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TS転生のじゃロリじじい聖女の引きこもり計画  作者: こんぐま
第五章 聖女と歩む異世界旅行
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聖戦(3)

 ミアを襲った雷は、フラウロスの助っ人に来たアーマーズ=サルマクと言う男が使う魔装ウェポン浸食する武装(パラサイトアーマー)】によるものだ。アーマーズの魔装ウェポンは言うなれば寄生虫。自然界の現象である雷にも寄生して武器にする事が出来るもので、ノミのように小さく寄生虫のような容姿をしている。だから、肉眼で見るのはとても難しい。寄生したものを全て体内に宿す事が出来るので、対峙する相手からすれば、体外に出す時に何も無い所から突然現れるような感覚を覚えさせる。不意打ちには持って来いの魔装ウェポンである。この魔装ウェポンに弱点があるとすれば、寄生できるのは一度に一つのみと言う事。だから、今回で言えば雷に寄生しているので、魔装ウェポンで使える武器は雷のみと言う事になる。とは言え、なんとも強力な魔装ウェポンだ。

 しかし、もう一人の助っ人のニーチュの言う通り、彼は“ノロマ”だった。


「横に跳びなさい!」

「「――――っ!」」


 不意に叫んだフラウロスの声。その声でニーチュは横に跳んだけど、アーマーズはそれが出来なかった。そしてその直後に、ミアがミミミピストルを発砲。

 そう。ミアは雷を受けても気を失わずに立っていた。いや。正確には雷のダメージを殆ど受けていなかったのだ。ミアはアーマーズの雷撃を受ける時に、避けれないと判断して咄嗟に自分の体を光のまくおおった。それは雷の速度もあって完璧なものには出来なかったけど、少なくとも直撃はけられた。

 例を挙げるならば、コンセントにプラグをす時に、差込時にプラグプレートに間違って自分の指が触れてしまいビリッとする。そんな程度で済んでいた。とは言え、それでも味わえば結構それなりに怖い。だから、ミアは動揺して、次の行動をするまで時間がかかってしまったのだ。対戦相手の攻撃を受けた事が今まで全然なかったのだから、それは尚更だった。

 でも、冷静になれば直ぐにミミミピストルで射撃に移った。それはアーマーズにとって予想外の出来事で、反応が遅れた彼は額に白金の光の弾を受け、その場で白目をいて気絶した。


「アーマーズ! うちの兄をよくもってくれたな!」

「殺してはいないのじゃ」

「黙れ!」

「援護しなさい! ニーチュ!」

「はい!」


 フラウロスが黒炎の炎を爪に纏わせて駆け出し、それにニーチュが続く。その時ミアが気になったのはニーチュの装備だ。ニーチュは動きやすい衣装に、全身に散りばめられた数々の装飾品。イヤリングにネックレス、ブレスレッドにベルト。その他にもくどいと思える程に様々な装飾品を装備していた。それ等には魔石が幾つもはめ込まれている。


(魔石もぐらの炭坑で手に入れた魔石なのじゃ?)


 ミアの予想はその通りで、フラウロスは魔石もぐらの炭坑でフレイムモールたちに魔石を採らせ、手に入れた魔石をニーチュに渡していた。フラウロスが魔石もぐらの炭坑にいたのは、転移用の魔道具マジックアイテムとして使える魔石を手に入れる為だと思っていた。でも、実際にはニーチュに渡す魔石を採るのが目的だった。転移用の魔石はその時に偶然幾つか手に入れる事が出来た物に過ぎなかった。とは言え、それをミアが知る術は無いし、どうでもいい事。ミアは今度こそミミミを髪留めモードに変形させて、ニーチュの力を見て眉を顰めた。


石の声(ストーンボイス)……随分と便利な魔装ウェポンを持っておるのう)


 ニーチュの持つ魔装ウェポン石の声(ストーンボイス)】は、名前の通り魔石の声を聞く事が出来るもの。全身に散りばめられた魔石をはめた装飾品こそがその魔装ウェポンで、魔石の力を最大限に引き出す事が出来る力を持つ。そしてそれを証明するように、ニーチュが魔石の力を発動する。


「スイッチ!」


 ニーチュのイヤリングがキラリと光り、鋭く尖った氷柱つららのような氷の塊が幾つも飛び出す。すると、それはミアに向かって飛翔して襲い、ミアはミミミをピストルモードに戻しながら軽々とける。が、避けた先にフラウロスが先回りして、ミアに爪で斬りかかった。

 ニーチュのデータを調べる事に集中していたミアは、フラウロスが自分の動く先を読んでいた事に気がつかず、爪撃を寸ででミミミピストルで受け止め距離をとる。しかし、その先でフレイムモールが地中から現れて、全身に炎を纏って突進して来た。

 ミアは急いでフレイムモールに銃口を向けて、発砲してクルリと回転しながら跳んで突進を避ける。するとその時、回転時に背後が見えて、ニーチュの追撃で炎の玉が接近してきている事に気がついて、それも迷わず撃ち落とした。炎の玉も難無く撃ち落としたし、フレイムモールも問題無く気を失わせたけど、ミアはとても面倒な相手と戦う事になったと眉を顰めた。


「動きが速い。アーマーズのノロマがさっさとられてなければこんな奴!」

「落ち着きなさい。ニーチュ。私達二人が落ち着いて戦えば、こんなクソガキ敵では無いわ」

「はい。フラウ姉さま。こんな奴さっさと殺して、チェラズスフロウレスを滅ぼして、アンスリウムくんを迎えに行きましょう」

(数秒後の未来を見る力が想像以上に面倒じゃのう。さて、どうしたものかのう……)


 ミアがそんな風に考えた時だった。


「やっと見つけたです!」


 不意に頭上から声が聞こえて見上げると、そこには土の精霊ラテールが宙に浮いて立っていた。


「安眠枕の恨み、晴らさせてもらうです!」

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