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TS転生のじゃロリじじい聖女の引きこもり計画  作者: こんぐま
第六章 王位継承権の行方
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見知らぬ騎士

 話は少しさかのぼり、バラムが起こした騒動が起きる前、少女四人の話し合いで事件を未然に防ごうとバラバラに行動している最中の事。ネモフィラはミントやリベイアと一度合流して、直ぐにそれぞれの役割を確かめ合って動き出していた。ネモフィラの役目は平民に怪しい人物がいないかの確認だ。

 話し合いの結果、ネモフィラと言う誰でも知っている王女様と言う立場が、事件を未然に防ぐ抑止力にもなるのではとなった。

 社交界の会場内には貴族だけでなく平民もいるわけだけど、当然と言えば当然で塊が出来ている。貴族は貴族同士で、平民は平民同士での塊だ。勿論それは半分に切り分けられたケーキのようにハッキリと切り分けられているような状態でもないけれど、それでも分かりやすいくらいには分かれている。

 そうなると、怪しい人物を捜す側としても分かりやすくしておいた方が良い。そう考えたネモフィラたちは、平民でも誰だか分かるネモフィラを平民たちの側に置こうとなったのだ。

 ミントは貴族を調べ、リベイアは貴族に接触する平民がいないかを調べる。侍従たちはそのサポートと言うわけだ。

 そんなわけで歩き回るネモフィラとメイクー。二人は社交界に参加している貴族に挨拶しながら、移動の際に平民たちの横を通り過ぎて、上手に会場内を歩き回って怪しい人物を捜していく。しかし、本当にいるのかどうかも分からない上に、怪しそうな人物も見当たらない。


「怪しい人物はいませんね……」

「はい。そもそも貴族なら全員顔を覚えていますけど、平民相手となると分からないですからね」


 挨拶回りの休憩がてらにネモフィラとメイクーが小声で話し、周囲を用心深く確認する。けど、そうして時間ばかりが過ぎていた。

 しかし、捜し始めて暫らくした頃の事。リベイアが深刻そうな顔でネモフィラの許にやって来た。


「ネモフィラ殿下。どうしましょう。何か様子がおかしいのです」

「様子がおかしい……? 何かあったのですか?」

「最近はランタナ様が騎士の訓練所によく行っていて、私もそれに同伴するのですけど、それで新人の見習いも含めて騎士の方とは顔見知りになりお話もよくするのです。だから気がついたのですが、ここを警備する騎士の何人か……いえ。半数以上が知らない顔なのです」

「え……? それはつまり……騎士では無い方が警備をしているのですか……?」

「はい。少なくともチェラズスフロウレスの騎士では無いと思います」

「…………」


 ネモフィラも兄が騎士の訓練場で修行しているのは勿論知っている。しかし、騎士一人一人の顔を見て誰が誰なのかと言うのは、実はそこまで詳しくなかった。

 だから、リベイアの話を聞き、その事に驚くと同時にネモフィラ自身もおかしいと感じた。


「メイクーは気がつかなかったのですか?」

「申し訳ございません。最近入った見習い騎士の顔は全く覚えてません。それに……言われてみると、知らない顔が多いですね……。私はてっきり新人の見習い騎士だと思っていました」


 簡単に周囲を確認して、警備の騎士を何人か見たメイクーが冷や汗を流して告げる。すると、滅多に怒らないネモフィラが、眉尻を上げてほおふくらませた。


「もう。ちゃんとして下さい」

「はい……」


 この駄目騎士。と言いたい所だが仕方が無い。新人の見習い騎士はここ最近に入ってきているのだけど、彼女はネモフィラにつきっきりで、そんなものに構ってられないのだ。まあ、それでもそれくらいは覚えておいてほしいものだが。

 とにかく、今はそれはどうでもいい。今問題なのは見習い騎士では無く、知らない騎士が警備をしている事だ。ネモフィラは直ぐにその知らない顔が誰なのか確認しようとして、しかし、それはこの場に来た他の人物たちによって後回しになる。


「ネモフィラ様!」


 ネモフィラの名前を呼んで現れたのは、ミアの家族を連れてやって来たミントだ。それに、ミントやミアの家族を護衛をしているヒルグラッセとブラキも一緒に現れたのだけど、二人の様子が何やらおかしい。二人は周囲を警戒しているようで、緊張した面持ちだった。

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