表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第十六章 迫る限定配信

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

189/213

第11話 近づく悪夢(ナイトメア)の再来

 いーちゃんの発言を聞いたルリが固まっていると、背後から声をかけられる。


「ついに本性を現しやがったか……」

「ご、ご主人? 起きておったのか!」


 慌てて振り返ると、画面を睨みつけて険しい顔をした瑛士がソファーに座っていた。


「ああ、少し前にな」


 瑛士が声を上げると、小さく息を吐いた音羽が呟く。


「チッ……打撃が甘かったか」

「音羽さん……聞こえてますよ?」

「え? 瑛士くん、どうしたの? それよりも、いきなり起きるからビックリしたじゃない」


 瑛士の声を聞いて振り返った音羽は、上目遣いで心配そうに話しかける。


「いやいや、誰のせいで気絶したと思ってるんですかね?」

「エー、ナンノコトカサッパリワカラナイワ」

「めっちゃ白々しいぞ……」


 瑛士と音羽が謎の攻防を始めようとした時、ルリが二人の間に割って入る。


「ご主人も音羽お姉ちゃんも静かにするのじゃ! いーちゃんがとんでもないことを言い出しておるぞ」


 ルリの言葉を聞いて、二人が配信画面を見た時、いーちゃんのテンション高い声が響き渡る。


「じゃあ、鬼ごっこのルール説明をするわよ。まず二人の拘束を解いて、少し時間を与えるわ。その間はホーンラビットたちが襲ってこないから、頑張って逃げてね。ちなみにゴールは二か所、一階層へ続く出口と二階層へ続く入口よ」


 いーちゃんの話を聞いた男たちの表情が一気に明るくなる。


「ほう? 出口まで用意しておるとは良心的じゃないか」

「ですな。迷宮の内部を熟知した我々なら問題ない」


 談笑を始める男性たちだったが、次に放たれた一言で状況は一変する。


「言い忘れてたけど、モンスターたちが襲いかかるまでの時間は()()()()だからね。まあ、成人男性が頑張って走ればギリギリ逃げ切れるわよ」

「は? たった三十秒だと……」

「ちょっと待て貴様……ここから出口までどれほどの距離があると思っているんだ!」


 いーちゃんの話を聞いた男性たちが、血相を変えて猛抗議を始める。その様子を見た音羽が唇をかみしめると、瑛士に話しかける。


「瑛士くん、聞いた? 三十秒で出口まで逃げ切れって……」

「ああ、俺たちでもギリギリだぞ……」


 二人の会話を聞いたルリが、真っ青な顔で二人に問いかける。


「ご、ご主人たちがギリギリじゃと? それじゃあ……」

「ああ、間違いなく逃げ切れない。あんなメタボ体型な二人ならなおさらだ……」


 重苦しい空気がリビングを支配し始めた時、能天気とも思えるいーちゃんの楽しそうな声が響き渡る。


「あれれ? 二人とも顔が真っ青だけどどうしちゃったのかな?」

「ふ、ふざけるな! そんな短時間でどうやって逃げ切れというのだ!」

「えー? そんなに難しいかな?」

「き、貴様……こんなことをしておいて、ただで済むと思うな!」

「そうじゃ! すぐにでも裏社会の人間に……」


 男性たちが一斉に声を上げると、凍り付くような声で話しかける。


「……まあ、私欲を肥やすことしかできない豚どもには、ちょうどいい運動になるんじゃないかしら。まあ、()()()()()()()()()だけどね。時間がもったいないから始めるわよ」


 あまりの豹変ぶりに男性たちが驚き、声を出せずにいると、甲高い声が響く。


「じゃあ、リスナーのみんなも逃げ切れるかどうか予想してみてね。それじゃあ……ゲームスタート!」


 いーちゃんが宣言すると同時に、男性たちを拘束していたロープと椅子が消え、しりもちをついてしまう。


「あれれ? そんなところでボーっとしていていいのかな?」

「は、はやく逃げなければ!」

「お、おい! 先に逃げるなんて卑怯だぞ!」


 我先にと一階層の出口めがけて駆け出すと同時に、ホーンラビットたちが一斉に二人に襲いかかる。


「お、おい! どういうことだ? モンスターどもがこっちに向かってくるぞ! 話が違うじゃないか」

「貴様……やはり騙したな」


 顔面蒼白になった男性たちが悲鳴のような叫びをあげると、気怠そうにいーちゃんが答える。


「あー言い忘れてた。()()()()()()()を二人に纏わせてあるから、まだ襲われないわ。安心して逃げ回ってね」


 ホーンラビットたちが一斉に二人に襲いかかるが、攻撃が届くことはなかった。その様子を見た男性たちは、歪んだ笑みを浮かべる。


「ふはは! モンスターどもも大したことはないな!」

「そうですな、理事長。これなら余裕で逃げ切れそうじゃ」


 透明な壁に阻まれるように、次々と跳ね飛ばされていくモンスターを見た二人が勝利を確信した時だった。


「思ったよりも健闘してるわね……じゃあ、()()()()かしら」


 いーちゃんが低く冷たい声で呟くと状況は一変する。


「ギャー! な、なぜじゃ……まだ時間には余裕があったはずでは?」

「く、来るな! 儂を誰だと心得ておる!」


 突然、男性たちの悲鳴が響き渡ると、彼らにまとわりつくようにホーンラビットたちが襲い始める。


「チッ、儂だけでも逃げ切らねば……そうじゃ!」


 副理事長の男性が一瞬、背後を振り返ると不敵な笑みを浮かべる。次の瞬間、目の前にいた理事長の肩を掴み、引き寄せるようにして転倒させた。


「き、貴様! 何を考えている!」

「うるさい! 助かるのは私一人で十分じゃ! せいぜい時間稼ぎの囮になってくれ」

「ま、まて……ギャー」


 転倒した男性が起き上がろうとした隙を見逃すはずもなく、ホーンラビットたちが一斉に襲い掛かる。短い悲鳴が上がった直後、草むらが真っ赤に染まっていった。


「ふはは! 出口まであと数メートル……()()()()だ!」


 勝利を確信して後ろを振り返った瞬間だった。男性の腹部に、鈍い痛みと焼けるような熱さが襲いかかる。


「は? ど、どういうことだ……」


 ゆっくり視線を下ろすと、真っ白な物体が男性の腹に突き刺さっていた。そして、徐々に赤いシミが広がり始める。


「そ、そんなばか……な……」


 次の言葉を上げる暇もなく、今度は胸の中央に風穴があく。勢いよく血しぶきが舞うと、断末魔の叫びを上げることなく地面に倒れこむ。


「あーあ、もう終わっちゃったのね。つまんないー」


 心底がっかりしたように呟くと、大慌てで場を取り繕うように話し始める。


「リスナーのみんな、ごめんね! せっかくスピーカーに上がってもらってお話しする機会がなくなっちゃって……でも、安心して! 近いうちに迷宮直前スペシャルで楽しんでもらえるようにするから! 今日は聞いてもらってありがとう! じゃあ、次の配信で会おうね!」


 打ち切るように話を終わらせると、画面に『この配信は終了しました』の文字が映し出される。重苦しい雰囲気にリビングが包まれる中、瑛士が口を開く。


「ついにやりやがった……」

「……見せしめといったところかしら……」

「間違いないだろうな。俺たちに対する脅しと考えるのが妥当だろう」


 瑛士と音羽がこぶしを握り締めて肩をふるわせていると、ルリが大声を上げる。


「二人とも、なんで辛気臭い顔をしてるのじゃ! ヤツの脅しに屈する必要なんぞないのじゃ!」

「ルリ……お前も見ただろ? 飯島は普通じゃないんだぞ」

「だからどうしたのじゃ? 今に始まったことではないじゃろう」


 瑛士と音羽が顔を見合わせていると、畳みかけるようにルリが話しかける。


「ヤツと同じ土俵に立つことはないのじゃ」

「……ああ、そうだったな」

「ふふふ、そうね。ルリちゃんの言うとおりね」


 二人の目に一筋の光が宿るのを見ると、ルリが声高々に宣言する。

「まだ時間は残されておるのじゃ。わらわたちのやり方で闇を暴くのじゃ!」


 言葉を聞いた瑛士と音羽が無言で頷くと、先ほどまでリビングを支配していた重苦しい空気は消えていく。

 それぞれの心に確かなケツイが宿り始めた瞬間だった。


 ――迷宮の再オープンまで残り七日――

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ