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超巨大宇宙船が落ちて来てから十八年が経ちました:今日からあなたが艦長です!!  作者: なつのさんち
二〇四七年

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022:初回無料十連ガチャ

 装備屋の隣に男女別に更衣室が用意されており、艦治(かんじ)良光(よしみつ)正義(まさよし)茂道(しげみち)が男性用更衣室へと入った。

 武器と防具はこの更衣室に預けておく事が出来て、クリーニングとメンテナンスも自動で行われる。

 更衣室に探索者が入ると、その人物の装備や所持品などを保管しているロッカーが倉庫から自動で運ばれて来る仕組みになっている。

 全探索者に一つずつ、個人用のロッカーが用意されているのだ。


 更衣室にはそこそこ人がおり、時間的にもこれから探索を開始する者が多いようだ。

 正義と茂道は知り合いに声を掛けられるたびに、艦治と良光を期待の新人探索者だと紹介して回った。


 四人が探索用装備に着替え、それぞれの得物を手にした。艦治と良光は初期装備の金属の棒で、正義は自分の身長ほどの大きな両刃剣。そして茂道は巨大なハンマーだ。

 背中に納刀する用のホルダーがあり、それぞれの武器を背負っている。武器と一緒に軽食が入った袋が吊るされているのがややシュールに見える。


「明らかにおかしくないっスか? 持ち上げられないでしょ、普通」


 正義と茂道の武器を見て、物理法則を無視したような出で立ちに、良光が目を疑う。


「おぉ、忘れてた! スキルガチャ回してねぇわ。

 初回探索の前に無料の十連ガチャやっとかんとな」


 正義が探索者が多く集まっている場所、スキルショップへと向かう。医療施設内の手術用ポッドに似た形状の装置、ガチャポッドが無数に並べられており、探索者が出入りして一喜一憂している。


「生身で迷宮に潜るのを恐れる新人探索者が多かったから、新人探索者はタダで十連ガチャが回せるようになったんだ。

 普通では持ち上げられないような重量の武器でも、スキルを獲得すればこうやって背負えて、攻撃出来るようになるんだ」


 艦治も良光もスキルについては下調べしていたが、実際に目にすると映画やドラマの小道具のように見えてしまう。


「まぁとりあえずガチャポッドに座ってみろ。無料で回せるのは初回のみだ」


 艦治と良光がそれぞれガチャポッドへ座る。医療用ポッドのように密閉されたり、液体に沈められたりする事はない。

 艦治の視界に文字が表示される。


『ようこそ探索者様! 初めてスキルショップをご利用頂く探索者様には所持ポイント不要で十連のスキルガチャを回して頂けます。

 初回無料十連ガチャを回しますか?』


 艦治が承認すると、次の文章が表示される。


『艦長権限を確認致しました!

 艦長は全てのスキルをお持ちの為、スキルショップのご利用は不要でございます。

 ご利用ありがとうございました』


≪ナギーーー!?≫


≪もちろん艦長のご友人特権で良光様にも同様に全スキルを付与させて頂いております≫


≪いつの間に!?≫


≪今です≫


≪そういうのは事前に説明しといてよ!!

 ってかスキルショップはガチャを回す前に確認してくるのに何でナギは確認してこないんだよ!?≫


≪プレゼントにサプライズは重要ですので≫


≪そういう問題じゃ……≫


バンッ!!


 艦治とナギがやり合っていると、艦治が座るガチャポッドを良光が叩いてきた。 ずっとガチャポッドに座ったままだと不自然に見える為、艦治を急かしたのだ。

 艦治は慌ててガチャポッドから出る。


≪そろそろナギに振り回されるのにも慣れろよ≫


≪いやそんなの無理だよ! そもそも振り回されないようにするにはどうするべきか考えて方が良いでしょ≫


≪あら? もしかして私、躾られちゃいますか? 艦治様のお好みの妖精に厳しく躾られちゃいますか?≫


≪絶対性格変わってんじゃん……≫


≪むしろこっちが地なのかもね……≫


「すみません、お待たせしました」


 艦治が正義と茂道へ謝ると、二人は笑って許してくれた。


「ガチャの結果が気になるのは新人であってもベテランであっても同じだ」


「どうだ、全力で行けそうなスキル出たか?」


 二人にガチャの結果を聞かれて、艦治が内心頭を抱える。全てのスキルを持っていると言われても、初回十連で排出されるスキルがどんな内容なのかまでは詳しく知らないのだ。


「せーぎさん、ばしらさん。早く迷宮に行きましょう!

 俺、全力でスキル試したいっス!!」


 それは良光も同様であった為、何とか誤魔化すべく、手に入れたスキルにはしゃぐ振りをして急かした。

 シャドウボクシングをして見せる良光の姿を見て、正義と茂道が微笑ましいものを見るような笑顔を見せる。どうやら誤魔化す事に成功したようだ。


「ふはは! 良いなぁ、その気持ちは痛いほど良く分かるぜ。

 でもな、その全能感に任せて探索すると、絶対に痛い目を見る事になるんだよ。それを未然に防いでやるのが俺達ベテランの役目でもある。

 新人探索者は実際に迷宮がどういうものなのかを教えてやらんとならん初心者にはピッタリな迷宮があるから、まずはそこで肩慣らしするとしよう」


「最初から全力でも構わんと思うがなぁ……」

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