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魔将軍と治療1

ラブがなかなか進みません

11/9脱字修正しました。

朝です!


なんだかこの2、3日は色々な事が一気に起こっていますが、今日は気分もスッキリ晴れ晴れとしております。まだ朝日が昇って間もない時間ですが、家の裏口辺りで障壁の解術の気配がします。おや?ヴェル君ですね。


裏庭と裏山辺りの開けた所で、微かにヴェル君の魔術の揺らめきを感じます。もしかして朝の鍛錬でしょうか?窓を開けて覗こうかと思いましたが、ヴェル君は視線に敏感なような気がしてやめておきました。


邪魔しちゃいけませんしね…


私は顔を洗い身支度を整えました。そして着替えて今日の段取りを頭に入れてキッチンに入ります。キッチンの横の日当りの良い小部屋は、ランドリールームにしています。


さてお洗濯をしましょうか…


『センタクハコ』の試作品にスッと手を掛けました。


ハコの上蓋を開けて自作の洗濯用粉石鹸を入れました。ドレスなどは洗えませんが下着、シャツ類やタオルなどの汚れ物が入っています。やがて魔術の発動が起こり、センタクハコはガタゴトと動き出しました。


う~んまだ風魔法の威力が不安定だな…


所謂、日本で使っていたモーターで絞り洗いみたいな動きになって欲しいのですが加減が難しい。そして乾燥機も付けたい…まあ、まずは脱水で布地が傷まない、絶妙な絞り加減になることが先決ですが…


「手絞りの感覚って難しいな…」


「おはよう、カデちゃん」


「っヒッ!」


センタクハコの前でうんうん唸っていて気が付きませんでした。朝から美しいご尊顔ですねヴェル君。目が覚めるようです。


「おはようございます、ヴェル君」


「その…魔力で動いているそれは何?」


「これはセンタクハコと言いまして、これもユタカンテ製の試作品になります。魔力で衣服をお洗濯してくれるものです。ちなみに水と風魔法使っているのですが…」


「へぇ…」


ヴェル君はセンタクハコに近づくと、ジッと動く様子を見ています。


「水と風で小さな竜巻をハコ内で起こしているの?でも、あまり強いのだと布が破れる…問題点はソコ?」


ヴェル閣下!その通りでございます。


「う~ん、ちょっと考えてみる…」


ヴェル君頼みます!ユタカンテ商会から特別顧問料払いますからっ!


そんなことをゴソゴソ話しているとルラッテさんも起きていらっしゃいました。


そして『センタクハコ』と『レイゾウハコ』の話で多いに盛り上がりました。いつの世も、家事の助けになるものは女性は気になりますものね~早急に改善点を検討せねばなりませんね。


本日の朝食は


昨日発酵させていた焼きたてロールパン。コーンのクリームスープ。目玉焼きとモロンの腸詰。私はそれに加えて数種類の野菜のスムージー。オリアナ様がスムージーを気になさるので、折角だからと美容と健康に良いことを薦めて同じものを召し上がって頂きました。食後にはカラメルプリンを。


給仕はルラッテさんが手伝って下さいます。


始めは姫様はお席へ!と言われましたが、お一人じゃ手が足りませんよ?とにこやかに押し切ったら、最後は折れて下さいました。


だってね、給仕を受けていたらウズウズするのです。三代前の世界での職業のメイド魂に火がついてしまうのです…ついお世話に回ってしまいます。


なんだか…


お嬢様とかお坊ちゃまと呼ばれる人達って、自然と主人然としていると言いますか、仕えられる者の圧みたいな何かを使用人の前で出していらっしゃる気がするのですよね…


普段のほほんとしているヴェル君でさえ、なんだかお坊ちゃま圧みたいなのを出しているように感じます。気のせいでしょうか?


本当…根っからの庶民ですみませんね、骨身に染みついた庶民根性が抜けないのですよ…


さて、朝食を食べ終えて食後のお茶をお出しした後にいつの間にやら持って来ていた、オリアナ様とルラッテさんの荷物の荷解きを少し手伝ってから、親子でお話し中の居間へお邪魔しました。


「オリアナ様少し宜しいでしょうか?」


「はい、なんでございましょう?」


お二人並んでいると親子というより姉と弟みたいですね、眼福。


「はい、昨日から少し気になっておりましたが、目視確認で構いませんので、お体を診せて頂けますか?」


オリアナ様はクルンと瞳を動かされると静かに頷かれました。


さあ、失礼しますよ~


ふむふむ…ヴェル君によく似た魔術波形ですね。ですが色は少し濁り気味です。


ああやはり…魔術凝りが起こっています。


「お体は今はどうでしょう?痛みはありますか?」


オリアナ様はほうぅと深く息を吐かれました。あら?これは…


「普段から体は怠く、虚脱感がありませんか?」


オリアナ様は大きく頷かれました。


「いつも食事が全然進まないけど、今日はカデちゃん達と一緒だからかしら?お食事も美味しいし、気分が良い感じなのよ~」


おおっと!オリアナ様までその呼び方ですかっまぁ…いいのですが…この親子はスルッと自然に呼びますね~


「魔術凝りも起こってはいますが…体から魔力が抜けすぎていますね…」


「抜け過ぎている?」


ヴェル君が眉根を寄せてます。今から解説します! 


「通常、体内で発生した魔力は自然に体から外へ放出されます。大抵は体の余剰魔力なので何ら問題ないのですが、オリアナ様の場合、吐いた息の中にも高密度の魔力の残滓が見えます」


「それは魔力凝りと関係あるのか?」


「いえ、魔力凝りは逆に体内の魔力が廻らないで陥る病ですので…今回のオリアナ様の場合は、廻らなくて枯渇している魔力が更に大量に外に放出されていましています。自然に起こる魔力凝りとは違うものだと考えられます」


「原因は何かしら?」


オリアナ様は不安げです。実は魔力の濁りや、排出の原因がよく分からないのです…


「原因についてはもう少し経過観察…ということで様子を見させて頂いても宜しいでしょうか?まず今日は魔力凝りの治療をさせて頂いても構いませんか?魔力さえ廻っていれば魔力が常に作られますからね」


オリアナ様はやや不安げながらも頷かれました。こう…コクリと頷きのみで返事をする癖、遺伝?がヴェル君と一緒ですね~親子だな~うんうん。


「ではソファに楽に座っていて下さいませ。まずはお手に触れさせて頂きますね」


オリアナ様のお手に軽く触れます。ふむ…魔力の抵抗が感じられます。


「魔力が急に廻り始めると、気分が悪くなることもありますので、気分が優れない時はすぐにお伝えくださいね」


オリアナ様はコクリと頷かれました。


私は自分の魔力を、凝りを解すようなイメージでゆっくりと流していきます。うん、緩く解れてきた。でもすぐに塊に戻ってしまいますね。


あれ?あれれ?


お腹の中心部分に何か魔力を吸い込んでいるものがありますね…そしてそれが時々、呼吸と共に高密度魔力を放出して外へ魔力を出しています…うう~ん、これは…


「魔力の放出の原因が分かりました」


ヴェル君とオリアナ様が一斉に私を見ました。


「お腹の中に放出を促す魔力を帯びた魔石の結晶があります。普通は人体にあんな魔石があることはありえません。結論から申しますと…結晶を飲んだか、飲まされたか…」


オリアナ様が息を飲みました。ヴェル君も怖い顔をしています。


「体の中の成分が、蓄積されて体内で石化する病もあるのですが…それに近いと思われます」


胆石と魔石の違いはあれどほぼ間違いないでしょう。胆石の主な原因はコレステロールつまり食事などに含まれる脂肪などですが魔石の場合は…


「食事に魔石の欠片が混入されていたのでしょう」


これは故意による異物混入事件ですねっ


姉さん事件です。

急にサスペンス調になってきました


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