表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍化】 目覚めたら悪役令嬢の中でした  作者: 氷雨そら
第4章 残された魔法と真実

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/74

魔人と師匠の幸福な時間



 ラウル師匠は、いつものヘラヘラとした偽りの笑顔なんかじゃない。リーティアを見つめる瞳は、真摯でまるでその目が、好きだと言っているようだった。


 そう自覚した瞬間から、私はかつてずっとそうだったように、体の奥から成り行きを眺めるだけの存在になる。


 一瞬だけ、表に出られることにはもう慣れているけれど、どうしてこんなことが起こるのか、いまだに理解しかねる。


「……ラウル様」

「ふふ。さっきの師匠さんって呼び方、もうしないの?」

「何仰っているんです? 本当に、おかしなお方」

「えぇ、ひどいなあ。おかしかったのは、リーティアの方だったのに」


 幸せな空間、幸せな時間。

 でも、海底神殿を沈めてしまった冷たい目をしたあの人と、ラウル師匠が同一人物だとはとても思えない。


 もしかしたら、私がいるのは海底神殿が沈む前なのかもしれない。


 リーティアが、そっとラウル師匠にすり寄った。


「えっ。どうしたのリーティア」

「ラウル様……子どもができたみたいなのです」

「えっ?!」


 頬を赤らめるリーティア。

 目を見開くラウル師匠。


 体が高く浮き上がる。

 次の瞬間、リーティアの体は、高く抱き上げられていた。


「危ないですわ……!」

「ごめん! 嬉しくてつい」


 そう言いながらも、リーティアは内心穏やかではないことが、私にも伝わってくる。


「私……、幸せです」

「俺もだよ。だからずっとそばに」

「はい……」


 でも、なぜか私には分かってしまう。

 ずっと二人で幸せには過ごせないことを。


「座っていて! 絶対無理したらダメだから」

「ふふ、大袈裟です」

「今日は、ご馳走を作らないと!」


 ラウル師匠は、部屋の外に飛び出していく。

 その様子を微笑ましいものを見るようにしたリーティアが、表情をかげらせて、つぶやいた。


「……でも、この子たちのためにも、魔人の国に繋がる扉は私が閉めないと。だから、ずっと一緒にはいられないの。ラウル……」


 ほんのりと、リーティアの体を金色の魔力が纏った。私と同じ色の魔力。


「レナス、この体を返すこともできない私を許して」


 リーティアが鏡を覗き込む。

 この鏡は、公爵家の私の部屋にあったものと同じだ。


 その瞬間に、私の腕を誰かが強く引き寄せた。


「――――っ?!」

 

「アイリス!」


 振り返るとそこには、私の腕を掴んで瞳を心配そうに揺らしたフェリアス様がいた。


「アイリスがなぜか、鏡に吸い込まれてしまうかと思った」


 ――――うん。実際に吸い込まれました。まあ、実際はレナスの中にというのが正しい気もしますが。


「フェリアス様……ラウル師匠に会わないと」

「――――アイリス、一体何が起こった」

「リーティアとラウル師匠は、結婚していたんです」


「は?」


 フェリアス様が、唖然とした顔を見せた。

 これは中々見られない表情だ。


 まずは、今起こったことをフェリアス様にわかるように説明しなくては。うまく説明できる気がしないけれど。


 でも、今見た光景は、たしかに現実だったのだと、そして全てを終わらせる鍵は、ラウル師匠が持っている。そう、私は確信していた。

最後までご覧いただきありがとうございました。


『☆☆☆☆☆』からの評価やブクマいただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『目覚めたら悪役令嬢の中でした』


html> イラストは木ノ下きの先生に描いていただきました。加筆改稿書き下ろしたっぷりの電子書籍版もどうぞよろしくお願いします(*´▽`*)
― 新着の感想 ―
[一言] 色んな意味で先輩だった師匠
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ