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精霊神との出会い

 “天翼会”。それは、この異世界で最も力を持っている者達の集まり。未だに謎に包まれた組織。天翼会が運営している“天翼学園”も謎に包まれていて、それが何処にあるのかも未だに知られていない。そしてそれは外部の者だけでなく、天翼会会員であっても同じで、本当に一握りの一部の者しか知らない事。

 天翼会のトップである会長(けん)学園長は人前に顔を出さない事で有名だ。その為、学園に通う生徒も殆どの者がその姿を見る事無く卒業する。しかし、その謎に包まれた滅多に姿を見せない会長も、ここ最近でその姿を人前に見せた事が一度だけあった。そしてそれは秘密裏に行われていて、それを知る者はわずかな人間しかいない。


「ミアちゃんやっほー。誕生日のお祝いに来たよ~」

「おお。ジャスミン先生、態々(わざわざ)ありがとうなのじゃ」

「誕生日おめでとう。ミア。そのドレス、とても素敵ね。似合っているわよ」

「リリィ先生。ありがとうなの……じゃ?」


 時を少しさかのぼり、“の月”ミアの誕生日パーティーの日。

 ミアとネモフィラが椅子に座って仲良くお喋りしていると、ジャスミンがリリィと一緒に誕生日を祝いに来た。のだけど、ジャスミンの頭の上には見知らぬ精霊が二人。男の子っぽい見た目の精霊と、女の子っぽい見た目の精霊だ。男の子っぽい精霊は黒い髪の毛に黒い瞳で、日本人をデフォルメしたような手の平サイズの二頭身。女の子っぽい精霊はミアと同じ金髪碧眼で、美少女をデフォルメしたような手の平サイズの二頭身。

 ミアが二人の精霊を不思議そうに見つめると、二人の精霊が宙に浮かび、目の前まで飛んで来た。 


「はじめましてだな。俺はヒロ。よろしく。後、誕生日おめでとう」

「うむ。ワシはミアなのじゃ。ありがとうなのじゃ」

「はじめまして。私はヒロくんの妻のシャインです。誕生日おめでとう」

「つ、妻なのじゃ? 精霊も結婚するんじゃのう」


 性別の無い精霊の結婚なんて聞いた事が無いからミアが驚く。すると、シャインと名乗った精霊が照れたように笑った。隣ではヒロと名乗った精霊が「俺達が初なんだぜ」と自慢気に話していて、それが何だか可愛らしい。その様子に、ミアとネモフィラが思わずニコニコになってしまう。


「お二人とも可愛いですね」

「うむ。可愛かわええのじゃ」


 二人でニコニコしていると、ジャスミンが「だよねぇ」と同意して一緒にニコニコしだす。すると、リリィが笑んでから、一つ咳払いして口を開いた。


「今日ここにこの二人を連れて来たのは、学園に入学する前にミアには知ってもらいたい事があったからよ」

「ふむ。聞くのは構わぬのじゃが、周囲に聞かれても大丈夫なのじゃ?」


 周囲に視線を向ければ、それなりの人数に注目されている。でも、リリィは“ミアには(・・)”と言ったのだから、他の者に聞かれない方が良いのではないかと思ったのだ。


「それなら大丈夫だよ。見えない結界を作って音を通せんぼしてるの」

「音を通せんぼする結界なのじゃ……?」


 ジャスミンがニコニコと説明するので、ミアは改めて周囲を見た。しかし、見えないと言っているだけあって、本当に見えない。ネモフィラも首を傾げていて「本当に何も見えません」と呟いている。


「それでワシに話と言うのはなんじゃ?」


 改めて聞き返すと、リリィがヒロに手差しして注目をうながした。


「こちらは天翼会の創設者にして会長の精霊神よ」

「ほう。この精霊――っ神!? のじゃあああ!?」

「あ、あの、この可愛らしい精霊様が会長様で、しかも精霊の神様なのですか……?」


 目の前にいる手の平サイズの二頭身な精霊が天翼会の会長で、しかも精霊の神様だと聞き、ミアとネモフィラが驚きのあまりに目を見開いた。結界内にいたミアとネモフィラの侍従も同じだ。そして、侍従たちは自分たちのような立場の者までそれを聞いてしまって良かったのかと、もの凄く動揺している。


「精霊神って言ってもジャスミンと契約してる精霊達とそんなに変わらないし、気楽に話しかけれくれよな」

「そうそう。その方が私達も楽だもん」

「っ! わ、私達……と言う事は、お主も精霊神なのじゃ……?」

「うん」


 驚き乍ら質問すれば、シャインに頷いて答えられて更に驚く。ミアはネモフィラと顔を見合わせて、そして、再び精霊神の二人を見た。

 確かにジャスミンが普段連れ回している精霊たちと変わったようには見えない。けど、気楽に話しかけて良いのか疑問な所だ。


「で、俺とシャインがここに来たのは挨拶とお祝いも兼ねてなんだけど、一番の目的はこいつを渡す為なんだ」


 ヒロがそう言うと隣にいたシャインが何かを取り出し、ミアに差し出す。ミアはそれを受け取ると、直ぐに首を傾げた。


「魔石なのじゃ?」


 ミアが受け取ったのは、大豆くらいの大きさの色の無い透明な魔石。魔力は入っておらず、パッと見は特に変わった所は無い。


「そいつは聖魔法にしか反応しない魔石で、天翼学園のとある場所に入る為に必要な鍵なんだ。入学したら直ぐ使う事になると思うから、今の内に魔石の中に魔力を溜めといてくれ」

「ほう。こいつは魔力を溜めるタイプの魔石なのじゃ……って、聖魔法でしか使えぬ鍵じゃと? と言う事は、天翼学園にそれ専用の施設があると言う事になるのじゃ。天翼会には聖魔法を使える者がおると言う事なのじゃ?」

「そ、そうなのですか!?」


 ミアの疑問にネモフィラが驚き、それを聞いていた侍従たちも驚いた。すると、ヒロが「まあな」と答えた隣で、シャインがニコッと笑みを見せ、告げる。


「では改めまして。私は“聖”属性を担当する精霊神シャインです。ミアちゃん、同じ“聖”属性の魔法を使う同士だし仲良くしてね」


 と。

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