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超巨大宇宙船が落ちて来てから十八年が経ちました:今日からあなたが艦長です!!  作者: なつのさんち
二〇四七年

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124/168

124:ホタルを見ながら

 ハッスルした鹿((あや))にカップル達が吹き飛ばされて行った後も、様々なゲームを楽しんだ一同。

 夕食は鳳翔(ほうしょう)内の繁華街区画にある回転寿司の店に決まった。


「板前さんが握って流してくれる回転寿司ってまぁまぁグレード高いよねー。

 あ、いくら下さーい」


「はいよー!」


 恵美(えみ)が板前ヒューマノイドにいくらの軍艦巻きを注文する。

 レーンに様々な種類の皿が流れているとはいえ、目の前に板前がいる以上、握り立て巻き立てを食べたいと思うものである。


「板前ヒューマノイドって」


(つかさ)以外の男性型は初めて見るかも」


 良光(よしみつ)が割烹着を着て頭にねじり鉢巻きをしている板前のおじさん風ヒューマノイドをまじまじと眺める。


「坊ちゃん、何握りやしょ?」


「ぶほっ!?」


 このオッサンもナギが操作してるんだよなぁと思いながら眺めていた良光は、不意打ちを食らって鼻から米粒を飛ばした。


「きたなっ! もう、ほらっ」


 望海(のぞみ)が良光の顔を拭いてやる。

 その様子を、(あや)が腕を組みながら睨み付ける。


「けっ!

 大将、たまご一丁!」


「はいよー、たまご一丁!!」


「「「たまご一丁!!」」」


「ぶほっ!? げほっげほっ……」


「もー」


 板前ヒューマノイド四人ナギの連携プレイにより、またしても良光が噴き出してしまった。


「このネタは鳳翔の海で釣った魚なのか?」


「いえいえ。鳳翔内には生き物がいないので、ナギが地球から仕入れてくれてるんですよ」


「へー、そうなのか」


 (あきら)が手で摘まんだ大トロをまじまじと観察する。非常によく脂が乗っており、手の体温で溶けてしまいそうなほどだ。


「大将、このマグロはどこで獲れたんですか?」


「今朝三陸沖で水揚げされたんでさー。

 市場に行く前に船の漁獲ごと買い上げたもんですわ」


 板前ヒューマノイド(ナギ)が輝の質問に答える。

 良光を意識してややオーバー気味に話した板前ヒューマノイド(ナギ)だが、良光は望海との会話に集中していたので聞こえていなかった。


「船ごと買ったって言われても、食べ切れないぞ!?」


「いや、食べ切れないものは亜空間収納に保存しておけるので大丈夫ですよ。

 何ならお土産に持って帰りますか?」


 艦治の提案を聞いて、輝と彩が喜んだ。

 輝はすでに亜空間収納を含む、全てのスキルをインストール済みだ。


「じゃあレーンに流れてるお皿も全部収納しといた方が良いじゃん!

 こうして回ってる間にも鮮度はどんどん落ちていっちゃってるんだよ!!」


 彩が輝の開けた亜空間収納の穴にどんどん皿を放り込んでいく。


「恥ずかしいから止めろ!!」



 食後、露天風呂に移動して風呂を満喫した一同は、山間の川べりにあるコテージへと移動した。


「何これー……」


「ちょっと言葉が出ないね……」


 無数に飛ぶ淡い光を眺め、恵美と亘が手を握り合って感動に浸っている。


「今やこんな光景、自然では見れないだろうね」


「……綺麗」


 艦治とまなみの提案で、本日のお宿はホタルの見えるコテージとなった。

 コテージの隣、ベンチとテーブルが置いてある広場から臨む川の両岸を、ふわふわと無数のホタルが舞っている。

 もちろん全てナギの操作する人工生命体であるが、ここから見る分には本物との違いなどは判別出来ない。


「部屋は完全防音・完全防振です。窓を開け放していても室内の音は外には漏れません。

 全ての部屋に小さな露天風呂が付いており、他の部屋から見えず、音も聞こえません。

 その上でお伺いしますが、どのような組み合わせでお部屋を使われますか?」


 コテージに入り、案内に出て来た受付ヒューマノイド(ナギ)が一同に部屋割りを確認する。


「僕とまなみの二人で一部屋で」


 まなみに腕を締め上げられながら、艦治が答える。


「皆で朝までトランプ、むぐっ……!?」


「私と彩で一部屋で。ベッドタイプはツインじゃなくダブルで」


「ぷはっ! 何でおねえと同じベッドなの!?」


「部屋を抜け出して何かしそうだから」


 輝はどこにも逃げられないように、彩を後ろからがっちりと抱き締めている。


「……じゃ、俺と望海も同室で。

 ベッドタイプって選べんの?」


 良光が確認するが、受付ヒューマノイド(ナギ)は半笑いで答える。


「各部屋にはキングサイズベッドが一つしか設置されておりません」


「そっかー、じゃあ仕方ないなー。うん、一つしかないなら仕方ないよねー」


 望海が早口でそう言いながら、良光の手を握った。


「僕らはどうする? 別々の方が良い気がするけど」


「へー、そういう事を女の方から言わせようとするんだー。それって亘君の趣味だったりするのかなー?」


「……じゃあ、僕と恵美も同室で」


 亘も恵美からの言外の圧を受けて、同じ部屋の同じヘッドで寝るという選択をした。


「何か三組とも草食系男子と肉食系女子の組み合わせじゃない?」


「こら止めたまえ」


 三組のカップルがそそくさと彩に背を向けて、階段を昇って各部屋に分かれて行った。


「まだ寝るには早いのよねー。

 お姉さん、何か遊ぶものとかってあります?」


「コテージの広場にトランポリンがございます」


「お、良いじゃん!

 おねえ、各部屋でベッドが弾んでる時間に、私達はトランポリンを弾ませようよ!!」


「……我が妹がオヤジ過ぎる件について」

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