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超巨大宇宙船が落ちて来てから十八年が経ちました:今日からあなたが艦長です!!  作者: なつのさんち
二〇四七年

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066:湖畔のロッジ、二階テラス

≪いやこれは怖過ぎる! 恐怖耐性スキルとかそんなん関係ないよ!!≫


≪いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!≫


 艦治(かんじ)とまなみは鳳翔(ほうしょう)から小型宇宙船に乗って移動し、現在は宇宙遊泳を楽しんでいる。

 オレンジの横縞を持つ巨大ガス惑星、木星が二人の視界いっぱいに広がっている。


≪詳しい解説をさせて頂きます。あちらに見えます大きな渦は……≫


≪ストップ! ナギもう良いよ!! 鳳翔の中に帰りたい!!≫


≪見てたら不安になるぅぅぅーーー!! あの渦からにゅにゅにゅって触手が伸びて来て攫われそうな気がして不気味ぃぃぃーーー!!≫


≪うわぁぁぁ!? 触手とか想像したらうわぁぁぁーーー!!≫


≪帰る帰る帰るぅぅぅーーー!!≫



「はぁ……、めちゃくちゃ怖かった……」


≪どうせ宇宙遊泳するなら地球を見たかった……≫


「地球が見える場所での宇宙遊泳は、地球から観測される可能性がありますがよろしいですか?」


「いや、今の時点ではよろしくないね」


 艦治とまなみは鳳翔の中へ戻って来た。今は鳳翔内部に人工的に作られた湖を眺めながらお茶をしている。

 艦治とまなみは湖畔に建てられたロッジの二階テラスに置かれたリクライニングチェアに寝そべり、抱き合いながら先ほどの恐怖を癒している。

 テラスは湖へとせり出しており、真下が湖になっている。


「ふぅ……、ようやく心臓が落ち着いて来た」


≪もうちょっとこのままでいようよぉ……≫


 テラスには家事ヒューマノイドが二体控えており、微笑ましそうな表情で二人を眺めている。

 ナギとナミはそれぞれ白雲とシルヴァーに乗ったままで、白雲とシルヴァーを遠隔操作しているはずの翔太(しょうた)は特に発言していない。

 翔太は先に述べた通り、用事がない限りは見守りに徹するつもりのようだ。


「ナギ、迷宮(ダンジョン)で倒した妨害生物(モンスター)が残すコアとか戦利品とかって、枯渇する事はないの?

 あれだって無限に出て来る訳ではないよね?」


 艦治はまなみの頭を撫でながら、気になっていた事を質問する。


「もちろん無限に出る訳ではありませんが、資源開発をしており適宜補充可能ですので、すぐに枯渇する事はございません」


「資源開発? それってもしかして、地球じゃなくて別の惑星とか衛星で?」


「他の銀河系の惑星などです」


 ナギは太陽系や天の川銀河の資源は将来の地球文明の為に残しつつ、早々には手を伸ばせないであろう、地球から離れた銀河系にて資源の採掘などを進めていると説明する。

 この地球に辿り着くまでに複数の拠点を築いており、ワープゲートで資源を運び込んでいるので、それほど手間は掛かっていないそうだ。


「それって別の知的生命体への敵対行為になったりしないの?」


「我々ほどの高度な文明を持っている生命体はおりませんし、量もそれほど多い訳ではありませんので問題はないと考えています」


 地球規模では途轍もないほどの資源量だが、銀河系規模で見ると大した量ではない。

 尺度が違い過ぎるので、艦治はあまり考えない事にした。


「そう言えば、プールとか露天風呂とかは聞いてたけど、まさか湖があるとは思ってなかったな」


≪えー!? プール良いじゃん、入りたい!! あ、でも水着ないや……≫


「ははっ、この湖には僕達以外誰もいないし裸で泳げばいいじゃん」


 艦治は冗談のつもりで言ったのだが、まなみがすくりと立ち上がり、その場で服を脱ぎ始めた。


「ちょっ!? ごめん、冗談のつもりで言ったんだけど……」


≪えー、何それひどくない!? 私だけ脱がせておいてかんちは寝そべりながら私の裸体を眺めるつもりなんだ!!≫


「いやいや違うよ、違うけど……」


 やり取りをしている間も、まなみは脱ぐのを止めずに全裸になってしまった。


「ってかここで脱いでどうすんのさ……」


≪湖で裸で泳ぐって一回やってみたいなぁって思ってたからさっ≫


 まなみは腰に手を当て、艦治が脱ぐのを待っている。


「分かった、分かったよ」


 艦治はまなみの眼差しに耐え切れず、同じく服を脱いでいく。


≪何で背中向けるの? ねぇ、ねぇ、ねぇってば≫


「恥ずかしいものは恥ずかしいんだよ。ってか男女逆じゃん……」


 艦治はまなに追い立てられ、二階テラスの手すりまで追いやられてしまった。


「……ナギ、この湖って水深どれくらい?」


「このロッジ周辺は水深十メートルほどで、湖で一番深い箇所で五十メートルになっています」


「十メートルなら大丈夫か」


 艦治が服を脱ぎ切り、手すりに足を掛ける。


≪え、かんち何するつもり!?≫


 手すりに両足を乗せて、ゆっくりと立ち上がる艦治。身体強化スキルでバランスを保っている。


「自分の家から湖に飛び込むシーンって、結構憧れてたんだよね」


 まなみの方へと身体ごと振り返り、艦治は両手を広げて背中からゆっくりと倒れていく。


ザッパーーーン


 空中で体勢を整え、艦治は頭から垂直に湖へと飛び込んだ。水は澄んでいるが、魚や虫などの生き物の姿は見られない。

 艦治が湖から顔を出すと、ちょうどまなみが飛び降りたところだった。艦治の顔にまなみの胸がぶち当たった。


ザッパーーーン、……バシャバシャバシャ!!


「泳げないならそう言っといて!?」


 溺れるまなみ。まなみにしがみつかれ、一緒に溺れそうになっている艦治。二人を助けるべく、家事ヒューマノイド達が飛び込んだ。

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