表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS転生のじゃロリじじい聖女の引きこもり計画  作者: こんぐま
第六章 王位継承権の行方
296/999

新人侍従と友人の自己紹介

 ミントを連れて城に戻って来たミアは、ルニィの指導を受けていた新人侍従の三人を捕まえて早速紹介する事にした。すると、ルニィは今の内に書類の整理をと席を外し、ルニィ以外の侍従が集結する。


「この子達が新しい護衛のチコリーと侍女のクリアとムルムルなのじゃ」

「はじめまして。ミアの友人のミント……です」

「チコリーです」


 まず始めにとても不愛想な顔で名前だけ言ったチコリー。その態度にミントは少し怯えた。でも、ミアは笑顔だし、ミントは動揺して言葉が出ない。だけど、不愛想だと思ったチコリーが視線を逸らして「よろしくお願いします」と言葉を続け、ミントはホッと胸を撫で下ろした。


「う、うん。よろしくお願い……します」

(怖い雰囲気な人だけど、思ったより怖くないのかな?)


 チコリーは未だに不愛想な顔をしていたけど、ミアは笑顔だしで、ミントは一先ずそう思う事にした。


「ミアお嬢様の侍女見習いのクリアです。ミント様のお話は何度か聞きました。とても仲の良いご友人と聞いていたので、会うのが楽しみでした。仲良くして下さい」

「うん。そう言われると嬉しい……です」


 チコリーとは打って変わって好印象なクリアに、ミントは笑顔になって微笑み合う。ミアも二人を見てうんうんと頷いている。しかし、これには裏がある。

 クリアは知っての通りお金目当てで奴隷の道を選んだ七歳児。ミントが公爵家の娘だと知っているので、仲良くしようと考えていたのだ。なんともまあ可愛げのない子供だけど、実はミアにはバレている。ミアはそれを知った上で気にせず紹介し、この笑顔なわけだ。とは言え、ミントをお金目的に利用させるつもりはないのだけども。

 そして、満を持して最後の大トリの登場に、微笑んでいたミントの表情が固まった。


「どもどもー。ムルムルでーす。ミンミン。よろしくね♪」

「――っ!?」

(な、なんか凄い人きたああああ!)


 ノリが軽いと言うかなんと言うか、いきなりミントにあだ名を付けているしで、困惑せずにはいられない。この場にいる誰もが言葉を失い、クリマーテとブラキが顔を真っ青にしていた。ヒルグラッセは無表情だけど、尻尾がピクリと少しだけ動いた。しかし、それでもミアは笑顔である。いや。それどころか「イエーイなのじゃあ」とか言いながら、ムルムルとハイタッチしている始末だ。


「え、えっと……」

「私こう見えても十歳なの。でも、この自慢のおっぱいでご主人様の枕になる為に頑張ってるんだ~」

(ど、どうしよう? いきなり話が飛んだし、何を言ってるのか分からない。でもって何? 十歳関係あるの? 確かにお胸は大きいけど、なんで枕? ま、まさか、ミア様を誘惑してネモフィラ様との恋を邪魔する気なの!?)


 ミントが顔を真っ青にして震える。しかし、ムルムルの自己紹介は止まらない。


「え? なんでご主人様の枕になりたいか聞きたいかって? 仕方が無いなあ。教えてあげましょう」

「……え?」

(気になったけど口にしてない。心が読まれた!?)


 読んでません。勝手に一人で盛り上がってるだけです。と、その時、ムルムルの背後に黒い影。


「楽し気な声が聞こえると思って来て見れば、ムルムル。貴女、自分の立場を忘れたの?」

「――っうげええ! 鬼教官!」


 はい。鬼教官ことルニィママの登場です。そんなわけで顔を真っ青にさせたムルムルが、目が笑ってない笑顔のルニィに拉致られました。そんな二人を冷や汗を流して見送ったミントには、知る由も無いだろう。自分が家に帰った後に、一緒に羽目を外していたミアが説教されるなんて事を。

 尚、数分後に帰って来たムルムルは普通に自己紹介……と言うか、生気が抜けていて正気を保っておらず、余程ルニィママの説教が堪えたのだろう。聞いてもいないのに、何故か自分の生い立ちまで悲しそうにミントに喋った。

 ミントはそれを聞いて衝撃を受けて驚愕をし、ムルムルに同情した。尚、実際には本人は気にしておらず、怒られたショックでそのままのノリで話しただけである。


(凄く変な人だと思ったけど、そんな事があったなんて……。もしかしてあのおかしな言動は、ミア様とネモフィラ様の邪魔をするとかでは無くて、ただのやせ我慢だったのかも。本当は心に傷を負っていて、苦しんでるんだ。だからミア様が救ったんだよ! きっと他の二人も同じような境遇で、ミア様に……ううん。“王子さま”に救われたんですね!)


 ミントの熱い眼差しがミアの目とかち合い、ミアが首を傾げる。しかし、ミントは満足気で、また一つ勘違いを増やしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ