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超巨大宇宙船が落ちて来てから十八年が経ちました:今日からあなたが艦長です!!  作者: なつのさんち
二〇四七年

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105/167

105:上空五千メートル

 マーシェ(雅絵(まさえ))を帰した後、テスト勉強を続けていた艦治(かんじ)達だが、(あきら)(あや)がクジラとのダイビングを終えて帰って来たのをきっかけに、テスト勉強を中断する事にした。


「めちゃくちゃ楽しかったぞ! お前ら勉強なんてしてないで一緒に泳ごう!!」


「ちょっ、引っ張んなって!」


 興奮冷めやらぬ輝が、良光(よしみつ)の腕を取って、良光のTシャツが海水でべちょべちょになる。


「疲れたー。シャワー浴びたーい」


「彩ちゃん、ここで脱ぐのはちょっと止めよっか」


 疲れ切った彩が、浜辺でウエットスーツを脱ごうとして望海(のぞみ)に止められる。


「えー? 何で? ちゃんと水着だよ?」


「それでもダメ! ほら、こっちおいで!!」


 望海が彩を海の家に引っ張って行く。

 中は男女別に分かれた更衣室があり、それぞれにシャワールームが設置されている。

 着替えはナギが用意したものが常備されている。


「良いなー。泳ぎたーい」


「テストさえなければ……」


 恵美(えみ)(わたる)がもう一度海へ入ろうとしている輝を見て呟く。


「どうせ明日も休みだし、このまま鳳翔(ほうしょう)に泊まる?

 それならちょっとくらい遊んでも大丈夫でしょ」


 艦治が恵美と亘にそう提案すると、海に入りかけていた輝が走って戻って来た。


「泊まりたい!!」


 手を挙げて艦治に詰め寄る輝が、まなみによって止められた。


「もちろん良いですよ」


 ウエットスーツ姿の輝を止めた事により、まなみのTシャツが濡れて、やや透けてしまったのを見て、艦治が亜空間収納からバスタオルを出し、まなみに掛けてやる。


「泊まりたーい」


「僕もぜひ泊まらせてほしい」


 恵美と亘も泊まりを希望した。

 それぞれ電脳OSもしくはタブレット経由で親に了承を得て、夕食までの時間を楽しむ事となった。


「スカイダイビング!」


「空飛ぶカーレース!」


「潜水艇で海底散歩ぉー」


「流れるプールかなー」


「プラネタリウムが良いね」


≪仮想空間で初めての予行練習……≫


≪そういう話は私が家にいる時にしてくれるかな!?≫


 艦治が鳳翔内で出来るレジャーについて説明したところ、それぞれやってみたい事がバラバラだった。

 それぞれ別々に楽しむのは何か違うだろうという事で、クジ引きで決める事となった。

 仮想空間へ行くにはインプラントを入れていないとならず、彩と亘がまだ手術を受けていないので除外。

 スカイダイビング・空飛ぶカーレース・海底散歩・流れるプール・プラネタリウムの五択となった。


「はい、どうぞ」


 艦治のノートでクジを作り、まなみがシャッフルし、ジャンケンで勝った彩が引く。


「うーん、これっ!

 げっ……!!」」


 彩が引いたのは、スカイダイビングだった。


「やったぜ!

 空には飛行機で行くのか? ヘリ?」


「空飛ぶ車じゃね?」


 スカイダイビングを主張していた輝が喜び、空飛ぶ車に乗りたがっていた良光のテンションも上がっている。

 反対に、引いてしまった彩はとても嫌そうな表情を浮かべている。


「ねぇ艦治さん。私、待ってても良い?」


「もちろん良いよ。無理にさせる事じゃないし。

 他のみんなはどうする?」


 艦治はまなみと望海と恵美と亘の参加意思を確認する。


≪私は大丈夫だよ≫


「まぁ、やってみたい、かも」


「私は割と絶叫系は好きな方だしー」


「……問題ないよ」


 若干亘の返事の仕方が気に掛かる艦治だったが、電脳通話で確認する事も出来ないので、本当に大丈夫なのか目で合図を送るも、亘はそわそわしており艦治の合図に気付かない。


「おい、亘。お前大丈夫か?」


 良光が声を掛けると、亘はビクッと身体を震わせて驚いた。


「亘、止めとく? 別に怖いなら無理しなくて良いよ?」


「……そうさせてもらうよ」


 結局、亘は地上に残る選択をした。木星の渦を見せ一緒に絶叫した仲なので、誰も亘をからかう者はいなかった。


「スカイダイビング用の装備をご用意致しました」


 男女に分かれて海の家の更衣室へ入り、ナギが用意した装備一式を、家事ヒューマノイドの手伝いを受けて装着していく。

 スカイダイビング用の全身スーツと、リュックのように背負うパラシュート、そして風から目を保護する為のゴーグルを装着し終え、浜辺に再集合する。


「タンデムってヤツじゃなくて良いのかい?

 スカイダイビングのライセンスがない場合は一人で飛べないだろう?」


「パラシュートが自動操縦で落下地点へ導きますので問題ございません」


 艦治のスカイダイビングスーツに固定されたナギが、亘の疑問に答えた。

 他の支援妖精も、それぞれ同じようにスカイダイビングスーツに固定されている。


「で? 飛行機で行くのか? ヘリか?」


「空飛ぶ車だよな?」


 輝と良光の疑問にナギは答えず、皆の最終意思確認をする。


「皆様、ご準備はよろしいでしょうか?」


「良いけど何で飛んでくのー?」


「舌を噛まないよう奥歯を噛み締めておいて下さい」


「あっ、何か嫌な予感がする」


「さんっ」


≪かんち、手ぇ繋ごっ! 離しちゃヤダよ!!≫


「にぃ」


「良光、蒼井(あおい)さんの手を!!」


「いち」


「彼氏置いて来ちゃったんだけどーーー!?」


「ぜろ」


 艦治、まなみ、良光、望海、恵美、輝の足元にワープゲートが出現。

 突然足から落とし穴に落とされた形の皆は、気付けば上空五千メートルからの落下が始まっていた。


「「「「「「ぎゃああああああああああーーー!!」」」」」」


 艦治は叫びながらも、いつも無表情のまま動かないまなみの顔が驚愕に染まっているのに気付き、電脳OSを使って写真と動画で残す事にした。


≪鼻水出てなーーーい!?≫


≪結構余裕あるねーーー!?≫

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