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幕間 王女の日記

 月十二日 (晴) ネモフィラ=テール=キャロット



 今日は嬉しい事と悲しい事がありました。

 悲しい事は、ミアの活躍の半分を見れなかった事です。侍女のルティアから聞いた話ですと、ミアが溶岩の中から天使の羽を背中から生やして現れたそうなのです。それは本当に神秘的で、白金の光がミアを綺麗に照らして、本当に天使が舞い降りたような姿だったそうです。誰もが見惚れて、それはもう素晴らしいものだったと。

 何故わたくしはお空の上でお留守番をしていたのでしょう? わたくしも見たかったです。本当に残念です。


 それにその後も凄かったようです。

 龍神様を相手に放った閃光が綺麗で、とても信じられない程の力だったそうです。革命軍の方も、それを見て戦意を失っていたと言っていました。きっとその時のミアはかっこよかったに違いありません。ルティアも後ろ姿がとても綺麗で美しかったと言っていました。


 それにそれに、その後も凄かったようです。

 龍神様を説得する事になった時に、天使の羽を生やしたミアが溶岩の中に入ったのです。皆さんが驚いていると、気を失っている龍神様を持ち上げて現れて、陸に降ろして往復ビンタをしていたそうです。

 そんな事が出来るのはミアしかいません。その様子に皆さんも動揺していたそうですが、ルニィが止めてくれました。そうしたら、龍神様は途中で目を覚まされていたようで、ルニィに感謝をしたのです。龍神様が人に感謝なんて前代未聞で、ブレゴンラスドの方々は驚いていたと聞きました。




◇◇◇




「ネモフィラ様。交換日記ですか?」

「はい。今日起きた出来事を忘れないうちに書いています」

「今日は色々大変でしたね。私も火山灰を魔法で防ぐのに必死でした」

「うふふ。メイクーには感謝しています。ありがとう存じます」

「そんなそんな。恐縮きょうしゅくです。って、書いている途中で話しかけて申し訳ございませんでした。お続きをどうぞ」

「はい」




◇◇◇




 次は嬉しい事です。

 ミアが龍神様と一緒に外に戻って来てから、革命軍隊長のラティノ様と決闘する事になりました。手に汗を握る真剣な勝負です。

 わたくしも自分の事のように緊張してしまいました。ドキドキして、ミアー! 頑張ってー! と、邪魔にならないように心の声で応援します。

 ミアは最初戦い辛そうにしていました。きっと大勢の目があるので、魔法が使えなくて困っていたのだと思います。だって、ミアはご自分が“聖女”様である事を隠しているのです。魔法を使えば皆さんに気付かれてしまいます。

 でも、ラティノ様にはそんなの関係無いのです。とても凄い速さで攻撃して、それに吸い寄せられるようにミアが近づいてしまいます。

 だけど、あのフワフワなワタのマジックアイテムを使って攻撃を防ぎました。凄いです。そんな使い方で攻撃を防ぐなんて、わたくしには思いつきもしません。やっぱりミアはかっこいいです。


 ミアのそんな戦いにわたくしが目を奪われていると、あっという間に決着が付きました。最後はラティノ様の鎧を取って、ミアの勝利です。

 わたくしは感動しました。相手を傷つけずに勝利するなんて、流石は聖女様です。でも、そんなかっこいい事をするミアは、わたくしにはやっぱり“王子さま”にしか見えません。

 何故かミアのかっこよさに気がついていない方が何人かいて、呆れたような視線を向けていました。だから、この素晴らしさが分からないのは勿体無いので、わたくしが今日の祝勝会で皆さんに伝えて広めておきました。ミアは相手を傷つける事無く勝利した、とても凄いわたくしの“王子さま”です。と。そうしたら、納得はしてくれたのですが、何故か皆さんにミアがわたくしの“近衛騎士”だと勘違いされました。

 不思議です。“王子さま”と言ったのに何故“近衛騎士”と勘違いされたのでしょう? でも、ルティアには勘違いさせておいた方が良いと言われました。わたくしにはまだよく分かりませんが、きっと大人の世界はそう言うものなのだと思います。

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