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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第十六章 迫る限定配信

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第2話 瑛士の盛大な勘違い

 瑛士と音羽が真剣な表情で話し合いを進め、リビングに緊迫した空気が流れ始めたときだった。


「あー! また失敗したのじゃ!」


 突然、ルリの悲痛な叫びがリビングに響き渡る。


「何があった、ルリ? 緊急事態発生か?」

「緊急事態どころじゃない大事件なのじゃ! わらわはどうしていいのか……」


 瑛士が視線を向けると、ソファーから立ち上がったルリが泣きそうな表情で二人を見つめていた。


「どうしたんだ? 状況が全くわからないが……泣くほどの事とは、いったい何が起こったんだ! ルリ、冷静に説明してくれないか?」

「この状況で冷静になんて説明できないのじゃ……わらわは、わらわはどうしたらいいのじゃ……」

「くっ……俺がルナたちを連れて散歩に行っている間にも、状況は刻一刻と悪化していたのか……」


 苦虫を噛み潰したような表情で拳を握り、唇を噛み締める瑛士。


「瑛士くん、なんか盛大な勘違いをしてるみたいだけど……」

「音羽、何を言っているんだ! ルリが涙を流して訴えかけるほどの事が起きているんだ……勘違いとか、そういう問題じゃないだろ!」

「いや、あのね……なんて説明していいのかわからないけど、大丈夫だから、落ち着いてほしいなって……」

「落ち着いていられるか! 飯島の配信が明日に迫り、迷宮で不穏な動きがあったんだ。万が一を考えて、()()()()をしなければいけないだろうが!」

「……」


 何を言っても話の通じない瑛士に対し、音羽は額に手を当てて俯き、大きなため息を吐いた。


(あー瑛士くんって、変なスイッチ入ると、昔から人の話を一切聞かない子だったわ……)


 音羽が諦めの境地に達しかけた時、ふと脳裏にある考えが浮かぶ。すると口元が自然に釣り上がり、笑みを浮かべ始める。


(いいこと思いついちゃった。ルリちゃんも素でやってることだし、ちょっと煽ってみようかしら? ふふふ、面白いことになるわよ)

「音羽、どうしたんだ? 急に肩を震わせ始めて……なにか困ったことがあれば、すぐに言えよ! 今はみんなで協力して乗り越えなければいけないからな」

「そ、そうね……この大事な時を、大切に……し、しないといけないわね」

(ダメ、笑っちゃダメよ。頑張って抑えるのよ、私)


 肩を震わせながら必死に笑いをこらえる音羽。ちょうど顔を伏せているため、瑛士の角度からは音羽まで涙をこらえているように見えた。


「クソ、俺がいない間に二人に何があったんだ……」

「ご主人、もとはといえば、わらわがいけなかったのじゃ……()()()()()()()()()()()()ばっかりに、こんな事態を引き起こしてしまったのかもしれぬ」

「な、何だと? ルリ、お前の身に何が起こったのか、詳しく教えてくれないか?」


 鬼気迫るような表情で瑛士が問いかけると、困ったようにルリが言い淀む。


「詳しくは言えないのじゃ……ご主人を巻き込むわけにはいかぬ! これは、わらわの責任なのじゃ!」

「な……ルリ、お前は何を言っているんだ! 困ったときに頼ってこそ仲間であり、家族ってもんだろ?」

「うう、そこまで言われると困ってしまうのじゃ。音羽お姉ちゃんに続き、ご主人まで……こんなわらわに優しい言葉をかけてくれるのじゃな」


 優しい言葉を聞いたルリは、涙目で瑛士を見つめ返す。


「ああ、当たり前じゃないか。困った時はお互い様だし、だから音羽を頼ったんだろ?」

「うむ、わらわではどうしても解決できない問題が多すぎたのじゃ……そんな時、音羽お姉ちゃんはいつも優しく助けてくれるのじゃ……何の恩返しもできていないのに……」

「恩返しなんてどうでもいいんだよ。俺たちは、お前が笑顔でいてくれたら、それで十分なんだ」

「ご、ご主人……」


 瑛士の優しい言葉を聞き、涙が目からこぼれ落ちるルリ。慌てて手で拭いながら、必死に声を上げる。


「わ、わらわは……幸せ者なのじゃ」

「まずは落ち着けよ。そこにティッシュがあるから鼻をかんで、いいと思ったら話せよ」


 ルリは無言で頷き、ティッシュを手に取って鼻をかむ。さらに深呼吸をして落ち着きを取り戻すと、ゆっくり話し始めた。


「ご主人、本当になんでも聞いていいのじゃな?」

「今さら水臭いぞ! どんな悩みでもぶつけてこい!」


 不安な表情で問いかけるルリに対し、右手で胸を叩きながら優しい笑みを浮かべる瑛士。


「わかったのじゃ……いや、こんなことをご主人に聞くのは……」

「おう、どうした? さあ言ってみろ!」

「うむ、実はじゃな……どうしても謎が解けないところがあって、すごく困っているのじゃ」

「ほう? お前に解けない謎だと? どんな難解な謎なんだ?」


 瑛士が怪訝な顔で近づいたときだった。ルリが差し出したものを見て、その場で固まってしまう。


「ん? ご主人、どうしたんじゃ?」

「……えっと、ルリさん、ちょっと聞いてもいいかな?」

「なんでもいいのじゃ。やっぱり、ご主人にも難しかったかのう?」

「いや、差し出したものって……最近、お前がハマってる携帯ゲーム機だよな?」

「そうじゃが、どうかしたのか? このWonderTAILの迷路が、何度やっても解けないのじゃよ」


 ゲーム画面を差し出したルリが不思議そうに首をかしげていると、耐えきれなくなった音羽が、お腹を抱えて笑い始める。


「あはは! もう無理! お腹痛い!」

「……音羽、お前はいつから気がついてたんだ?」

「へ? そ、そんなの最初からじゃない。あはは! だって……瑛士くん、暴走したら人の話聞かないんだもん」


 笑いが止まらない音羽を見て、瑛士の顔がどんどん茹でダコのように赤くなっていく。


「それじゃあ、お前は最初からわかっていながら、止めようともしなかったのか?」

「止めようとはしたわよ? でも人の話を遮ったのは、自分じゃん。たしかに『みんなで協力しないといけない』事案よね……あはは!」

「ふざけんな! 俺がどれほど真剣に……いい加減、笑うのをやめろ!」


 怒り狂った瑛士が歩き出すと、全力で逃げ始める音羽。二人がルリとソファーの周りを、鬼ごっこでもするように全力で走り回る。


「いったい二人とも、どうしたんじゃ。ん? こんなときになんじゃ?」


 何が起こったのかわからず唖然としていたその時、タブレットが通知音を鳴らす。ゲーム機をテーブルに置き、通知を見たルリが怪しげな笑みを浮かべる。


「ほう。こんなギリギリに連絡をよこすとは……面白いことが起きそうじゃのう」


 画面を見ながら怪しげな笑みを浮かべるルリ。

 彼女のタブレットに届いた知らせとは――?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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