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帰り道の話し合い

 ジャッカがミントを襲った理由が取引現場を見られたからで、その取引の内容は守秘義務があるから絶対に教えられない。真相は分からないけれど、一先ずの犯行の理由はそれで納得する事になった。と言っても、理由を話してくれてありがとう釈放するよ。なんて事にはならない。ジャッカは今夜は拘束して、明日にはラーンやウドロークから話を聞いて、それからどうするかを決める事になった。

 因みに受けた説明の通りであれば、ジャッカはチェラズスフロウレスと天翼学園の敷地への出入が禁止となっている。殺人未遂の相手に優しいと思うかもしれないけれど、彼の言い分が正しければ国の重要機密を護る為なので、あくまでも仕事をしっかりこなした結果。視点を変えれば、ウドロークやラーンから見れば優秀な仕事ぶりを発揮しただけなので、ある程度は譲歩しなければならないのだ。

 そうしてジャッカの処遇も決まり話が終わると、ミアもようやく解放された。のだけど、ニッコニコである。


「ミアちゃんは責任を持って、私達が寮まで護衛するからね」

「お守りするんだぞ」

「がお」


 ミアを護衛すると告げたジャスミンと、彼女と契約している二人の手の平サイズの二頭身。水の精霊プリュイと火の精霊ラーヴである。ミアがニッコニコなのは、二人の精霊が一緒に寮に帰るからだ。

 ジャスミンやプリュイやラーヴが一緒に帰るのは、ジャスミンが言った通りの護衛である。と言うのも、ジャッカの件はミアが会長室を出て直ぐの事で、こうも早くに何かの事件に関わるミアを放っておけないと判断したからだ。

 このまま一人で帰してしまったら、また何かの事件に関わるか巻き込まれるかもしれない。だから、寮長でもあるジャスミンが代表して、ミアを寮まで送り届けるとなったのである。


「そう言えば、結局襲われた女の子って誰だったの? ジャッカがミアちゃんの友人だって言ってたけど……」

「う、うむ……。その様じゃが、正直分からぬのじゃ」

「そうだよねえ」


 二人が話している通りミアが救ったのはミントだけど、ミアの記憶の関係で名も知らない少女と言う事になっていた。これは本当にミアの失敗と言える事だけれど、助けたまでは良いけれど、今後の事を考えればジャスミンたちの所に一緒に連れて来るべきだった。

 何故なら、一度命を狙われた以上、また同じ事が起きるかもしれないからだ。しかも、ジャッカの話を聞いてみれば、ラーンとウドロークが関わっている。二人の関係を調べているミアにとっては有力な情報を持っているかもしれないし、それが無くとも放置するべきでは無かっただろう。しかし、おかげで一つ収穫はあった。


(あの時にラーンと一緒にいた者の魔力は全部で三つだったのじゃ。一つはジャッカだったから、残る二つのうち一つがウドロークと言う王様じゃ)


 ウドロークの魔力を覚えたのは、ミアにとっては大きな収穫だった。それさえ分かってしまえば、注意していれば怪しい動きがないか探れるし、もし何かあれば直ぐに対応出来るからだ。と言っても、今の所はそこまでの要注意人物と言う扱いでは無いけれども。


「記憶を失う前からのお友達でしょう? 出来るだけ早く見つけて暫らくは護衛してあげたいんだけどなぁ」


 ミアはラーンとウドロークの関係について考えていたけれど、ジャスミンはミアの友人がずっと気になっていたようだ。しかし、それも当然だろう。命を狙われるような事態になった少女を、このまま放っておけるわけが無いのだから。


「王女様に聞けば分かるかもしれないんだぞ」

「がお。フィラに聞く」

「そっか。ネモフィラちゃんなら知ってるかもだよね。そうしよう」


 プリュイの提案に、ラーヴが頷き、ジャスミンが笑顔で賛成する。そして、そうと決まれば善は急げと走り出し、車椅子を勢いよく押し始めた。おかげで考え事をしていたミアは突然のスピードアップに驚いて、動揺のあまり「のじゃあ!」とマヌケな悲鳴を上げるのだった。

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