表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/999

二次災害の脅威

 革命軍に所属している者のほとんどが魔装ウェポンを使えるのだが、それは天翼学園在校生もしくは卒業生だから。つまり革命軍とは元々貴族だった者たちで構成された集団。王都での生活の経験がある者も多く、個人差はあれど貴族街の地理には詳しい。それが理由で王都に攻め入った革命軍の侵攻は早く、己の気持ちを理解してくれない家族に恨みを持つ者も多くて、被害の大半が貴族街で起きていた。

 しかし、恨みごとの一番の例を上げるならば、婚約者との関係が壊れた事が一番だろうか。革命軍の所属隊員は“ふんどしを穿きたくない”と言う理由で、学園で出来た恋人に婚約を申し込んでフラれた者が多いのだ。キラもその内の一人で、卒業の日にプロポーズして“ふんどし”を理由に断られた。学園内での恋人関係ならいいけど、貴方の国に行って嫁ぐなんて絶対に無理だと。そして、ブレゴンラスドの王太子も同じだった。

 とても優秀な王子である王太子の唯一とも言える欠点が、“ふんどし”を穿く法律を持つ国の王子という立場だ。この国では住むにあたって、全ての者が“ふんどし”しか下着を穿けなくなる祝福のろいを受ける必要がある。王太子の婚約者は必死に抵抗して法の改正を求めたが結局は叶わなかった。叶わなかった一番の理由はゴーラの婚約者のアネモネの存在で、アネモネは“ふんどし”を受け入れていた。それが決め手となり、王太子の婚約者が我が儘を言うのはいかがなものかと問われ、つい最近になって婚約破棄をしたのである。

 結果それを利用して、王妃スピノが夫である国王に王太子や弟や妹たちを連れて傷心旅行はどうかと勧めたのだ。ゴーラの結婚式の日取りが予定より遅くなると嘘をついて。実際に予定を遅らせていたのもあり、更にそれが遅くなると聞いても、王は何の疑問にも思わなかった。裏で暗躍するアンスリウムのアドバイスが決め手となり、スピノはそれ等を利用したわけだ。

 そうして行われたチェラズスフロウレスの王族の処刑計画。ゴーラがプラーテを連れ出してしまうというアクシデントなどもあって、色々と面倒な方法をとってしまい、革命軍に王都を攻めこまれる結果を作ってしまった。王都に住む民からしたら、とんでもなく迷惑な話だ。そして今、ミアのせいで更に迷惑な事になっている。


「よ、溶岩が……流れておるのじゃ」

「当然だ。我の封印を解いたのだからな」

「ぐぬぬう」


 龍神の指摘にミアが言い返せずに悔しがる。と言うわけで、龍神を叩き起こしたミアは龍神の背中に乗って、ルニィとアネモネとプラーテとゴーラとルーサを連れて王都の上空を飛んでいる。何故このメンバーなのかと言うと、それには深いようで浅い理由がある。

 まず、ルニィはミアのストッパー。常識人でありミアの侍女長であるルニィの評価は高く、チェラズスフロウレス王ウルイが直々に任命した。因みに同じ侍女(けん)護衛騎士のヒルグラッセはお留守番だ。理由はチェラズスフロウレス側で唯一魔装(ウェポン)を使える騎士だから。ルニィが国王の護衛に必要ではないかと提案し、ミアがその通りだと残した。

 続いて、アネモネはもちろん龍神と会話する為の架け橋。アネモネは耳にヘッドフォンのような形をした魔装ウェポンを付けていて、背中からはアンテナを生やした状態になっている。このアンテナも魔装ウェポンの一部で、これで本来であれば言葉の通じない動物や魔物の声を聞く事が出来るし、自分たちの言語を理解してもらう為の電波のようなものを流している。因みにヘッドフォンのようなものはスピーカー機能がついていて、これで他者に言葉を伝える事も可能だ。

 続いて、プラーテは楽しそうだからついて来ただけ。スピノはもちろん危険だからと反対したけど、ミアがブレゴンラスドの騎士を説得する為に必要になるかもしれないと同行を許可してしまった。それなら自分がとならないのは、命を救ってもらった経験があるからと、聖女であるミアに頼もしさを無意識に感じていたから。深く考える事もなく、この子に任せるのであれば安心だと思ったからだ。ゴーラはおもり役で、基本はアネモネを護りながら、プラーテの面倒を見る役割をになっている。

 最後にルーサだが、彼女は革命軍を止める為の保健だ。龍神の姿を見ても止まらないなんて事が万が一にも起きてしまった場合に、副隊長である彼女であれば止められるかもしれない。だから、ルーサを連れて来た。

 こうしてせっかく集まって来たわけだが、ミアが言った通り王都には溶岩が流れていた。つまりは噴火していたのだ。しかし、それもその筈だろう。ミアが龍神の封印を解いた時に起こった爆発のような現象。そんなものが起きて、影響が起きないわけがないのだ。今まで影響を受けていなかったのは、そう言う場所に処刑場を作ったから。昔の人の努力の賜物たまものと言うだけの理由に過ぎない。今この王都で起きているのは、ミアのせいで起きた二次災害だ。


「それに火山灰が酷い……。ミアが結界を張ってくれているから私達は平気だし視界も良好だけど、これでは民がどうなっているか……」

「まさかこんな事になっているなんて……。すまない。龍神様の封印を解く前に私がこの可能性に気が付いていれば」

「流石にてめえは悪くねえだろ。近道したくて封印を解いた馬鹿はミアなんだろ?」

「す、すまぬのじゃ。返す言葉もないのじゃ……」


 ルーサの言葉が心をえぐってミアが落ち込むが、自業自得なので仕方が無い。と言うか、今回はちゃんと反省していて偉いミアだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ