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128話 最高のマブダチのようです

 バイブルの描写不足が大きく出たので、加筆修正させて頂きました。


 119話 次から次へとらしいです


 の話の中に雄一の心理描写を加えました。▼ と ▼ で挟んだ部分になります。これで雄一の心理状態が少しでも明確化できる事を祈っております(苦笑)

 ゆっくりとホーエンに歩いて近づいていく雄一の姿、いや、左の瞳を見つめて震える人物がいた。


 アグートである。


 うわ言のように「嘘よ、こんな事が現実にある訳ない」と後ずさり、座っていた椅子にぶつかって我に返ると、アクアがいる方向を見つめて目を血走らせて叫ぶ。


「どんな小細工をしたの! アクア!!」

「何もしてないわ。貴方がそこの男にしたように加護を与えた……違うわね、主様に私を捧げただけよ」


 アグートの威嚇も暖簾押しのアクアは涼しい顔をして答える。


 顔を青くして震えるアグートにホーエンは、雄一から視線を外さずに「どういうことだ!」と問いかける。


 ホーエンの言葉に答えないアグートの代わりにアクアが説明をする。


「初代精霊王が加護を与えたとされる者の話です。加護という力に振り回されず、十全に使いこなした最強『だった』者の話。その者、加護を与えし者の全てを受け止め、精霊の心を優しく包んだ最強『だった』者は、精霊王の元の属性の輝きを瞳に宿したそうです」


 アクアの言葉を聞いて、雄一から距離を取ろうとしたのか無意識か分からないがホーエンは後ろに下がる。


 そんな様子のホーエンに気にした風でない雄一は、同じペースでゆっくりと近づく。


「アグート! 今の話は本当の話かっ!」


 否定して欲しくて叫ぶホーエンは、ついに雄一から視線を切って、いや、見続ける事ができなくなりアグートを見つめる。


 ホーエンが見つめる先にいるアグートは蒼白を越えて、真っ白になり唇も紫がかっていた。


 震える声でつっかえつっかえ話し出す。


「只の言い伝えだと思ってた……だって、先々代の話よ、今いる精霊王ですら実物は見た事ないのよっ!」


 アグートの言葉を聞いたホーエンは、「クソッ、クソッ……クソッタレ!!」と叫んで何かを言おうとが先に雄一に言われる。


「瞳が輝いたから何だ? 過去に似たような奴がいたから何だという? 関係ないだろう? お前は過去の者と戦うんじゃない、今、目の前にいる俺と戦うんだ」


 自分が言おうとしてたセリフを言われた事に苛立ちを感じたホーエンであったが、そこでおかしい事に気付く。


 雄一から視線を切っていたホーエンは、雄一の声がすぐ傍から聞こえる事に驚いて前を向くと振りかぶる雄一の姿があった。


 ホーエンは声も上げる間も貰えず、雄一の右拳を頬にめり込まされると地面を滑って吹っ飛ばされる。


「余所見してようと何してても何も言わんが、それを負けた言い訳にするなよ」


 殴った姿勢から元に戻すと、再び、歩きながらホーエンの下へと向かう。


 飛び起きたホーエンは口の中に生まれた血を唾と共に吐き出すと両手を突き出して叫ぶ。


 叫びと共に無数の火球を生み出して雄一に目掛けて打ち出す。


「さっきとまるで別人じゃないか、どういう事だ!」


 叫ぶホーエンに雄一は何も答えず、片手を突き出した格好で同じように水球を放ちホーエンの火球を打ち消す。


 そして、先程と同じように歩き出す。


 雄一が歩く分、ホーエンは後ろに押され、突き出している腕が震える。


 そのホーエンの横に飛び込んで来て、並ぶように立つ赤髪の少女の姿があった。


「アグート、何をしてる!」

「今しかないのよ! アクアと女神が力を失っていて助けに入れない、今しか!!」


 アグートは、「一気に行くわよ!」と叫ぶと火球を生み出して雄一に打ち出す。


 ホーエンの火球にアグートの火球が追加された事で雄一の歩みを止めて拮抗する事に成功する。


「行けるわっ! ホーエン」


 喜色を見せるアグートに呆れた声をシホーヌはかける。


「やっぱり、赤い馬鹿は馬鹿なのですぅ。何も視えてないのですぅ」

「もう、貴方達の力が回復したの!」


 驚愕な表情を見せるアグートにアクアが首を振るのを見て、安堵の表情を見せるがホーエンは、「まさか」と呟き、雄一を恐怖に彩られた瞳で見つめる。


「例え、私達の力が回復しようとも、ここから動く気はありません。何故なら、主様は言いました。私達の言葉を証明してみせると」


 アクアの言葉が終わるのを待っていたかのように、体の芯に響くような低い音がホーエン達が手を翳す方向から伝わってくる。




 ハアァァァァァァッ!!!




 雄一の左目の青い輝きが増して、生み出す水球の大きさも数も2人を凌駕していく。


 再び、形勢が逆転させられた2人は必死に雄一の力に抗おうとする。


「おかしいわよっ! 言い伝えの者ですら、ここまでの事ができたはずないわっ!」

「貴方は昔から人の話を聞かない人ですね。先程、私は言いましたよ? 最強『だった』者の話と」


 雄一が、ホーエン達を押しながらも上空に目を剥くような水槍を生み出しているのにホーエンが気付き、舌打ちする。


「だから、私とアクアが言ったのですぅ。ユウイチが最強だと」


 雄一は水槍をホーエン達に打ち出すとホーエンは隣にいるアグートを蹴る事で範囲外に飛ばして、その反動を利用して直撃から免れるが余波で吹っ飛ばされるが踏ん張って耐えるとフェイントも無視して雄一の懐へと飛び込む。


 それに合わせるかのように雄一は後ろに飛んで、地面に刺したままの巴を手に取ると構える。


 追撃するように突っ込んできたホーエンと打ち合いを数手するとお互い距離を取る。


 雄一を見つめるホーエンは引き攣りながらも笑みを浮かべる。


「お前は強い、だが、それは魔力だけの話だ。肉弾戦であれば、俺達に大きな差はない!」


 そうやって強がるがホーエンにも分かっていた。


 魔力の戦力比のような絶望はないが、10回やれば7回は間違いなく負けるとそれなりの強者であるホーエンには痛いほど理解していた。


 例え、そうであったとしても、その勝ちを拾える方法を取るしかないと自分を奮い起こす。


 そんな内心を必死に隠すホーエンの本心に気付いているか分からない雄一であったが、巴で肩を叩きながら見つめてくる。


「本当にそう思うか?」


 そう呟いた雄一の言葉を聞いた瞬間、ホーエンは喉元に刃を突き付けられたような錯覚に襲われる。


 雄一は、両目を閉じる。


 そして、開いた時、左目の青い輝きがなくなっているのを見たホーエンは後ずさる。


「嘘だっ! 嘘だぁ!!」


 ホーエンが見つめる先にいる雄一の左目は元の黒に戻っているが、右目が金色に輝いていた。


 認めたくない事実を拒否するように被り振った一瞬で雄一の姿を見失う。


 すると、一瞬の浮遊感を味わうとホーエンは悲鳴を上げながら前方に吹っ飛ぶ。


 脂汗を流しながら立ち上がるホーエンを見つめながら雄一は近づく。


「ちょっとした意趣返しはどうだ? 俺のあの時の気分が味わえたか?」


 力なく笑うホーエンは雄一に問う。


「青い輝きはまだ分かる。だが、その金色の輝きはなんだ!……まさか、女神の加護なのかっ!」


 その言葉に雄一は答えずに近づいていく。


「精霊を受け止めて、更に女神まで受け止めただと? どんなインチキをした! 人の器で2つも受け止めれる訳がないだろう!」

「男の僻みはみっともないのですぅ。自分が1つすら受け止めきれてないからといって、自分の基準をユウイチに当て嵌めないで欲しいのですぅ」


 シホーヌは、雄一が自分を受け止めてくれた事実を穢す事を言うホーエンに怒りを覚えたようで、シホーヌらしくないキツイ言葉を吐く。


 だが、それを聞いていたホーエンに蹴られて、倒れていたアグートが何かに気付いたようで立ち上がる。


 ホーエンに近づいていく雄一目掛けて、火球を先程のように打ち出す。


 雄一はそれを避けたり、巴で切り裂いたりするのを見て、アグートは自分の考えに自信を持つ。


「ホーエン! まだ諦めないで。アクアの加護は魔力を増大させる。女神の加護は身体能力を上げる。でも、神の力と精霊の力は反発するの。相性が悪いから切り替えないと使えないのよ!」

「でかした、アグート! これで僅かなりに勝機が生まれた」


 一時は絶望していたホーエンであったが、アグートの言葉で持ち直したようで目に力が戻る。


 それを見ていた雄一は溜息を吐く。


「本当に何も見てないし、視えてないんだな。あの2人を神と精霊というカテゴリでしか見ないからお前達は愚かなんだ」


 雄一の力みもなく、当然のように話す言葉を聞いて、希望を見出した時の表情のまま凍りつかせる2人の姿が痛々しさが増す。


 静かに雄一は両目を閉じる。


 閉じた瞳から漏れる光に2人は抑える事のできない恐怖が全身を支配する。


 アグートは、腰を抜かしてペタリとお尻から地面に落ち、ホーエンは戦意喪失して構えていた拳を下ろしてしまう。


「神? 精霊? 相性だとか摂理だろうが関係ないな。あの2人は心を越えて魂のマブダチだぜ?」


 開いた雄一の瞳が金と青のオッドアイのように光を放っていた。

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       雄一の孫の世代             こちら亜人ちゃん互助会~急募:男性ファミリー~  どちらも良かったら読んでみてね? 小説家になろう 勝手にランキング
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