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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第十一章 新たな火種?

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第2話 新たなバトルの予兆

 柄に手を添えた音羽は静かに息を吐き、ゆっくり目を閉じる。ただならぬ雰囲気を感じたルリが、隣にいた瑛士に声を掛ける。


「の、のう……ご主人。これから一体何が始まるんじゃ?」

「見ていればわかるぞ。ま、あいつ《音羽》に任せておけば問題ない」

「なんのことかさっぱりなのじゃが……」


 瑛士の返答を聞いてもわからないルリが、足を一歩踏み出そうとしたときだった。


「ルリちゃん。そこから動かないでね、怪我をさせたくないから」

「は、はいなのじゃ」


 一切こちらを振り向くことも無く、ルリの行動を見ていたかのように静止する音羽。あまりの迫力に一言返事をするのが精一杯だった。次の瞬間、音羽が目を見開くと同時に刀を抜き、空中に向かって斬撃を飛ばす。すると金属同士が激突するような甲高い音が空間内に響き渡る。


「ビンゴね……さあ、正体を現しなさい! 闇より生まれ、闇へ帰す――一閃、天地を裂け。

 無明一刀ムメイノイットウ!」


 音羽が詠唱を唱え、再び刀を振り抜くと空中に閃光が走る。すると小さな爆発音とともに煙が立ち上り、光を放ちながら小さな物体が落ちてきた。


「あ! なにか空中から落ちてきたのじゃ!」

「やっぱりな……しかし、つなぎ目を狙って本体を分離させるとはさすが音羽だ」

「ご主人? なんのことを言っておるのじゃ?」


 瑛士が感心したように空中を見上げている横で、ルリが不思議そうな顔で問いかける。


「すぐに分かるさ。さあ、()()()()()()()を回収しに行くぞ」

「答えになっておらんのじゃが……のう、ルナ?」

「キュー?」


 胸に抱いていたルナに声を掛けると、同じように首をひねりながら鳴き声で返事をする。そんなルリたちの様子に気づき、音羽が声をかけてきた。


「ルリちゃん、まだ詳しく話せなくてごめんね。あとで説明するから」

「何がなんだかさっぱりわからんのう……とりあえず回収すればよいのじゃな?」

「うん、危険なものではないから安心してね」

「わかったのじゃ」


 危険なものではないという言葉を聞いて、胸を撫で下ろすルリ。


「そういうことだ。さあ、みんなで向かうぞ。翠、お前も一緒だ」

「ニャー?」


 瑛士の足元で丸くなっていた翠だったが、首根っこを掴まれてなすすべも無く持ち上げられる。そのまま彼の腕に抱かれると不思議そうな鳴き声を上げて、顔を見上げる。


「ちょっとの間、大人しくしてくれよ」

「ニャー」


 瑛士の言葉を聞いて短く返事をすると、腕の中で再び丸くなって寝息を立てる翠。


「この状況で寝ていられるって、翠ちゃんは結構大物になるかもしれないわ」

「いや……猫だからな……」

「ふーん……()()()()ならいいんだけどね」

「ん? それはどういう意味だ?」

「いつかわかる日が来るんじゃない?」


 腕に抱かれた翠に視線を向ける音羽が、意味深な言葉をかける。その言葉の意味が理解できない瑛士はすぐに聞き返したが、彼女は笑みを浮かべてそれ以上は答えなかった。そんな会話をしながら落下したと思われる地点に近づくと、ルリが何かを見つけて声を上げる。


「あ! なにかキラキラ光る物が落ちているのじゃ!」


 ルリが指差した方向にあったのは、光を反射して輝いていた何かの機械だった。


「なるほどな。光を反射させて視界を歪ませていたのか」

「そうみたいね。屈折を利用しているから余計な擬態をしなくてもいいし、確実にフロア全体を見渡せるもんね」

「ああ、搭載されているカメラも超小型のものだしな。まさかこんな物を忍ばせていたとは……」


 瑛士が地面に転がっている物体を拾い上げようと手を伸ばした時、慌てたルリが叫ぶような声で静止する。


「ご、ご主人! いくら危険なものではないとは言っても、迂闊に触るのはやめるのじゃ!」

「どうしたんだ?」

「いや、もしかしたら触った途端に大爆発とか起こすかもしれんじゃろ……さっきのドローンだっていきなり燃えたのじゃし」

「ああ、あれは俺が動力回路や基盤ごと切り捨てたせいだ。おそらくあのドローンが囮で、本命はこっちだろうな」


 瑛士が話している意味がわからず、ますます混乱するルリ。すると笑みを浮かべて話を聞いていた音羽が話し始める。


「ルリちゃん、色々説明が遅くなってごめんね。これは飯島女史が忍ばせておいた最新型のドローンみたいなのよ。

 それも特殊な加工を施して、ステルス性を上げた機体なの」

「ステルス? 最新型?」


 二人が言っている意味がわからず、ますます不思議そうな声を上げるルリ。その様子を見ていた瑛士が、何かを思いついたように笑みを浮かべてからかい始める。


「ルリ、普段から『わらわにわからないことなどないのじゃ!』と豪語しているのに、まさか俺たちの説明がわからないわけではないだろうな?」

「も、もちろんなのじゃ! ご主人たちをちょっと試すつもりでわざと知らぬふりをしていたのじゃ!」


 瑛士の鋭い指摘が飛び、プライドが許さないルリは胸を張って答える。しかし、額からは大量の冷や汗が流れ落ち、明らかに不利なことは明白だった。そんなチャンスを逃がすまいと瑛士は畳み掛ける。


「そうだよな? カリスマ配信者でもあるお前が、知らないなんてことはあってはならないで間違いないか?」

「そ、そうに決まっておるのじゃ! カリスマゆえに様々な知識に精通しておるのは当然じゃろうが!」

「うんうん、さすがルリ様だ。じゃあ、これから俺が質問することにも正確に答えてもらえるんだな?」

「あ、当たり前なのじゃ! わらわに不可能などないのじゃ!」


 黒い笑みを浮かべながらどんどん話を進めていく瑛士。

 引くに引けなくなり、どんどん窮地に追い込まれて絶体絶命なルリ。

 はたして、追い詰められた彼女に逆転の一手は残されているのだろうか――?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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