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TS転生のじゃロリじじい聖女の引きこもり計画  作者: こんぐま
第五章 聖女と歩む異世界旅行
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常識を逸脱した狙撃

 天翼会所属のジャスミン=イベリスと、彼女と契約している精霊たち。彼女たちは独自にそれぞれ脳内で言葉を交わす手段を持っていて、それはリリィも同じだ。そしてそれはどれだけ離れた場所にいても可能で、どれだけ彼女たちを引き離そうとも意味が無い。強制転移を受けたジャスミンがリリィやトンペットと連絡が取れたのは、これが理由である。

 勿論この事はフラウロスも知っていて、連れて行けば自分たちの居場所が知られてしまう事も分かっていた。だからこそ気絶していたトンペットは捕まえずに放置したと言うわけだ。

 さて、そんな彼女たちは今、とある理由で別行動をしている。のだけど、モノーケランド軍とフラウロス軍が戦いを始めると、彼女たちは脳内での連絡を取り合い始めた。


「こちらプリュイなんだぞ。モノーケランドのテンシュさんと一緒にモーナスさんと合流して、フラウロス軍と戦いを始めたんだぞ」

「まさかあのバカの“最強の勘”とか言うわけの分からないものが当たるなんて……」

「がお~。モナ凄い」

「侍王はモーナスの勘を信じて正解だったです」

「まあ、いいわ。私の方はレムナケーテ侯爵やメグナット公爵達を連れて、ケーラの家に着いた所よ。一応アンスリウムを拷問して、今回の計画に直接関わっているかの確認をするわね」

「お、お手柔らかにね。リリィ」

「ええ。任せて。自分の事を神とかほざいていたのでしょう? せっかく妖狐も連れて来たのだもの。本物の神の妖狐と協力して、死んだ方がマシだと思えるくらい痛い目に合ってもらうわ」

「えええええええ!? だ、ダメだよ! 冤罪だったらどうするの!?」

「大丈夫よ。そもそも今の状況が罰として甘いのだもの。少しくらい痛い目に合わせるくらいが丁度良いわ。じゃあ、ケーラが家から出て来たし私は通信を切るわね」

「り、リリィ待って!? 死んだ方がマシレベルは少しじゃないよ!? 早まらないで!」

「…………」

「切れたッスね。失禁王南無ッス。あ。言い忘れてたけど、こっちでもショタコンババアを既に確認出来てるらしいッス。引き続きのじゃロリの遠距離射撃で援護――って、あああ! 駄目ッス! ボクは通信を切るッス!」

「がお?」

「と、トンちゃん? どうしたの? 何があったの?」

「…………」

「返事が無いです」

「うぅ……」

あるじ様。元気出すんだぞ」

「うん。ありがとう。プリュちゃん」

「そんな事より、ラテも今回は頭にきてるです。安眠枕をくれるとか言っていたのに強制転移させられて、結局貰えなかったです。ラテはもう直ぐで到着するし、ムカつくから着いたら直ぐにフラウロスの仲間をぶっ殺してやるです」

「ラテちゃん。怖い事言うのやめよう? それに私怨で八つ当たりはよくないよ」

「八つ当たりじゃないです。ストレス解消するだけです」

「それが八つ当たりって言うんだよ!?」

「あ。主様。フレイムモールが百匹くらい地中から出てきたから、そろそろテンシュさんのお手伝いするんだぞ」

「え!? そんなに!? 聞いてた話と違うね。でも、うん。気を付けてね」

「分かったんだぞ」


 プリュイが通信を切ると、残ったジャスミンとラテールとラーヴはそれぞれ現在地を教え合い、戦場へと急いだ。




◇◇◇




 ほんの少しだけ時間をさかのぼる。モノーケランド軍とフラウロス軍の戦場から二千里程離れた港町の高台の上にある展望台にて、ミアとルーサとブラキとトンペットの四人の姿があった。


「ミアちゃん。どうですか?」

「ぬう。流石にこの距離じゃからのう。フィーラを閉じ込めておる檻への攻撃は防がれてしまったのじゃ」

「まあ。あの女は天翼会の中でも強い方だし、気に食わねえけど、オレもあの女には敵わねえからな。当然っちゃ当然だろ」

「そうッスねえ。それに、ショタコンババアは厄介な能力スキル魔装ウェポンを持ってるッス」

「数秒先の未来を見る能力スキルと、身体能力向上系の魔装ウェポンじゃったか?」

「その通りッス」

「そんな事より、ミアもよくこんな所から狙えるよな。こっから八千キロ近くも距離が離れた場所にいたんだろ?」

「それはミミミライフルモードのおかげなのじゃ」


 ルーサの疑問にミアはドヤ顔で答え乍ら、ミミミを見せる。今のミミミはピストルモードではなく“ライフルモード”。名前通りのライフルの見た目で、遠くを見る為の光学照準器を付けた遠距離の射撃に長けた形状をしていた。にしても、この距離だ。常識を逸脱いつだつしている事には変わりない。


「でも、ここからじゃ私達は役に立てそうにないね。流石に距離がありすぎるし……」

「けっ。せっかく暴れられると思ったのによ。こんな事ならオレも侍王の軍に入れば良かったぜ」

「仕方が無いッスよ。結局ショタコンババア達がどこに出て来るか分からなかったから、みんなで別々の場所に待機する事にしたんスから」


 フラウロスが何処に現れるか分からなかったミアたちはチームを作って、それぞれのチームで別行動をしてフラウロスや船を探していた。ジェンティーレが各地に協力者を求めたおかげでたくさんの協力者も現れていて、モノーケランドの侍王もその一人だ。

 海岸の各地に各部隊が配備され、そして、フラウロスの軍を見つけたら別働隊に伝える事になっている。そうした理由でフラウロスたちの居場所が分かったのは良いけど、残念ながらミアたちがここだと思った所はハズレだった。だから、ミアは遠距離射撃を行ったのだ。のだけど、ミアはそれだけで終わろうと思っていなかった。……いや。むしろこの作戦、ここからが戦力を分散させて連絡手段を作った本当の理由があった。


「お主等。何を言うておる。今から皆で殴り込みに行くのじゃ」

「「え……?」」


 ミア以外の三人の声がハモり、そして、瞬きしている間に戦場のど真ん中……ネモフィラとカナが捕らわれているおりの上に立っていた。


「「……え?」」

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