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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第十二章 つかの間の日常

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第7話 放送事故必須の大宣言

「ほほう、なかなか面白いことを言っておるな」

「そうね。まさか飯島女史が自ら出向いてくるって、こっちにしたら願ったり叶ったりよ」


 画面を見ながら怪しく笑う二人に対し、顔を引きつらせながら声をかける瑛士。


「な、なあ……ものすごく悪い顔をしながら笑っているけど、そんな面白いことでもあったのか?」

「なんじゃ? ご主人は聞いておらんかったのか?」


 どす黒い笑みを浮かべたルリが振り返ると、瑛士の顔から血の気が引いていった。


「い、いや聞いていないも何も何のことかさっぱりわからないのだが……」

「残念じゃのう。こんなにわらわたちにとって、チャンスともいえる言質を取ったというのに」

「その不気味な笑顔をやめろ! どう考えても怪しさしかないぞ」

「はぁ~本当にご主人はノリが悪いのう。何が起こったのか知りたければ、コメントを見てみるのじゃな」

「は? コメントと何が関係してるんだよ?」


 ルリに促された瑛士がしぶしぶコメント欄を見ると、既に祭り状態になって盛り上がっていた。


 《チャットコメント》


『超重大発表キター!』

『まさかのBBAが迷宮攻略配信に参戦www』

『コイツに攻略なんてできるんかwww』

『予想、二階層でホーンラビットにどつき回されるwww』

『オバサンにはきついんじゃないの?』


 次々と流れるコメントを見た瑛士は開いた口がふさがらなくなる。すると、スピーカーから勝ち誇ったような飯島の声が流れてきた。


「ふふふ……軽々しい口を叩けるのも今のうちよ。私が()()()()()()()()ら全員土下座必須ね! さあ、今から謝る準備をしておきなさい!」


 自信満々な飯島の声にあきれ果てた瑛士が、絞り出すように声を出す。


「性格の悪さって年を取るごとに加速していくんだな」

「アレは例外中の例外だと思うのじゃ」


 彼の言葉を聞いたルリは眉間にしわを寄せ、腕を組みながら答えると続いて音羽も口を開く。


「痛い大人のお手本よね。普通はいろんな経験を積んで丸くなるって聞くけど……」

「どんどん尖っていく大人もいるという事か……周りにいる人たちも大変だろうな」


 二人が大きなため息を吐きながら話していると、肩を震わせながらルリが怒りを爆発させる。


「なっとらんのじゃ! わらわが直接指導してやらねばならぬ!」

「わっ! いきなりどうしたんだ、ルリ?」


 いきなり怒号が飛び出し、びっくりした瑛士が聞き返すとルリが捲し立てるように話し出す。


「飯島は配信というものを全然わかっておらんのじゃ! 下僕どもと言い争うなど言語道断! 配信にわざわざ来てくれていることへの感謝が全く伝わってこん。こんなことを続けておったら見限られて終わりなのじゃ」

「へえ、ずいぶんまともなことを言うじゃないか」

「当たり前なのじゃ! 迷える下僕どもを正しい道に導くのがカリスマ配信者としての在り方なのじゃ! まあ、時には過激なことも言わねばならぬ……なぜかわらわが怒ると『我々にはご褒美です!』というコメントで溢れ返るのじゃが」

「ちょっとまて! 途中までいい話と思っていた自分がバカだった……よくよく考えたら最初から全部おかしいじゃねーか!」


 ルリの話を聞いていた瑛士は頭を抱えながら、その場にうずくまってしまった。


「ありゃ? ご主人どうしたんじゃ?」


 胸を張って語っていたルリが、しゃがみ込んでいる瑛士を見て首をかしげている。すると隣にいた音羽がルリの肩に手を置くと、優しく語りかける。


「瑛士くんはね、ルリちゃんの高貴な話を聞いて感動してしまったのよ。だからそっとしてあげましょう」

「そうじゃったのか! やはりカリスマ配信者たるもの言葉でひれ伏せてやらねばならぬな!」


 音羽の言葉を聞いて、勝ち誇ったように胸を張って笑顔になるルリ。すると画面の向こうから飯島の自信に満ち溢れた声が響く。


「ふふふ、私がどんな素晴らしい配信をするのか楽しみでしょうがないみたいね! まあ、初配信でこれだけのリスナーを魅了できる私は格が違うってことがわかったみたいだし。トラブルでアバターのお披露目ができなかったのが悔やまれるけど……次の配信を楽しみに待ってなさい!」


 自信たっぷりに語り続ける飯島に対し、コメント欄はバカにしたような書き込みで盛り上がる。


 《チャットコメント》


『ほら早く見せてくれよ、プロ(笑)の配信』

『その自信どこから湧いてくんの?』

『予想:3分で配信事故』

『これで伸びなかったら伝説だなw』


 次々と流れるコメントに音羽は呆れたように呟く。


「ここまでバカにさせていることに気が付かないって……ある意味凄い才能ね」

「そうじゃな。それはそうと、なかなか面白いものを見せてもらえたのじゃ。さてと、わらわも配信の準備をするかのう」


 両手を頭の上に上げると背筋を伸ばしながら話すルリ。


「あら? ルリちゃんも配信をやるの? 今日は定期配信の日じゃなかったような」

「いやいや、緊急配信なのじゃ。飯島の配信に送り込んだ下僕どもと振り返りをしようと思ってな。楽しい時間が過ごせそうじゃ。ルナと翠もくるか?」

「キュー!」

「ニャー!」


 高笑いをしながらリビングを出ていくルリの後ろを、二匹が追いかけていく。扉が閉まる音が聞こえると、リビングに静寂が訪れる。


「さてと……瑛士くんはいつまで()()()()()()()()をしているのかしら?」

「チッ……音羽の目はごまかせないか」


 不敵に笑う音羽がゆっくり立ち上がる瑛士に問いかける。


「これから忙しくなるわね。私たちはどう動くの?」


 夕日に照らされた音羽の瞳は、何かを確信しているように冷たく輝いていた。

 喉の奥がひりつくのを感じながら口を開いた瑛士の返答はいかに――

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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