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PURGEー70 VSレジア!!

 試合開始の合図が響き渡るも、開始してすぐはお互いの相手の出方を伺っていたリドリアとレジア。

 レジアは面と向かって真剣な眼差しを見せるリドリアにレジアはふと笑った。


「フフッ、色々考えているみたいですわね」

「それがどうかした?」

「いえ、お互いにお互いの異能力をよく知っている。それで攻め手にかけているのか、或いは何故私達が春山隊員を狙っているのか気になっている感じでしょうか?」


 見透かしてこようとするレジア。挑発ともとれる台詞だがリドリアは動かなかった。

 レジアは動じないリドリアに対して敢えて先手を取ることを決めた。


「まあいいでしょう。来ないからこっちから行かせていただきます!」


 レジアが声を挙げて右腕を上げると、同時に彼女の腰から後方に身長以上の青い物体が飛び出した。直後に物体は付け根から持ち上がり、扇状に広がった。遠目から見るそれは明らかに孔雀の羽だった。


「孔雀の羽!」


 控室にいる黒葉は、テーマパークでは見ることの出来なかったレジアの姿に驚いた。


「あれが彼女の異能力。やっぱりリドリアの従妹だから、同じようにとりに変身できるのか。

 ……て、あの派手な孔雀の羽って雄限定だったような。レジアって女の子だよね」

「そこは……多分気にしちゃダメな事なんじゃないかな」


 黒葉の疑問に信乃から匙が入った。次いで信乃は黒派とレニに対してレジアの話を続ける。


「それにあの人の異能力については聞いた事があります。真骨頂はここからだと思う」


 三人が見る中、レジアは顎を引いてリドリアに告げた。


「それでは、始めましょうか!」


 レジアが右腕を下げると、背中の羽の一部がレジアの身体から抜け、横方向に回転しながらリドリアに飛び込んでいった。

 レジアの羽はリドリアが動くよりも前に至近距離まで近づくと、突然音と立てて爆発した。


「リドリアさん!」


 控室のレニが叫ぶ。リドリアの身を心配した彼女だったが、隣の黒葉がレニに声をかけた。


「いや、大丈夫だ。見て」


 黒葉に言われるままに見ると、リドリアは体の一部を鳥の姿に変化させ、空中を飛行して爆発を回避していた。


「今の一瞬で飛行を! 凄いですリドリアさん!」

「普段鍛えている成果。俺が戦った時よりも速くなっている」


 感心する黒葉。次に彼が注目したのは、対戦しているレジアについてだ。


(レジアの今の技。あれがテーマパークで敵のほとんどを一掃していた爆発の正体か。確かに相当なスピードがないと会費は難しい。

 しかもあの羽の数。あれ全部が爆弾と考えると、どれだけ段数があるのか分かったもんじゃないぞ!)


 闘技場では、レジアがリドリアの対処を褒めていた。


「『幸鳥(ブルーバード)』、以前戦った時よりも鍛えられたのですね」

「アンタの『美麗鳥(ビューティーバード)』もね。この前よく速射性上がってるじゃない」

「お互い努力したという事ですわね」


 レジアは笑みを浮かべる態度を変えない。しかし彼女はリドリアを舐めているわけではなく、むしろ向ける目つきは真剣なものを感じさせた。


「それではそろそろ本格的に行きますわよ! <連鎖爆羽(ラッシュウイング)>!」


 そこからレジアは自身の羽を次々とリドリアに照準を向けて発射した。これに対しリドリアは素早い飛行で回避しする。

 だがリドリアの動きについてよく知っているレジアだ。ただ打ち続けているだけでは勝機は見いだせない事は分かり切っていた。


 ならばこれならどうかとレジアは複数本の羽を同時に別方向に発射し、リドリアの行動範囲を制限した。

 それでもリドリアに焦りはなかった。レジアは追撃をかけやすく視界を広げるためか、彼女から見て正面方向にはあまり羽を配置していない事に気が付いたのだ。


 リドリアはここで即刻勝負を仕掛けようと正面方向にスピードを上げて突撃した。レジアの羽を警戒しつつ、リドリアは器用な飛行テクニックで紙一重で爆破を回避していく。


 レジアは懐に入ってしまえば攻撃手段はない。最短距離で詰めたリドリアはレジアと面と向かって足の爪が届く距離にまで近づいた。


「ここまで来たらアタシの独壇場よ!」

「そうですわね。これまでの戦いなら」


 何か含みのある言い方に引っ掛かりを感じるリドリア。すると次の瞬間、突然リドリアの足元からレジアの羽が出現し、即刻爆発して吹っ飛ばしたのだ。


「ナッ!」


 リドリアの呆気にとられた様子にレジアは笑う。


「私の異能力だって進化しているのですわ。薄い羽一枚など砂埃の中に簡単に隠せます。もちろん、貴方のすぐ後ろにも」


 リドリアが爆破のダメージに足を地面に付けて後ろに下がってしまうと、そこにも既に仕掛けられていた羽が爆発し、追加ダメージを受けてしまう。


 そこから更にリドリアがよろめいた先にも爆発が起こり、確実に彼女の身体を負傷させていった。

 連続して爆撃を食らい続けるリドリアに、レジアは口角を上げて話しかけた。


「甘かったですわねリドリア。ここら辺一帯は既に私の狩場と完成しておりますのよ」

「なん、ですって?」

「私がよけられるのを分かっていてわざわざ空中に集中砲火を浴びせると? あれは下準備を誤魔化すための囮。本命は目くらましの間に地面に何枚も仕掛けておいた<陥穽爆羽(トラップウイング)>。

 貴方はそうとも知らずにわざと空間を開けた正面の穴を見た途端、自分からこのテリトリーの中に飛び込んできたのですわ!」


 勝ち誇ったように顎を上げて笑い出すレジア。誰が見ても明らかにリドリアはピンチに追い込まれてしまった。


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