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優しいだけの嘘つきは今日もラブコメを演じる ~幼馴染、義妹、婚約者、金髪碧眼、親友に迫られてます! 俺? ごくごく普通の陰キャモブですが……  作者: なつの夕凪
~第一章 天使同盟編~

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第238羽♡ ギャルしか勝たん!

 

 7月31日11時に白花学園高等部第二校舎屋上に、楓たちに来てもらうことで話はまとまった。

 

 だが、俺の旅先元クラスメイト外泊疑惑が収まったわけではなく「緒方をかっさらおうとしたヤツはどこのどいつだ!?」とか「NTRは許さないわ、異端の魔女をしょっ引く!」などと話は続き、仕方なく俺が、被疑者セナをRIMEビデオ通話で呼び出すことになった。

 

 5コール後に何も知らないセナが「どうしたの? 忘れ物かな?」と、通話に出てくれた。

 

 事情を説明する間もなく、割って入ってきたグラサン4人衆に問い詰められたセナは、突如、降りかかった不幸を理解できず、明らかに怯えていた。

 

 「もう、やめてあげて! セナのライフ、ゼロよ」と俺が叫んでも、グラサンたちは聞いてくれない。

 

 リナも俺と一緒に、さくらたちを止めるべきだと思うが、あまりの迫力にビビったのか、両足を揃え、ちんまり椅子に座り、借りてきて猫のように大人しくしている。


 (ズルいぞ妹よ。兄ちゃんはこの場から今すぐ逃げたいよーー!)

 

 (しかし、このままではセナがグラサンたちの餌食に……)

  

 ――心配していたが、杞憂だった。

 

 偶然にも、セナの家に遊びに来た真凛先輩(パイセン)が、マジ半端ないギャルのコミュ力で、グラサン4人衆を封殺した。

 

 名門三条院女学院で中等部まで過ごし、現在通う白花学園にもギャルがいないため、耐性のないさくらは、先輩のテンションについて行けず、珍しいことに防戦一方になった。

 

 ……どうやら、悪役令嬢兼大魔王さくらたんにも天敵がいたらしい。

 

 楓と宮姫については、真面目で大人しいというところは、セナと通じるところがある。

 

 しばらく話しているうちに「この子、全然悪くない」と理解したらしく、いつの間にか沈静化し、矛を収めていた。

 

 前園に至っては、先輩が配信しているTukTukの美容系チャンネルに、前後の脈絡なしに、突然出演オファーされ、あっさりと快諾した。

 

 陽キャとは、面白そうだったら細かいことを気にしない生き物らしい。

 

 (とりあえず、ギャルしか勝たんってこと?)

 

 こうして真凛先輩の完璧な爆弾処理のおかげで、窮地を脱したかと思った。

 

 しかし、働き者の先輩は撤去した爆弾の代わりに、新たな爆弾を二つも設置した。

 

 「てか昨日、カスミっちが、ウチのブラ、ガン見してて草〜! メロすぎてしぬ〜」

 

 「来月トーキョーINするからぁ、、カスミっち、アフターよろぴー♡ ジャグジー付きホテルでぇ、ふたりでギリハッピーしたいんだが〜」

 

 ――先輩爆弾の殺傷性は半端なかった。

  

 元から先輩を知る、俺、リナ、セナ、短時間で意気投合した前園は「やれやれ、なんか言ってるよ」と言った感じで流せるが、明らかに相性の悪いさくらと宮姫は、このギャルを放っておくと、マジでヤバいという認識のようだ。

 

 ふたりとも、非常警戒レベルをクリティカルに設定したらしく、グラサンを外し、厳しい視線を先輩に向ける。

 

 しかし、スマホ越しに睨まれるギャルは、どこ吹く風で余裕の笑みを浮かべていた。

 

 グラサン軍団の中でただ一人、ギャル語が理解できない楓は、頭の中が?でいっぱいになったらしく「メロ? 草? あふたぁ? さっきからこの子、何を言ってるのかな?」と言った感じで、グラサンをかけたまま、かわいらしく小首をかしげていた。

 

 こうして、東西7人のJKを巻き込み、カオスになったビデオ通話は、つかみどころのない真凛先輩がスルりスルりとかわすため、真相に迫ることなく、なし崩しで終了した。


 その夜、しばらくは連絡するのは止めておこうと思っていたセナに、早くも詫び電を入れる羽目になった。


 開口一番に「あんなに女の子がいるのに、何でわたしだけ?」と愚痴られた。

 

 ……何も弁明できなかった。



 ♠~♡~♦~♧~♠~♡~♦~♧~


 

 グラサン軍団から解放された俺とリナは、二日ぶりに自宅に戻った。

 

 楓と前園は引き続き、国立の赤城邸でKa-Rin(カリン)合宿中のため、プロデューサーさくらと一緒に戻った。

 

 時刻は午後4時過ぎ……今日もディ・ドリームでのバイトを休んでしまった。


 でもDreamLatte(ドリームラテ)のダンスレッスンには、間に合うため、新幹線に乗る前にOY駅で買ったお詫び用の銘菓を持ち、2日ぶりに女形おがたカスミンの姿で、スタジオに向かう。

 

 ……デビューライブは8月1日だ。

 あと3日しかない。

 

 三人の中で一番できていない()()()が大事な時期に休んだのだから、当然コーチには叱られた。

 

 今後、休まないことを条件に、練習に参加させてもらう。


 ピリッとしたスタジオは、現実を思い出すには十分だった……


お越しいただき誠にありがとうございます。


お時間がございましたら「ブックマーク」「いいね」「評価」「誤字修正」「感想」「ご意見」など頂けましたら幸いです。


一言でも「ここ好き」などあれば、ぜひ教えてください。


前園凜さん(16)  制服を着崩している人  notギャル 陽キャ

鈴木真凛さん(15) ギャルギャルしている人 ギャル 陽キャ

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四人の心境を考えると致し方なし……ですが。 カスミ、自力では切り抜けられませんでしたね……。尤もそれだけ皆がカスミのことを大事に思っているのでしょうし。カスミ自身もわかっているのでしょうけどね……。 …
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