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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第十一章 新たな火種?

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第8話 予想外の事態

 新しいことを知った子供のようにはしゃいでいる瑛士を眺め、胸の奥に小さな違和感が引っかかる音羽。すると、通知を知らせるようにスマホが震えた。


「ん? なんだろ? コメントの通知じゃなさそうね」


 スマホの画面に目を向けると、先に出ていったルリからの着信だった。


「はいはい、どうしたのルリちゃん?」

「音羽お姉ちゃん、二人があまりにも遅いから連絡したのじゃ。それと……一回層がやけに騒がしくて、なにか嫌な予感がするのじゃ」

「え? ルリちゃんは今どこにいるの?」

「出口に続く通路に居るのじゃ。なんか“わらわたちの取材を”とか言う声も聞こえて……このまま外に出ると大変なことになりそうでのう」

「あー、予想はしていたけど……まさかこんなに早く動くとはね」


 ルリから状況報告を聞くと音羽は小さく息を吐きながら額に手を当て、天を仰ぐように顔を向ける。今回の迷宮攻略は飯島女史の介入により、考えられないほどの()()()()が頻発していた。ホーンラビットしかいない二階層での変異モンスターの出現、三階層で現れた謎の空間、エリアボスである鉄牙狼(ラグナ=フェンリル)の暴走……通常の攻略者であれば生き残ることなど不可能だった。


「たしかにいろんなことが起こりまくったからね……ところで、どのくらいの人が集まってそうかわかる?」

「うーん……聞こえてくる声からじゃと十人はいそうな感じじゃな。ん? ルナと翠がなにか騒いでおるのでまた後で連絡するのじゃ。とりあえず早くこっちに来てくれとご主人に伝えてほしいのじゃ」

「うん、わかったわ。瑛士くんに伝えるわ」


 ルリとの通話を終えると、勝ち誇ったような表情をした瑛士が話しかけてきた。


「音羽、なにか問題でも起こったのか?」

「やけに上機嫌だけど……まあ、理由は聞かないでおくわ」

「そうか? まあ、俺の大活躍がもうすぐ見れるわけだしな。楽しみにしていてくれよ!」

「……それよりも、ちょっとまずいことになってるみたいよ」


 テンション高く笑顔で話しかける瑛士に対し、音羽は呆れたように大きなため息を吐き、困った表情で話しかけた。


「どうしたんだ? またルリがやらかしたのか?」

「なにかやらかすのは瑛士くんのほうでしょ? そうじゃなくて、どうも迷宮の一階層にマスコミとかいろんな人が来ているみたいなのよ」

「マジか……いや、これはチャンスじゃないのか?」

「は? 何がチャンスなの?」

「配信でさんざんいじられ続けた俺の汚名を覆すチャンスだよ!」


 再び目を輝かせて力強く拳を握り、瑛士が力説を始める。


「いいか? 音羽やルリは素晴らしい活躍をしていたが、俺はなぜかネタ要員的な扱いをされてきた……だが、インタビューで真実を語ることができれば俺の名誉も守られるというわけだ!」

「……」


 開いた口が塞がらないといった様子で呆然とする音羽を気に留めず、どんどん語り始める瑛士。


「だが、ここで大きな問題がある……表舞台に出て目立ちたいルリにはもってこいの状況だが、俺は目立つことは嫌なんだ。かといって、ルリに好き勝手に話させていてはどんな誤解が生まれるかわかったもんじゃない。そこで、俺が考えたのは……」

「お面なら貸さないわよ」

「な……なぜなんだ?」


 断られると思っていなかった瑛士が驚愕の表情を浮かべていると、面倒くさそうに音羽が答える。


「どうせ私は面が割れていないから、自分が対応している隙にルリちゃんを逃がそうとか考えていたんでしょ?」

「う……なぜそれを……」

「あのね、瑛士くんの考えそうなことなんて手に取るようにわかるのよ。だいたいバッチリ顔を晒して、リスナーとバトっている様子まで配信されているのに?」

「……」


 考えていた計画を言い当てられ、さらに追撃を食らって瑛士は何も言えずに立ち尽くしてしまう。だが、彼女の指摘は止まらなかった。


「たしかに今回は異変がたくさん起こったわ。でも、対処したのはほとんど私とルリちゃんでしょ? 瑛士くんが表に立ったところでスルーされるのが目に見えてるでしょ?」

「いや、でも……」

「多少の時間稼ぎにはなるでしょうが、私たちが逃げ切るには足りないのよね……って、あれ? 瑛士くんどうしたの?」


 我に返った音羽が視線を向けると、口から魂が抜けかけている瑛士が立ち尽くしていた。


「誰よ? 私の瑛士くんにこんなひどいことをしたのは!」

「……お前だろ……」

「許せない……私が目の前にいたにも関わらず、その隙をかいくぐるなんて……」

「だから、お前がやったんだろ……」

「これは間違いなく飯島女史の差し金ね! 許せない……私が仇をとらないと!」

「だーかーら! お前が追い詰めたんだろうが! 俺の名案をことごとく潰していって、反論の余地すらなかったじゃねーか!」


 暴走する音羽の言葉を聞いて、怒りによって正気を取り戻した瑛士が大声で怒鳴りつける。


「何を言っているのかさっぱりわからないんだけど? だってあまりにもツッコミどころ満載だったし」


 悪びれる様子もなく、バッサリ切り捨てていく音羽。その言葉を聞いた瑛士は、何も言えずに俯いてしまう。


「でも、なんとかして切り抜けないとこの後の動きに支障をきたすわね……仕方がない、あの手を使うしかないわね」

「何だ? あの手って? そんな隠し玉があるなんて聞いてないぞ」


 出口で待ち受ける人々を回避するために、音羽が隠していた“奥の手”とは?

 このあと、瑛士やルリも知らなかった迷宮の秘密が明らかになる。

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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