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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第三章 新たな災難の襲来

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第5話 迷探偵ルリ爆誕?

 瑛士は、ずっと引っかかっていた謎をルリにぶつけてみた。


「そう言われてみれば、不思議じゃのう……」


 瑛士の質問を聞いたルリが腕を組みながら考え込み、重苦しい空気がリビングを支配し始める。


(ルリ、何か答えてくれ……)


 自らの心臓の音がどんどん早くなるのがわかるほど、追い詰められていく瑛士。永遠とも思える沈黙の時間に耐え切れなくなった時、ルリが顔を上げた。


「ご主人、いろいろ考えてみたのじゃが……」

「ルリの考えを聞かせてくれ!」


 いつになく真剣な表情をしたルリの視線が、瑛士に向けられる。息を飲み、心拍数が上がる音を感じながら答えを待つ瑛士。


「うむ、わらわが出した結論じゃが……本当に()()は良いか?」

「ああ、どんな答えであろうとも受け入れる準備はできてる。早く教えてくれ!」

「わかったのじゃ……」


 目を閉じて小さく息を吐き、真剣な眼差しを向けるルリ。その迫力に圧倒され、思わず息を飲む瑛士。部屋中に張り詰めた空気が漂う中、彼女が口を開く。


「結論から先に言おう。わらわには……わからん!」

「はぁぁぁ!? ふざけるな! あれだけもったいぶっておいて『わからん』ってどういうことだよ!」


 返ってきた答えに納得できるわけもなく、怒りを露わにする瑛士。しかし、そんな彼の様子を気にすることなく、ルリは悔しそうな表情を浮かべていた。


「わからんものは、わからんのじゃ。くっ……稀代の名探偵と呼ばれたわらわをもってしても、この謎は迷宮入りなのじゃ……」

「お前は“迷”探偵のほうだろうが! 謎なんて一つも解いたことないくせに!」

「なんと! わらわの活躍を知らぬとは……」

「知らねーよ! だいたい引きこもってゲームか謎配信してるようなヤツが、何を“活躍”してるんだ?」

「しかたがない、教えてやろう! 先日話したドラマの犯人を、誰よりも早く見抜いておったのじゃぞ!」

「それはドラマの話だろうが! 視聴者にもちゃんとわかるように作られてるんだよ!」

「何を言うか? 主人公が解き明かす前に言い当てたのじゃぞ? 下僕どもの『さすがルリ様! 名探偵ですぞ!』と拍手喝采だったのじゃからな!」

「お前のファンって、何か洗脳でもされてるんじゃないのか……」


 胸を張って堂々と言い放つルリに対し、がっくりと肩を落として何も言えなくなる瑛士。


「おや、ご主人? どうしたんじゃ? まだ謎は解決しておらんぞ!」

「全部お前のせいだろうが!」


 リビングの窓ガラスが揺れるほどの大絶叫が響き渡る。


「危なかったのじゃ……咄嗟に耳を塞いでおらんかったら、大変なことになったのじゃ。ご主人? やけに疲れ果てておるが、大丈夫か?」

「おーまーえーなー」

「冗談はこのくらいにして、本題に入るぞ」

「ふざけんな! 今までの時間を返せ! モーゲンダッツを全部没収するぞ!」

「な、なんてことをするのじゃ! わらわの生命線を奪い取ろうなど……鬼畜の所業にもほどがあるぞ!」

「うるさい! お前がふざけてばかりいるからだろうが!」

「ちょっとしたジョークでないか。そんなこともわからずムキになって……わらわの……あ゛い゛ずを……」


 真っ赤な顔で抗議するルリの目には、今にもこぼれ落ちそうな大粒の涙が溜まっていた。


(まずい……さすがにやりすぎたか……)


 その姿を見た瑛士は、申し訳なさそうに彼女へ声をかける。


「……わかった、俺がちょっとやりすぎた……」

「わがればよいのじゃ……スカイシールアイス三段重ねで許してやるのじゃ」

「なんでそうなるんだよ!」

「なんじゃ? 不満なのか? 別にかまわんぞ、ちょっと下僕どもに愚痴配信を……」

「私が悪うございました! 頼むからこれ以上、殺害予告とか増えるのだけは勘弁してください!」


 光の速さでルリの足元に駆け寄り、見事なスライディング土下座を披露する瑛士。その様子に満足したのか、ルリが勝ち誇ったような顔で話し始める。


「苦しゅうないぞ。さて、本題に入るとするかのう。ご主人、ちょっと手を休めて()()()()でも吸わぬか?」

「いったいどういう風の吹き回しだよ?」


 顔を上げた瑛士が不思議そうに聞くと、ルリが人差し指を口に当てて制止する。耳元に近寄ると小声で囁く。


「これから外に出るまでは、わらわに話を合わせてほしいのじゃ。ご主人なら()()()()が分かるじゃろ?」

「……嫌な予感がするが、まさか?」


 瑛士が聞き返すと、すぐにルリは部屋の隅にあるコンセントに視線を送る。


「なるほど、そういうことか……ルリ、準備も一段落したことだし、ちょっと外の空気を吸いに行くか?」

「そうじゃな。だいぶ涼しくなってきたじゃろうから、気分転換に行くのじゃ」


 わざとらしく声を上げると、リビングから庭へ出る二人。蔵の近くにある木陰まで移動すると、ルリが口を開く。


「ここまでくれば大丈夫じゃろ。おそらく、わらわたちの会話は筒抜けじゃろうからな」

「ああ、まさか盗聴器が仕掛けられている可能性があるとはな……まあ、犯人の目星はついているが」

「そのことなんじゃがな……ご主人が思っているような代物ではなさそうじゃぞ」

「は? コンセントの裏に盗聴器が仕掛けられているんじゃないのかよ?」


 ルリの言った言葉の意図が理解できず、驚いて聞き返す瑛士。


「落ち着いてよく聞くのじゃ。盗聴するものは仕掛けられておるが、ただの機械ではなさそうなんじゃ……ほれ、迷宮で見た水の本があるじゃろ?」

「そういえばあったな。何の関係があるんだ?」

「んー、言いにくいのじゃが……アレと()()()()()()を感じるのじゃ」


 ルリが明かした衝撃の告白に、瑛士は言葉を失う。

 誰が、何の目的で瑛士の家に魔法を使ってまで仕掛けたのか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
読ませていただきました。 ストーリーの展開が面白くて、文章も読みやすく、サクサク読んで最新話まで一気に読んでしまいました。 ルリちゃん、喋り方も態度もめちゃくちゃ好みです。可愛い。 続きも楽しみにして…
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