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3☆山岳地帯

そこは石灰岩の山が雨水によって削られて無数の山になっている場所だった。

パラシュートをうまく操れないで、谷側に落下した。

ドーン!!

おそらく小型機が墜落したのだろう。音と地響きが伝わってきた。

俺は狭い場所へ滑り落ちていく。

「パラシュートをはずすんだ!」

多田さん!

1番近い山の上からこっちを見下ろしている。

俺は背中に担いだパラシュートをなんとか外し、そうすると、かなり身軽になった。

「登って来れるか?」

「やってみます!」

スーツ姿で何をやってるんだろう?

まあ、とにかく、山頂に登った。

「すまない」「ありがとうございます」

ほぼ同時に言った。

「点検の時に燃料キャップを外したままにしていた俺のせいだ」

多田さんはそう言った。そうかそうなのか。でも、

「助かったからいいじゃないですか」

俺はニカっと笑った。

バラバラバラバラ……

救助のヘリが上空でホバリングしている。

ちょっと離れた山に落ちた愛が1番に救助される。次に俺と多田さん。

上空から身下ろすと、小型機がひしゃげてバラバラになっているのが見えた。

「保険には入っていたから、小型機は弁償できそうだよ。あとは君たちに怪我がないかとかなんだけど」

多田さんがすまながってどうしようもなかった。

東の街の総合病院に収容された。幸い誰も怪我はなかった。

「様子を見て2、3日入院してください」

「いいえ、すぐ退院させてください、急ぎの用事があるんです」

愛の剣幕に医療従事者が折れた。

「さあ、行きましょう」

「俺?俺も?」

「あなた名前を名乗らないと、自称ジェイムズボンドでニュースに出ちゃうわよ」

うーん、それはそれで困らないが……

「田中一朗」

「本当に?」

「うん。なんで?」

「偽名っぽい」

「本名だよ」

胸ポケットをまさぐる。良かったなくしてなかった。名刺入れから一枚取り出して愛に手渡す。

「本当だー」

会社名と肩書きも載っていたが気に留めなかった。

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