表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/81

PURGEー78 VS音尾!!

 試合開始と共に太刀を抜いた音尾に、信乃は異能力のための構えを取る。信乃が異能力上、先に仕掛けることが出来ないため、音尾の攻撃のカウンターを狙っていた。


(誘っている。攻めに賭ける異能力なのか? ならここは、誘いに乗る!)


 音尾は太刀を持った両腕を上げ、大きく踏み込んで前に飛び込んできた。その足さばきは速く、瞬く間に信乃と間合いまで接近する


(速い!)

「<御伝流(がでんりゅう) 牡丹(ぼたん)>!」


 勢いよく振り下ろされる太刀。信乃は当たる寸前に自分を後方に瞬間移動させて距離を取り、攻撃を回避する。仕損じた太刀の刃はそのまま振るわれ、激突した地面を小規模ながら深く陥没させた。


(あんな深い陥没を! 当たっていたら一撃でやられていたかもしれない)


 一撃技を見た信乃が一瞬その灌木に目を奪われた瞬間、音尾は太刀を下向きに持ったまま再び間合いを詰め、今度は反対に切り上げてきた。


「<御伝流(がでんりゅう) 芍薬(しゃくやく)>!」


 重さも鋭さも、今しがた放たれた振り下ろしと同じ。信乃は意表を突かれるも、当たるより先に異能力が発動したために助かった。

 音尾は信乃の不自然な動きに、刀を右手だけに持ち替えつつ口を開く。


「今の動き。普通ならば太刀が当たっていてもおかしくない間合い。まるで瞬間移動でもしたかのようですね」

「実際、しましたので」

「なるほど、これは良い異能力です。ならば!」


 音尾は信乃の方向へ飛び出し、右手を残像が見える程に連続突きを仕掛けた。


「<棘薔薇(とげばら)>!」


 移動の仕方と広い連撃。後ろに下がろうと左右に動こうと攻撃は当たる目測だ。当然信乃はこれに対し、攻撃の範囲外であり音尾の後方に移動した。


(後方にも移動可能。正面限定の技ではかわされるだけ)


 音尾は試しにいくつかの技を出し、相手している信乃の異能力の要領を測っていた。

 同様に信乃も、回避しつつ音尾に付け入る隙がないかを模索する。しかし正直なところ、どちらも攻め手に欠けていた。


(木花小隊長の構え、本当に隙がない。私の異能力で何とか回避は出来ているけど、反撃が出来る余裕がない。あるとすれば……そうだ!)


 信乃は一つ策が思いついた。一方の音尾も膠着状態を長引かせる気はなく、再び太刀を構えて攻めて来た。


御伝流(がでんりゅう)……」


 太刀を上に振り上げた構え。


(来る!)


 信乃はここまでのようにギリギリの回避になる事を防ぐため、連続で様々な場所に瞬間移動を行い、狙いを定めさせず混乱させようとした。

 事実、信乃の俊敏な動きに音尾は構えを取ったまま動けなくなってしまった。


(瞬間移動にタイムラグは必要ない。こちらが混乱して構えが乱れたときに仕掛ける気なのか)


 ならばと音尾は構えを変え、顔の横にまで太刀を近づける。


(攪乱をしてくる相手には、それ用の型がある)


 音尾はここから腰を捻り回転、全方向に大量の白い斬撃を飛ばして来た。


「<桜吹雪(さくらふぶき)>」

(全体攻撃! 小さな斬撃がバラバラに!)


 下手に瞬間移動をしたところで、不規則に飛んでくる斬撃への対処は出来ない。だがそもそも、信乃の異能力は瞬間移動ではない。だが信乃は自身の移動だけを行う事で、音尾に自身の能力が瞬間移動だと誤解させていた。

 それが故での避けることの出来ない全体攻撃。信乃はこれを逆に利用する事にした。


(本当なら効果力の技が来たときにするつもりだったけど、仕掛ける!)


 次の瞬間、信乃は<盤面操作(ボードゲーム)>により、自身と音尾の位置を瞬時に入れ替えた。当然音尾は、今自分が飛ばしたはずの斬撃が目の前に見えることに目を丸くする。


「何で攻撃が目の前に!?」


 刹那に見える信乃の姿。彼女に一切斬撃が抜いていない事に事態を理解した。


(まさか私と位置を入れ替えた!? やられた。連続して瞬間移動を見せたのは、自身の異能力を勘違いさせるため!)


 気付いたところでもう遅い。音尾は目の前にまで迫って来た斬撃の対処に追われることになった。


「<御伝流(がでんりゅう) (あざみ)!>


 音尾は前方に絶え間ない連撃を振るう。まるで反射で斬撃を捉えているのか、自身に向かう攻撃を見事に相殺した。

 だが防御用の技とはいえ、攻撃から間髪入れずに技を行使したのは彼女の身体に響いたらしく、汗を流すほどの疲労が見えていた。


 信乃はこれを狙っていた。願わくばこれでダメージを受けて欲しかったところだが、隙が出来ていれば十分と判断。今いる位置から瞬間移動で間合いに入った。


(攻めて来た! でも太刀の分こっちにリーチがある。何か攻撃が来るより先に潰せば!)


 音尾が下がっていた腕を振り上げながら信乃を切りにかかった。だがここで音尾は異変に気付く。振り上げた腕はとても軽く、目視した自身の腕から太刀が消えていたのだ。


(太刀がない! 何処に?)


 音尾の疑問はすぐに目に見えてわかった。目の前の信乃が高校に隠していた手元に、焼失した音尾の太刀が握られていたのだ。

 ここで初めて音尾は理解した。信乃の異能力が瞬間移動でも位置交換でもなく、物体の位置操作だという事を。


 信乃の狙いは当たった。音尾は太刀を失い、先程の防御技も使えない。


(これで、勝ち!)


 信乃はトドメを決める勢いで、音尾に太刀を振り上げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
久しぶりに読ませていただきました! 信乃ちゃんと音尾ちゃんがどちらも黒葉の幼馴染みだったとは! この幼馴染み対決、見逃せないですな。 はてさて、決着はどうなる!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ