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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間⑰

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閑話⑰-3 敵は直ぐ側にもいる

「ひ、ひどい目にあった……」


 応接室から脱出した紀元は壁に寄りかかりながら、おぼつかない足取りで廊下をゆっくり歩き始める。


「なんで俺が配信のカメラマンをやらなきゃいけないんだよ……ほかにも仕事が山積みだって言うのに……」


 大きなため息を吐きながら項垂れる紀元だったが、背後から忍び寄る気配を感じ取るととっさに反対側の窓際まで飛びのく。


「チッ……あと一歩だったのに……」

「うまく気配を消したつもりかもしれんが、殺気がだだ漏れだ」

「妙に昔から勘だけは鋭いんだから……大人しく倒れていれば苦しまずに逝けたのに」

「こんなところで死にたくねーよ。そもそも会社で人生の最後を迎えるとか、嫌すぎるだろ!」

「え? 最高じゃないの? だって過労死による心臓発作ということにしてしまえば、みんなハッピーじゃない」

「何がみんなハッピーだ! お前の歪んだ認識はどうにかならないのか、雫!」


 紀元が大きく息を吐きながら呆れたように話しかけたのは、従妹であり部下の雫だった。


「え? だって悟兄さんは激務から解放され、私は博士とお近づきになれる……みんなハッピーエンドじゃない。何が間違ってるの?」

「間違い過ぎだろう! 俺はこの世から別れないと仕事から解放されないんだよ!」


 怪しげな笑みを浮かべ、妙に優しい声で紀元に話しかける雫。窓から差し込む光に照らされた彼女の手には、透明な針のようなものが握られていた。


「もう何も考えなくていいんだよ?」

「どう考えても社内で殺人事件とかまずすぎるだろうが!」

「だーかーらー苦しまずに怪しまれずに楽になれるんだって! ヤプー知恵袋に書いてあったんだから大丈夫!」

「一番アカンやつだろうが! だいたい情報の出所が怪しすぎるだろうが!」


 必死に叫ぶ紀元に対し、不思議そうな表情で首をかしげる雫。


「えー、じゃあ可愛い従妹が捕まってもいいの?」

「知るか! はぁ……もうちょっと考えろよ、迷宮の中で処理するとかさ……」

「あ! その手があった! そうだ、()()()()に今から迷宮に行・か・な・い?」


 話を聞いた雫が上目づかいになり、両手を胸の前で握りしめると甘えた声で問いかける。


「誰が行くか! だいたいなんでお前の為なんだよ!」

「えー? 可愛い従妹のお願いなんだよ?」

「話にならんわ……お前のために命かける理由なんて、どこにもない」

「はぁ……そんなんだから、いつまでたっても彼女ができないんだって」

「余計なお世話だ! というか、お前にだけは言われたくねーよ!」


 紀元の絶叫が廊下に響き渡ると、歩いていた社員が一斉に振り返り始める。そして、二人の様子を見ると怪訝そうな顔で話し始める。


「あれって本部長だよね……新入社員を捕まえて何してるのかしら?」

「峯川さんだよね……まさか白昼堂々口説いてたとか?」

「いつも飯島博士と一緒にいるから……まさか……」


 紀元の耳にヒソヒソ話す社員の声が届き始めると、額から滝のような汗が流れ始める。するとわざとらしく大きな声を出し、雫に話しかける。


「み、峯川! 早く打ち合わせを終わらせるぞ!」


 慌てた紀元が雫を手招きして会議室に押し込んで扉を閉めると、大きくため息を吐いて項垂れる。


「あれあれ? 悟兄さんどうしちゃったのかな?」


 悪い笑みを浮かべた雫が口元に指を当て、煽るように話しかける。


「この野郎……お前のせいであらぬ噂を立てられそうになってるじゃねーか……」

「それは()()()()()が招いた結果じゃないの? 本部長さん?」

「この野郎……いつか痛い目にあわせてやる」

「わーパワハラこわーい! 博士に言いつけちゃおうかな」

「ぐぬぬ……」


 紀元が悔しそうな表情を浮かべていると、急に何かを思い出した雫が手を叩きながら問いかける。


「まあ、悟兄さんがどうなろうと興味はないんだけど。少し前に社内を歩いていたら、奇妙な少年に声をかけられたんだよね」

「奇妙な少年?」


 雫の話を聞いた紀元が眉間にしわを寄せながら聞き返す。


「あー絶対信じてない顔だ! ホントにいたんだよ! 中学生くらいの白髪の子だったかな? 飯島博士に用事があったみたいで、モニタールームまで案内したんだから」

「どうして社内に少年がいるんだよ……しかも、部外者を案内するって……なぜ俺に連絡しなかったんだ?」

「内線もかけたし、スマホにも連絡したけど出なかったじゃん。先輩に聞いたら、博士と連絡とってくれて問題ないから連れてきてって言われたもん」

「……あの人は何考えてるんだよ……」


 項垂れる紀元に対し、雫が胸を張って話しかける。


「えー別にいいじゃん。博士も問題ないって言ってたし、私も案内したことを褒められたわけだからすべてオッケーよ!」

「そういう問題じゃねーだろうが!」


 紀元の絶叫が室内に響き渡った時、雫が奇妙なことを言い始める。


「あ、でもあの少年はなんかおかしかったんだよね。飯島博士のことを『マスター飯島』って呼んでたし、どこか機械と話してるような感じがしたし……」

(ん? なんか妙に引っかかるな……)


 雫の話を聞いた紀元は眉間にシワを寄せ、腕を組むと考えを巡らせ始める。

 飯島を訪ねてきた少年とはいったい何者なのか……

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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