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超巨大宇宙船が落ちて来てから十八年が経ちました:今日からあなたが艦長です!!  作者: なつのさんち
二〇四七年

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057:懲役三日(グロ注意)

この回を読まなくても問題ないようにしております。

それほどグロい訳ではありませんが、苦手な方はお気を付け下さい。

次の回で何があったか三行でまとめておきます。

 第十三手術室に飛馬(ひゅうま)の馬型支援妖精と、詩歌(しぃか)の鹿型支援妖精が運ばれて来た。


「目が飛び出てるわねぇ……」


≪よくこんな酷い事が出来るね……。もう治療するの止めて外に放り出すべきじゃない?≫


 医療用ヒューマノイドの両手に乗せられた二体を見て、真美(まみ)とまなみが眉間に皺を寄せる。

 二体の支援妖精は、どちらも目が飛び出て鼻も潰れ、頭部の形が歪んでいる。脚も曲がっており、鹿の角は折られていた。

 あまりに酷い状態を見て、艦治は言葉も出ない。


「…………艦治のせいでは、ない」


「……はいっ」


 支援妖精の状態を見る為、目隠しから解放された穂波(ほなみ)が、震えている艦治の肩に手を置く。


 深呼吸をして気持ちを静めるよう努める艦治。そしてすぐに口を開く。


「二体を治療して。完全に元に戻せなくても良い。怪我したからと言って見捨てるのは出来るだけ避けたい。

 実績を残してしまうと真似する奴が出る可能性がある」


「了解致しました」


 医療用ヒューマノイドが二体を連れて、第十三手術室を出て行った。


「さて、次はこいつらをどうするか考えないとね……」


 艦治が飛馬の医療用ポッドを覗き込む。

 飛馬は今までのやり取りを見ており、怯えた目で艦治を見つめている。


『待ってくれ、違うんだ! 俺は乗り気じゃなかった、どうしてもって詩歌に言われて仕方なくやっただけなんだ!!』


『はぁ!? ウチに責任押し付けるつもり!? あんたが思い付いたんじゃない!!』


『黙れクソビッチ!』


『ほんっとサイテー!!』


「黙れ」


 責任を押し付け合う飛馬と詩歌の醜いやり取りを見て、艦治が静かに怒りを露わにする。


『はぁ!? ってかお前何なんだよ! お前に何の権利があって俺の前に立ってんだ!!』


『……もしかして超優遇されてる若い探索者ってキミの事!? ちょっとこっち来て! お姉さんとお話しよっか!!』


『肩に乗せてんの人型妖精か!? 俺に寄越せ!!』


『黙れよ短小! ウチが口説いてんだろうが!!』


「ナギ、二人への酸素供給って止めれる?」


「止めました」


 しばらく喚いていた二人だが、徐々に様子がおかしくなる。


『おい、息が出来ないぞ!?』


『何したんだよおめぇぜってぇ殺すかんな……』


 艦治は二人を無視して、ナギへ支援妖精が危害を加えられていた時の事について確認する。


「支援妖精の記憶って見れるの?」


「はい、過去四十八時間分は無圧縮で保存しており、後に必要そうなデータだけを抜粋して圧縮保存しております」


「じゃあさ、こちらが支援妖精にした事を、こいつらのインプラント経由で追体験させる事って出来る?」


 艦治は飛馬と詩歌が支援妖精に危害を加えた事を、被害者側の目線で体験させようと考えた。


「可能です。時間にして五分程度ですが、よろしいでしょうか?」


「その五分を延々と繰り返し続けて。身体の痛みを感じるように出来る?」


「可能です」


「医療用ポッドの中で水分補給とか栄養補給とかって出来る?」


「もちろんです」


「じゃあ合計三日間繰り返して。後遺症は残らない程度に加減してほしい」


「了解致しました」


 艦治がナギに指示を出している間、飛馬と詩歌は白目を剥いていた。


「おっと、酸素供給再開して。追体験も開始して」


「了解致しました」



◇暴力描写注意◇



 詩歌の親の名義であるマンションの一室。

 彼氏である飛馬が転がり込んでおり、二人の私物でベッドの上もテーブルの上もグチャグチャで、床も足の踏み場がない。


「壊れたって言って取り替えてもらおーよ」


「お、それいいな、そうしようぜ」


<何だ? 身体が動かねぇ……>


 見慣れた詩歌の部屋。目の前にはこちらに手を伸ばす巨大な人影。よく見ると、それはいつも鏡で見ている自分の顔である事に気付く飛馬。


<どうなってやがる!?>


 自分の意思ではなく視界が動く。部屋を飛び回り、捕まえようとする手から逃げているようだ。


「そーれい!!」


 詩歌の声が聞えたのと同時に、飛馬の後頭部に激しい鈍痛が加えられる。

 詩歌が木製のハンガーで馬型支援妖精の頭を強打したのだ。


<いってーーー!! 何しやがる!?>


 床に打ち付けられた馬型支援妖精は飛馬の手によって鷲掴みにされ、テーブルの上にあったものを床へぶちまけ、開いたスペースに馬型支援妖精を押さえつける。


「ガムテあったっけ?」


「んーっと、あった!」


<これは……、止めろ! 止めてくれ!!>


 ようやく飛馬は自分がした事を追体験させられている事に気付いた。

 しかしその声は誰にも届かず、自分がやったのと同じように、馬型支援妖精がテーブルの上に張り付けられてしまった。

 その隣には、鹿型支援妖精がテーブルに押さえ付けられているのが見える。


「角が邪魔なんだけどー」


「折れば良くね?」


 バタバタと逃れようともがく鹿型支援妖精の角が折られて、同様に張り付けられた。


「ハンガーしかねぇのか?」


「鹿だけにぃー?」


「はぁ? んーなんじゃねぇよ!!」


 詩歌のからかいが気に入らなかった飛馬が、思い切りハンガーを振り下ろす。


<ぎゃーーー!!>


 今の一撃で、馬型支援妖精の頭蓋骨が陥没し、眼窩が割れて目が飛び出した。


「次はこっちよろー」


「ちっ、せーのー!」


 鹿型支援妖精の頭部にもハンガーが振り下ろされた。


「きっしょ!」


「こんくらいでいっか、ビニール袋あったっけ。

 あ、ガムテ剥がしとかないとわざとやったってバレちゃうじゃん」


「はぁ? めんどっ」


「ウチはビニール袋探すからやっといてよ」


「ったく、何から何まで手ぇ掛けさせんじゃねぇよ……」


 雑にガムテープが剥がされる事で、馬型支援妖精の毛並みが引っ張られる。


<いって! いてぇってもっと丁寧に剥がせやボケが!!>


「はいビニール袋」


「おう、こんなもんでいっか」


 ガムテープを剥がし終わり、飛馬が馬型支援妖精をビニール袋へと入れる。


<終わった……、のか?>


「壊れたって言って取り替えてもらおーよ」


「お、それいいな、そうしようぜ」


<はぁ!? これさっき見ただろ!?>


「そーれい!!」


<いってぇって! これループしてんのか!?>


「ガムテあったっけ?」


「んーっと、あった!」


<勘弁してくれ、もう止めてくれ。もう無理だ、耐えられねぇ……>


「ハンガーしかねぇのか?」


「鹿だけにぃー?」


「はぁ? んーなんじゃねぇよ!!」


<ぎゃーーー!! すみませんホントにもう止めて下さいお願いですからもう無理ですごめんなさい止めて止めてもうしませんからごめんなさいホントもうダメ止め……>


「次はこっちよろー」


「ちっ、せーのー!」


「きっしょ!」


「こんくらいでいっか、ビニール袋あったっけ。

 あ、ガムテ剥がしとかないとわざとやったってバレちゃうじゃん」


「はぁ? めんどっ」


「ウチはビニール袋探すからやっといてよ」


「ったく、何から何まで手ぇ掛けさせんじゃねぇよ……」


<止めて下さい! お願いですからもう止めて下さい!!>


「はいビニール袋」


「おう、こんなもんでいっか」


「壊れたって言って取り替えてもらおーよ」


「お、それいいな、そうしようぜ」


<止めてくれーーー!!>

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