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315話 誕生祭まで2日らしいです

 高校デビューの時にも感じましたが終わりに向けて書いてるのって結構辛いんですよね。多分、寂しいんでしょうね。

 でも、だからと言って無駄に長引かせるのは良くありません!

 頑張りますよ!

 誕生祭まで2日に迫った北川家はまるで戦争や災害が起きたのかと思わせる程に慌ただしい空気に包まれていた。


 例年も誕生祭を楽しみにする子供達の為に雄一が主導で騒がしいが、長い者では7年越しの想いが実る日と落ち着きのない女性陣で溢れ返っていた。


 間に合ったと感涙の涙を堪えるミレーヌはゼクス経由でエイビスのバックアップの下、最高のエステシャンに連日美容マッサージの日々を過ごし、ポプリは自国の誕生祭の手筈を整えるとダンガ入りしてミレーヌの美容マッサージにホーラと共に便乗していた。


 そんなポプリがミレーヌに問いかける。


「大事な日を前に言うのもどうかと思うのですが、私達はこうしてていいのでしょうか?」

「あの会議でユウイチ様とホーエン様が仰った事ですか? 確かに気にはなりますが、お二人が先日、一年後・・・の話と言われてたので私達に打てる手がない以上、今は結婚式に集中すべきかと!」


 色んな意味で後に廻されるとヤバい危機感で一杯のミレーヌの言葉は重い。


 マッサージで夢心地だったホーラが2人に問いかける。


「何の話さ?」

「まあ、ホーラにも話してもいい話なんだけど、今、聞いても、結婚式が終わってから聞いても事態は変わらないから終わった後でね?」


 いつものホーラであれば、さっさと話せ、と眉尻を上げるが、ここ数日、第三者から見ても頬が緩み、別人のように穏やかな姿を見せるホーラは「終わったら聞くさ?」とあっさりと頷いてみせる。


 ぶっちゃけるとホーラの頭の中は2日後の事で一杯であった。





 姉達が美容マッサージに耽る頃、長男のテツは緊張でガチガチになり、手足が同時に出すという典型的な緊張の仕方をしていた。


 紙に包まれたモノを片手に向かう先は台所。


 本当なら1年前に行動しようと考えた事ではあったが、雄一が今回の誕生祭に結婚式をするという事で一緒にするという理由から日和見したテツが先延ばしにしてた事である。


 台所に着くと中にはティファーニア、ディータ、そして、雄一から依頼されて喫茶『のーひっと』から出張してきてくれてるアンナ、ガレット、コホネに加え、学校の年長の女の子の有志が忙しそうに仕込みに追われていた。


 想像以上にギャラリーがいる事になった事に逃げ出したくなるテツだが、今を逃すと今回も無理になると腹を括る。


 気合いを入れるテツに最初に気付いたティファーニアが先に声をかけてくる。


「あれ? テツ君、どうしたの? 手伝いにきてくれたのかな? 見ての通り、人で溢れ返ってるから今はいいわよ?」

「えっと、そうじゃなくてですね? そのぉ、えーと……」


 しどろもどろになるテツが何を言いたいか分からず首を傾げるティファーニアであったが、逆にすぐに理解したアンナはニヤニヤとして近くの子達に情報を拡散させていく。


 またディータも気付き、微笑みながらテツに話しかける。


「まったくお前は……ギリギリの命の駆け引きには恐れずに突っ込むのに、こういう事にはからっきしだな?」

「ええっ、むしろ、これ以上に勇気いる事あるのですか? と聞きたいぐらいですよ!」


 顔を真っ赤にさせるテツの背を力強く叩いて「勇気がいるかどうかは知らんが、少なくても迷ってはいけない場面だ」と微笑むディータ。


 その微笑みを見たテツは姉らしい微笑みだ、と感心したと同時にダンテの実姉であったと苦笑を洩らす。


 まだ理解してないティファーニアにテツは紙に包まれた品物をお辞儀をするようにして渡そうとするのを首を傾げながら受け取るティファーニアにテツは叫ぶように伝える。


「ティファーニアさん! 僕と誕生祭に式を上げてください!」


 やっとテツが何に緊張してるか分かったティファーニアが息を飲む。


 そして、おそるおそる包みを開けると中から純白のドレスが出てくる。


「そ、そのぉ、もし宜しければ、こ、これから採寸合わせに行きませんか!!」


 目をグルグルさせるテツから視線を切ったティファーニアは後ろを振り返るとアンナはニヤニヤして手を振って、行ってこい、と口パクで伝え、周りの女の子も好意的な笑みを浮かべられる。


「うん、喜んで!」


 テツに抱きついて喜びを露わにするティファーニアが嬉しく恥ずかしいテツは、


「皆さんが見てますよ!?」


 と顔を真っ赤にさせて首を激しく振って、今にも色んな意味で死んでしまいそうなテツにトドメとばかりに頬にキスするティファーニア。


 恥ずかしさのリミッターが発動したようで意識が飛んでる人のようにティファーニアに連れられて台所を後にした2人は仕立屋に向かった。







明日・・ですか、アニキ?」

「ああ、俺とホーエンの見立てが間違ってなければな」


 冒険者ギルドのある一室で雄一、リホウ、啓太に恵、そしてミラーが難しい顔をしてその場の空気を重くしていた。


 その中で苛立ちが隠せない恵が机を叩く。


「もう! 私達を騙したアイツがここにやってくるの!? 私がとっちのめてやる!!」

「落ち着いて、メグ。僕達の力はアイツから与えられたモノだよ。正直、僕達が太刀打ちができるとは思えない。でも嫌がらせぐらいはさせて貰うけどね……!」


 恵より落ち着いて見えた啓太であったが恵以上にハラワタが煮えくり返っていた


 気持ちが分かるリホウは何て言ったらいいか分からない顔をしながら雄一に続けて話しかける。


「それでどうして、ミレーヌさんやポプリちゃんに一年後・・・と嘘を?」

「『ホウライ』は人の恐怖を力にする。姿を現すまで無駄に恐怖を煽りたくなかった」


 雄一はそのように言うがリホウもミラーもそれが本音ではないのは聞き返さなくても分かる雄一の態度が示していた。


「どうせ、結婚式を楽しみにするみんなの表情が曇るのが嫌で先延ばしにしただけでしょ?」


 男心が汲めない恵にあっさり言われるが、雄一は目を瞑るだけで何も答えなかった。


 そんな恵の口を手で塞ぎなら「ごめんなさい!」と謝る啓太を見ずに雄一は黙って被り振った。


「別に嘘を言った訳ではないですからね。しかし、合ってるからといって何でも口にしていいものでもないですよ?」


 ミラーに眼前に迫られてビビる恵は「分かったわよ……」と折れる。


 そういう所は出会った頃から成長の兆しが見えない恵に呆れたように首を振るリホウに雄一が話しかける。


「色んなパターンは話し合ったが、本番ではどうなるか分からん。柔軟な対応を頼むぞ、リホウ」

「へい、お任せください……それで、アニキ……」


 珍しく言い淀むリホウを閉じてた目を開いて見つめる雄一。


「諦めてませんよね?」

「……当然だ、最善を尽くす」


 そう言うと雄一は部屋を後にした。


 雄一を不安そうに見送ったリホウの肩にミラーの手が置かれる。


「大丈夫ですよ、ユウイチ様ならね」

「しかし、今回の事は余りにも……」


 ミラーの言葉を安易過ぎると眉を寄せるリホウにミラーは笑いかける。


「以前、友、エイビスにも言いかけた事なのですが、彼は『運命の調律者』なのですよ。これは神や精霊に与えられる称号ではありません。その上の存在、神や精霊の母なる存在から与えられるモノ」


 驚く3人に苦笑いするミラーは「私も存在するらしいと分かっただけで未確認だったのですがね?」と告げると続ける。


「私自身も架空の話かもしれないと思ってた時に彼を見て確信しました。母なる存在はいると……だから、信じて上げましょう。連鎖する運命を覆せる存在であると。女神と出会い、この世界に来たのが必然であった、そうは思いませんか?」


 そう笑みを浮かべるミラーにリホウは見つめ、肩を竦めて格好悪かった先程の自分を笑うように失笑する。


「俺達がアニキに出会ったのも必然ですかね?」

「当然です。私はそこが一番重要だと思ってますよ?」


 リホウとミラーが笑い合うのを見つめる恵が「馬鹿みたい」と空気を読まない言動を言うのを溜息を吐いた啓太に拳骨を落とされる。


「それではこうしてられません、行きますよ、ケイタ君、メグちゃん!」

「はい、行きましょう!」

「ケイタ! グゥで殴る事はないでしょう!!」


 そう言って3人が出ていき、見送るミラーは何ない空中を見つめて呟く。


「彼はここまで充分な程、辛い思いと悲しみを背負ってきました。まだ何を背負わせようというのですか?」


 何千年の間、強い感情に支配された事がないミラーが会った事もない『母なる存在』をぶん殴りたい衝動に襲われたが、無駄な行為だと諦めの溜息を吐くとミラーもその部屋を後にした。

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       雄一の孫の世代             こちら亜人ちゃん互助会~急募:男性ファミリー~  どちらも良かったら読んでみてね? 小説家になろう 勝手にランキング
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