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大事な事はちゃんと言わないと伝わらない

「ランタナ殿下とリベイアの行方が分からぬじゃと?」

「はい。お兄様はリベイアを護る為に戦っていましたが、リベイアと一緒に戦いの中で忽然こつぜんと消えてしまいました。捕まってしまったのか、逃げ延びたのか……わたくしには分かりません」

「ミントは知っておるか?」

「わ、私もわかりま……せん」


 ネモフィラを助け出したミアはその場を動かず、気絶している精鋭騎士の背中に座って、捕まった後に何があったのかを聞いていた。そうして分かったのは、王族がバラバラになってしまったと言う事。

 革命軍に偽装した精鋭部隊とチェラズスフロウレスの騎士団が戦闘になり、国王と王妃とサンビタリアは精鋭部隊の別働隊に連れて行かれてしまった。ランタナとリベイアは行方不明。アネモネはプラーテと一緒にゴーラに護られて、しつこくつきまとう革命軍のサウルと戦闘中に何処かへ消えて、メイクーや他の侍従たちもサウルの部下の乱入があり、その後どうなったかが分からない。チェラズスフロウレスはかなりの痛手を……いいや。痛手では済まされない状況におちいっていた。


「体は大丈夫ですか?」

「まだ回復しきっておらんけど、歩ける程度には体力が戻ったのじゃ」


 ミアは立ち上がり、一瞬だけフラッとよろめく。ネモフィラとミントは慌ててミアの体を支えて、心配で顔を曇らせた。


「ありがとうなのじゃ」

「こんな風になってしまう程わたくしの事を……」


 ネモフィラが瞳をうるませて、ミントも同じように瞳を潤ませて頷く。

 ミアがこの場に留まっていたのは、話を聞くだけでなく体力が限界を迎えたからだった。と言っても、普通に考えれば当たり前。ミアは引きこもり願望の強いごろ寝聖女なのだから。

 運動不足に関して右に出る者はおらず、運動不足の覇者としてその座を欲しいままにしているミア。旅館から町の中を走り回って、更には町の外まで走って暴れたのだ。特に最後のリーダー格との戦闘がいけなかった。あれだけの動きや力を出せたのは、魔装ウェポンを通じて魔力で肉体強化をしていたからに他ならない。しかし、それは副作用なしでは使えないもので、肉体に影響を与える。それも含めて運動不足の覇者である引きこもり聖女ミアの体力がもたなくても、決して何も不思議ではなかったわけだ。


(少しは運動しようかのう……)


 などと自分の堕落だらくっぷりを若干後悔しているが、きっと運動はしないだろう。そんなミアをネモフィラとミントが挟さんで立ち、三人で手を繋いで歩き出す。

 因みに、気絶させた精鋭部隊は放置だ。ミントはこのままにしておいて良いのかと心配したけど、ミアが捕まえて監視するにしても、自分はともかくネモフィラとミントには逆に危険だと言って放置になった。実際に大人八人を子供三人で捕まえたままにして、更にはその状態で移動となると流石に無理がある。そう考えれば、このまま放置してこの場を去るのが一番の得策と言えたので、ミントも説明を聞いて納得するしかなかった。命を奪えば良いのでは? と思うかもしれないが、平和の国で育った少女たちにはその選択肢どころか発想が最初から入っていない。


「あ、あの……ミア様は……聖魔法が使えたのです……ね」

「うむ」

「わたくしのせいでミントに見られてしまいましたね。ごめんなさい」

「そんな事は気にせんでええのじゃ」


 ネモフィラが謝ったからだろう。ミントは疎外感そがいかんを感じてうつむいた。事情を知らないミントは、自分は仲間外れにされて、隠し事をされるような仲なのだと悲しくなったのだ。

 そんなミントの感情にミアは気がついたのだろう。隣を歩くミントに「のじゃあ」と軽く頭突きして、ニコニコ笑顔を向ける。ミントは突然の頭突きとミアのニコニコ笑顔に驚いて、目を瞬かせて驚いた。


「黙っておったのは、ワシが誰にも言わないでほしいと国王に頼んだからなのじゃ」

「陛下に……ですか?」

「うむ。公爵と言う肩書きも、それを隠す為だったのじゃ」

「…………」

「ミアの仰る通り、ミントだけに隠していたわけでは無いのです。だから、今日からはミントも一緒にミアの魔法の事、それから魔装ウェポンの事を隠して下さいね」

「ミア様。ネモフィラ様。私……絶対、絶対に誰にも喋りま……せん」

「ありがとうなのじゃ」

「うふふ。良かったですね。ミア」

「うむ。ミントがよい子で良かったのじゃ」


 ミアとネモフィラがミントに笑顔を向けて、ミントも嬉しそうに笑みを浮かべる。仲が一層と深まった気がして、ミントはとても幸せな気持ちになる。そして、ミントは自分の考えを改めた。そう。ようやくミアが聖()だと気がついたのだ。


(私、やっと分かった。ミア様は他国の王子さま……男でありながら、聖女と同じ聖魔法が使える為に女装をいられていたんだ!)


 はい。すんません。なんか違いました。何故か考えが悪化したミント。どうしてそうなったのか、ミントの妄想は止まらない。


(ミア様の判断は正しい。聖魔法が使えるのに男の子だなんて世間に知られてしまったら、きっと世界中の人が聖女じゃ無かったと悲しむ。だから、ミア様は女装して女を演じる事を決めたんだ。例えそれが偽りであっても、いずれご自分が聖女であると公表する為に。そうすれば、世界中の人々が喜ぶから。そして、それをネモフィラ様の愛で支えるのですね!)

「ミント……? どうしたのじゃ?」

「あ。す、すみま……せん。ぼうっとして……ました」

「大丈夫ですか? ミントも大変な目にあったのです。辛かったら言って下さいね」

「はい。全然大丈夫……です」


 そう答えたミントは、本当に大丈夫な感じにニヘラとした笑みで妄想を続けた。

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