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記憶のかけら02
生き物というものは、
なぜこんなにも弱いのか。
生き物というものは、
なぜこんなにも脆いのか。
醜い豚人も、
鈍いトカゲも、
驕った魔族も。
私が触れればいなくなり、
私が触れればその場に倒れ、
私が触れれば付き従う。
こんなものか、城というのは。
一人に落とされる城などいらない。
触れたら死ぬような手下はいらない。
触れたら死ぬような仲間はいらない。
触れたら死ぬような家族はいらない。
なんだ、
いるじゃないか。
こいつもそうだ、
こいつも、こいつも。
城を建てよう、
もっと大きな城だ。
手下を作ろう、
もっと巨大な魔物だ。
仲間を作ろう、
忠実で強い魔族だ。
家族、家族か……




