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TS転生のじゃロリじじい聖女の引きこもり計画  作者: こんぐま
第六章 王位継承権の行方
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少女たちの作戦会議 前編

 ミアたち四人が別行動をして暫らくの時間が経つ。四人は十六時に集合と約束をしていて、再び庭園のガゼボに集まっていた。侍従たちが淹れたお茶を飲んで一息つくと、早速それぞれの成果を発表し合う。


「まずは私から。私は失踪した被害者の家族に話を聞きに行きました。ですが、結果として何の情報も得られませんでした」


 最初に話したのはリベイアだ。リベイアはとても申し訳なさそうに告げて、肩を落とす。しかし、直ぐに「あっ」と声を上げて言葉を続ける。


「そう言えば、ムーンフラワー事変でケレニーと手を組んでいた貴族や金融会社の方が、何人か捕まる所には遭遇しました」

「ふむ? と言うと、サンビタリア殿下の派閥の者が捕まったのじゃ?」

「はい。貴族で捕まったのを見たのは一人だったのですけど、その方は数日前に祖父が失踪していたのです。それでお話をうかがいに行ったところ、騎士の方々に捕まっている場面に出くわしたのです。その時お話を騎士の方に聞いたら、ムーンフラワー事変に関わっていたと仰っていました」

「なんだか怖いですね。もし騎士が捕まえに行っていなかったら、お話を聞きに行ったリベイアの身に何か良くない事が起きていたかもしれません」

「確かにそうじゃのう」

「は、はい。危なかったかもしれま……せん」


 リベイアの説明にネモフィラが顔を曇らせ、ミアとミントが同意する。三人の反応を見て、しかし、リベイアは苦笑した。


「大丈夫ですよ。ミアが護衛でブラキを貸して下さったのですから」

「そう言う問題では無いのじゃ」


 ミアは否定するけど、リベイアの言葉にネモフィラとミントは納得して頷いてしまう。そんな二人をミアが横目で呆れ乍ら流すと、今度はミントが「次は……私が報告し……ます」と声を上げる。だから、リベイアの話はここまでだ。ミアは仕方が無いとこれ以上の話を諦めて、ミントの言葉に耳を傾ける。


「私は公園……で聞き込みをしたのです……けど、何も……分かりません……でした。でも、目の前で……行方不明者が出てしまい……ました」

「なんじゃとお!? それは本当なのじゃ!?」


 ミントの報告はまさかのもので、ミアはリベイアの話の内容を忘れて驚いた。そして、驚いたのはネモフィラとリベイアも一緒だ。まさか失踪事件の現場に居合わせるなんて事が起こると思わず、誰もが驚いて息を呑む。


「そ、それで、誰がいなくなってしまったのですか……?」


 ネモフィラが恐る恐る尋ねると、ミントは真剣な面持ちで「男の人と遊んでいた子です」と答える。それを聞くと、ミアもネモフィラもリベイアも首を傾げた。

 ミントの話す登場人物は“男”と“子供”。しかし、それだけでは誰なのかが分からない。ともすれば、偶然知らない人物が消えたと言う事になる。すなわち被害者は貴族では無く平民の可能性が高く、しかも、平民であればそれは初めての事だった。

 今までの被害者は全て貴族で、平民が失踪したと言う話は聞いていない。それを確かめるべく、一番最初に口を開いたのはリベイアだ。


「私の聞いた話が間違いで無いのなら、行方不明者は全て貴族だった筈です。目の前で失踪したのは、貴族の子供だったのですか?」

「違い……ます。平民の子……でした」

「となると、もしかしたらワシ等が知らぬだけで、被害者には平民もおるやもしれぬのう」

「はい。この事は一度お父様にも報告した方が良いのかもしれません」


 深刻な顔でネモフィラが話すと、そこで「あの」とチコリーが声を上げた。そして、ミアたち四人だけでなく侍従たちもチコリーに注目し、視線を浴びたチコリーは少し緊張した様子で言葉を続ける。


「お話を邪魔してしまい申し訳ございません。実は、ミント様が聞き込みをしている間に、私も消えた子供の事が気になって周囲を注意深く見て捜しました」

「え? そうだったんだ……」

「はい。それで、その子供ですけど、ちゃんといました。友達と一緒に歩いている所を見たんです。それに、一人だけでマカロンを食べていました」

「一人だけでマカロンなのじゃ……?」

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