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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第十四章 交差するそれぞれの思惑

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第7話 瑛士VSルナ再び?

 ルナと翠を引き連れたルリが瑛士たちのいた場所に向かって歩き始めた時、正面から自分たちを呼ぶ声が聞こえてきた。


「ルリー、どこに行ったんだ? いたら返事しろー」

「ルリちゃん、どこにいるの?」

「あ! ご主人に音羽お姉ちゃん! わらわなら、ここにいるのじゃ!」

「キュー!」

「ニャー!」


 二人の姿が見えてくると、ルリたちは走って駆け寄った。


「ようやく見つけた。……って、ルナと翠も一緒だったのか」

「出かけるときは、一言教えてほしかったわ」

「ごめんなさい……でも、ご主人が悪いのじゃ。()()()をしなければ、こんなことにならなかったのじゃ」

「はあ? 俺のせいかよ!」


 ルリの指摘を受けた瑛士が思わず声を上げると、隣にいた音羽が腕を組みながら大きく頷く。


「それは間違いないわ。瑛士くんが全ての原因ね」

「なんでそうなるんだよ!」

「え? あれだけお話をしたのに、まだ分からないの? もう少しじっくり……」

「わー! 俺がすべて悪うございます……」


 音羽から放たれる圧力に、全力で頭を下げる瑛士。二人の様子を見たルリが笑いそうになった時、伝えなければならないことを思い出した。


「あ! ご主人たちに見てほしいものがあるのじゃ!」

「ん、何かあったのか?」

「説明するよりも、来てほしいのじゃ!」


 慌てて二人の手を握り、力いっぱい引っ張るルリ。その姿を見た二匹も必死に鳴き声を上げる。


「キュー、キュキュ!」

「ニャニャ、ニャー」

「ルナも翠も、そんなに必死に鳴き声を上げてどうしたんだよ?」


 普段見たことのない様子で必死に訴えかける二匹を見て、困惑する瑛士。すると隣にいた音羽が真剣な表情で話しかけてきた。


「ルリちゃんやルナちゃんたちがこれだけ焦っているのは、ただ事じゃない何かが起こったに違いないわ」

「そうだな……ルリ、案内を頼んだぞ!」

「任せるのじゃ! ルナ、翠、行くのじゃ!」

「キュー!」

「ニャー!」


 ルリの号令を聞いた二匹が大きな鳴き声を上げると、先陣を切って走り出す。その姿を見てルリも瑛士たちの手を引っ張りながら走り始める。


「わ、ちょっと待て!」

「ルリちゃん、そんなに手を引っ張らなくても大丈夫だから」


 突然走り出し驚いた瑛士と音羽が声を上げるが、ルリの耳には届いていなかった。二匹の後を追うように走り続けると、少し前に見た迷宮の工事関係者用入り口が見えてきた。


「ご主人、音羽お姉ちゃん。あそこなのじゃ!」

「ん? 関係者専用の入り口がどうかしたのか?」


 工事関係者用入り口に視線を向けて必死に叫ぶルリに対し、首をかしげながら問いかける瑛士。


「見たら意味が分かるのじゃ……って、ストーップなのじゃ!」


 ルリが返事をすると同時に急停止し、瑛士の手を離す。


「ちょ、お前いきなり手を離すな! ウギャー!」


 勢いのついた瑛士の足がもつれると次の瞬間、顔面から地面にダイブしてしまった。


「瑛士くん、大丈夫? ちゃんとルリちゃんの動きを見ていないから転ぶのよ」


 地面に顔を打ち付けて動かない瑛士を見て、音羽がため息を吐きながら声をかける。


「お前な……どうやって予測しろって言うんだよ……」

「え? そんなの簡単じゃない。ルリちゃんが『あそこなのじゃ!』って言った時点で、減速するのが普通よ」

「そんなことわかるかよ……いってぇ……」


 顔が擦り傷だらけになった瑛士がゆっくり立ち上がると、ルリが呆れた表情で話しかける。


「勢いは良かったのじゃが、転び方がなっておらんのう。そんなことでは下僕どもの()()は取れんぞ?」

「あのな……別に受け狙いでやってないから! ガチで吹っ飛んだんだぞ?」

「いやいや、そんなわけないじゃろ。顔から地面に突っ込むなんて、狙わねばできんのじゃ」

「お前が手を握ったまま立ち止まったから、遠心力で放り出されたんだろうが! しかも足が浮き上がったタイミングで手を離したじゃねーか!」


 怒りが頂点に達した瑛士がルリに詰め寄ろうとした時、音羽が間に入る。


「はいはい、瑛士くんの言いたいことも分かったから。ルリちゃんが手を離すのも当然でしょ? 一緒に吹き飛んでいく人なんていないもん」

「音羽お姉ちゃんの言う通りじゃ。危機管理能力の差がはっきり出たということじゃのう」


 言いたい放題の二人に対し、瑛士の怒りが臨界点を突破しかけた時だった。足首に何かが擦り寄る感覚を覚えて目を向けると、翠とルナが見上げていた。


「お前ら……心配してくれているのか?」

「ニャ……ニャ?」

「ああ、大丈夫だ。ありがとな、心配してくれて」


 心配そうな表情の翠に優しく声をかけ、頭を撫でる瑛士。今度は反対側にいるルナに声をかける。


「ルナも心配してくれてたんだよな?」

「キュ? キューキュキュ」

「は? 『もっとひどい怪我かと思ったけど、擦り傷程度か。心配して損したわ』だと?」

「キュー、キュキュ」

「『その程度の傷で男がガタガタ言うんじゃない』って……よくわかった。やっぱりお前とは、どちらが上かきっちり教え込まないといけないようだな……」


 言葉を聞いた瑛士が睨みつけると、鼻で笑ってあしらう仕草を見せて挑発するルナ。


「キュー、キュキュキュ」

「いつでも受けて立とうじゃないか。『まあ、結果は最初から分かっているけどな』だと……いい度胸してるじゃねーか!」


 一触即発の空気が流れ始めた時、その様子を見ていたルリと音羽が呆れたような顔で止めに入る。


「こりゃ、ルナ。遊びたい気持ちはわかるのじゃが、そんなことをしてる暇はないじゃろ?」

「キュ……キュキュ」

「瑛士くん、ルナちゃん相手に何を本気になってるの? 今は遊んでいる場合じゃないことくらい、わかるでしょ?」

「いや、遊んでいるわけじゃないんだが……」

「ルナちゃんを見習ったら? ちゃんと謝って反省してるわよ」


 音羽に促されてルナのほうを見ると、申し訳なさそうな顔でルリに頭を下げていた。ふと瑛士と目が合うと、目を細めて口元を吊り上げる。


「コイツ……絶対、バカにしてやがる……」


 怒りの導火線に再び引火しようとした時だった。ルリの叫び声が響き渡る。


「こ、これはどういうことなんじゃ!」


 驚きの声を上げた彼女が見た物とはいったい――?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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