魔将軍と結末
この回で一度完結です
ニーゴの町から帰って来た後…ヴェル君は時々ボーっと考え事をしているようです。
偽ヴェル君こと、カーク=ライナイズさんはロブロバリント様に幻視の術を解かれて、今は普通のおじ様顔になられています。ガンドレア帝国にロブロバリント様とカーク=ライナイズさん2人を捕虜として捕えていると知らせているらしいのですが…ガンドレア帝国から無視されているようです。国の対応としてはありえませんね。
とりあえず二人はまだ牢に入ったままです。
昨日『お鳥様』がルーイドリヒト王太子殿下からのお言葉を届けてくれました。
ラブランカ王女殿下との婚姻無効手続きの書類が届いたとのことです。今日はその手続きをしに行く予定です。
ラブランカ王女殿下も音沙汰もなく、なんだか不気味ですね。
「ヴェル君、そろそろお城に行く時間ですよ」
2階の魔術作業室でぼんやりしているであろうヴェル君に、1階の送受信機からお声をかけてみます。
『うん、今から降りる…』
ちょっと元気ないな…2階の作業室からゆっくりと降りてきたヴェル君はお出かけ準備をして、居間にやって来ました。オリアナ様と私は刺繍と縫い物をしながらお話しておりました。
「母上…カデちゃん、お話あるんですが…」
おや…お気持ちが定まったようですね。オリアナ様と二人、居住まいを正します。
「俺…カステカートの騎士団に入ろうと思う。そしてルーブルリヒト=ダヴルッティ隊長と第三騎士団の発足のお手伝いをしたいです」
オリアナ様は立ち上がるとヴェル君に飛びつきました。
「もちろん応援するわよ!頑張って!や~んカステカートの騎士団の制服かっこいいのよね!ヴェルがアレを着ると思うと嬉しいわ」
オリアナ様素晴らしいっ!私も同意見です!心の中でサムズアップを致します。
「ヴェル君、私ももちろん大賛成です!」
ヴェル君は困ったような顔をしています?どうしたのよ…雨に打たれた子犬みたいな目をしておりますよ?
「でも…あの…俺…カデちゃんの…護衛だし…あの…」
私はヴェル君の手を取りました。
「ではご主人様として命令致します!第三騎士団に入団して頑張って下さい!」
ヴェル君はオリアナ様もいらっしゃるというのに私に思いっきり抱き付いて来ます。ぐえぇ…くるしぃ
「カデちゃ…俺…近いうちにちゃんとカデちゃんの…国に行って…国王陛下にご挨拶したい…」
ななななんな…なんですって…!わたしが叫ぼうとする前に…
「きゃあああああ!ヴェルあなたそれ、婚姻のお申込みなの!?やだっ人の初めて見ちゃったっ!」
オリアナ様に先に興奮されてしまって、何も叫ぶことが出来ませんでした。
そうですか…今は私がヴェル君のご主人様ですが近いうちにヴェル君が私のご主人様になられるのですね。
嬉しくてニマニマしてしまいます。ヴェル君もオリアナ様もニコニコしています。
長い長い転生人生ですが、初のご主人様(旦那)を持つことになりそうです。
宜しくお願いしますご主人様(仮)
Fin
広げた風呂敷を回収しておりませんので近いうちに続編執筆予定です。
ここまで読んで頂いてありがとうございました




