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とんでもない情報

「では、騎士王国では民の不信感は増しているのですね」

「はい。仰る通りでございます」


 騎士王国スピリットナイトのクレイデフ侯爵改めチューキム=クレイデフと言う男は、とても面倒臭いタイプの真面目な男だった。ミアが自ら隣に座っただけで恐れ多いと跪き、本気で謝罪して態度を変えずにこうべれ続ける。どうにもらちが明かないので、ミアでは無くネモフィラが話しかけた事で、漸く顔を上げて話をまともに聞いてくれるようになって現在に至る。と言うか、彼にはネモフィラが聖女であるミアの召使いに見えているらしい。

 ネモフィラの言葉はミアの言葉。聖女様と直接会話など無礼千万なので、召使いを通してしか喋ってはいけない。と言う謎なルールが展開していた。


「ミア。他に何か聞く事はありますか?」

「ううむ。そうじゃのう。騎士王国では国民は国のやり方に賛同しておらぬのじゃろう? 国民から王にナイトスター公爵を止めるように進言は出来ぬのじゃ?」

「とミアは仰っていますが、どうでしょうか?」

「難しいとしかお答え出来ません。我々の国は皆が騎士としての教育を受けております。主の命に逆らうのは騎士道に反しています。不満をぶつけられないのも、その騎士道精神があるからです」

「ふむ……」

(しかし、何となくナイトスター公爵とやらが他国からも傭兵を集めておった理由は理解出来たのじゃ。恐らくこの国の民は基本みんな真面目なのじゃろう。だから、ある程度は自由な者が必要になってくる。先程聞いたゼルーリさんの話と合わせれば、だいたい想像がつくのじゃ)


 ミアは少しの間だけ考えて、頷く。そして、クレイデフと一度目を合わせてから、真剣な面持ちで口を開いた。


「ワシとしては騎士王国と全面戦争をするつもりは無いし、出来ればナイトスター公爵が集めた傭兵たちとの衝突も避けたいのじゃ。協力してくれぬか?」

「っ!? 何と言う慈悲! 聖女様に仇名そうと企む我々の国への心遣い! わたくし目が聖女様のお役に立てるのであれば本望でございます! 必ずやご期待にお答えします!」

「う、うむ……」

(と言うか滅茶苦茶泣いておるのじゃ。今の何処が泣く所だったのじゃ……?)


 クレイデフは感動? のあまりに涙を流し、跪く。ミアは本当に面倒だと思い乍らも、頭を上げさせて期待していると話した。すると、彼の涙は号泣に変わり、ミアがドン引きする中で一人感動に酔いしれ、突然ハッと何かを思い出すような表情を見せる。


「聖女様のお役に立つ情報かどうかは分かりませんが、ナイトスター公爵の愛娘ラーン嬢について一つご報告したい事がございます!」

「む? ラーンじゃと?」

「それはどの様なお話でしょうか?」


 ミアやネモフィラがスピリットナイト寮まで調査しに行ったり、ネモフィラが社交界で色々と話を聞いていたので、クレイデフも二人がラーンについて調べている事を知ったのだろう。二人が興味を示すと、自分の考えは正しかったのだと口角を上げた。


「大きな声では言えないのですが、実はナイトスター公爵家に諜報員を忍ばせているのです。その諜報員が以前ラーン嬢の部屋を掃除中に、いつも鍵が掛かっていて開ける事の出来ない机の引き出しの中を覗く機会があったのです」

「「っ!?」」


 それは、まさかのとんでもない大スクープ。ミアとネモフィラがラーンの部屋に行った時に掴めなかった情報の真相。

 二人は目を大きく見開いて驚き、顔を見合わせて頷き合うと、直ぐにクレイデフへと期待に満ちた顔を向けた。それを見てクレイデフは驚いて瞬きし、緊張でごくりと息を呑み込む。しかし、思った以上の反応の良さに、自分は間違っていなかったのだと確信した。


「ラーン嬢の机の引き出しの中には、見た事も無い宝石と日記が隠されていました」

「見た事も無い宝石と……」

「日記……なのじゃ?」


 クレイデフの言葉にネモフィラとミアが順に話し、再び顔を見合わせて首を傾げた。

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