである。

 艦治がある程度周りの目を気にせず生活出来るよう、外交大使ナギに目を掛けられており、それだけの実力がある探索者であると示す必要があったので、現状は決して悪い事ではない。


≪……まぁいっか。外国とか企業からの勧誘は、最悪探索者保護法を盾にして断れば良いんだよね?≫


≪言い寄って来る女も全員通報してやれば良いよ≫


≪いや、さすがにそれは……。きっぱりと断るから心配しないで≫


≪うううぅぅぅ……、ナギ、私に受験勉強教えてくれる家庭教師ヒューマノイド作って。かんちそっくりなの!≫


≪止めて! 何か嫌だ……≫


≪何でぇ!? 良いじゃん、離れていてもかんちの事チュッチュ出来るんだよ!?≫


≪受験落ちるよ?≫


≪……落ちないもん!!≫


≪ナギ、僕に似せたヒューマノイドを作っても良いけど、めちゃくちゃスパルタな家庭教師にして。ちょっとでもサボろうとしたらムチで打って≫


≪えぇ!? ……それはそれで≫


≪やっぱり今のナシ!!≫



 打ち上げ花火を堪能した二人は、鳳翔の製造区画へと移動して、ヒューマノイドの製造工場を見学する事となった。

 すでに自分そっくりのヒューマノイドが執事服を着て立っていたのを見て、艦治は卒倒しそうになった。


≪でもこの子が私とかんちの子供だとすれば、かんちにそっくりでもおかしくないんだよ?≫


≪じゃあまなみは井尻家の家事ヒューマノイドの顔をまなみそっくりにしたとして、僕がその家事ヒューマノイドは娘みたいんなもんだって言ってデレデレしてたらどう思う?≫


≪絶対にダメ!!≫


 二人で話し合った結果、伊之助(いのすけ)が残した映像の中から伊之助の子供達の顔写真を見比べて、艦治ともまなみとも良く似ている子供の顔をモデルとする事で落ち着いた。

 すぐに艦治そっくりのヒューマノイドが調整され、新たな顔へと変更された。


(つかさ)、よろしくね。勉強は優しく教えてね≫


≪かしこまりました、お嬢様≫

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