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新八戸領 領内見廻り その三

八戸領 根城


新八戸領は現在人口約四十万人、約八万戸ほどである。今までは開発による石高上昇が人口の増加を上回っていたのだが、ここに来て人口がほぼ倍になり、備蓄分を放出する事態となってしまった。


「南部丸級、新南部丸級の建造を急がせるのはいいとして、買い取りを強化する指示を駿河に出すのと、田中殿に雑穀の買い取りを頼む書状を送らんとな。」


爺 「若、南部丸が戻ってきております。」


「爺は呼び方かわらないのな、小笠原の親族も乗ってるんだったか。」


「はい、小笠原殿から今回着くと聞いています。」


「親族の再会に水を差すつもりはないんだが、ちょっと見に行くかな。」


「若、荷物を降ろして、水と食糧の積み込み、人員の交代をおこなったら、すぐに出発ですぞ。」


「ああ、そうだったな、駿河からの輸送を優先させて備蓄量を増やす計画だったな。書状書状っと。」


◆◆◆


港地区


「殿!親族の一陣が到着しました。」


「おっ、おう以外と荷物が少ないんだな、遠慮しなくても良かったのに。」


「我らは流浪の身、それ程荷物もないでござるよ。」


「そうか、では改めて、小笠原信浄、貴殿に七戸城城代を命じる石高は今は二千石程度だが干貨の生産を軸として最終的には二万石位にはする予定だ、最初は道造りからだが頼んだぞ。」


……こういうのは、皆の目の有るところでやらんとね。


「八戸にもお主の屋敷を用意してあるから、自由に使ってくれ、親族で八戸に住むのなら用意するから遠慮なく言うように。」


「重ね重ねありがたく、女、子供や老人達は八戸に置きたいと思ってましたので屋敷の方使わせていただきます。」


「お主の目でみて推薦したい人材がいたら推薦してくれ、一陣って事はまだ来るんだろ、待ってる間に馬車を使って温泉に行って来ても良いからな、七戸城には代官も派遣してるし急ぐ必要はないからな。」


「ははっありがたく。」


「ところで、話は変わるんだか、あそこの市場でウロウロしたいる爺さんは、親族なのか?」


「いえ、今回は若い世代を中心に来ているはずですから。」


「でも、南部丸に乗って来たんだよな、はて?」


……偉いさんかな?、今川、北条などの紹介状があれば乗せていい事にしてあるからな。


「爺、紹介状を持ってるだろうから、宿の方に案内させといて、使者なら後で会うから。」


「分かりました、早速。」


「ああ、別に港に見られて困る物はないから、自由に見学させていいからね。」


「はい、分かりました希望したら若い者に案内させましょう。」


「じゃあ、俺は根城に戻って仕事してるよ、良い息抜きになったよ。」


◆◆◆


「ではこれより、鈴姫、なんとかせんと如何のでは、の会議をおこなう。」


泰造 「殿、なんで俺達なんだよ、武家の姫さんの事なんてわからないぞ。」


小助 「殿、斎藤衆の若いおなごは綾と変わらないかと参考になりますかどうか。」


「工藤達はどうだお主達は武家の出だろう。」


工藤 「我々は、親を亡くしてからは、武芸に畑仕事に急がしくて女子の事など考える余裕はありませんでしたし。」


市川 「ですが、こうして禄を貰ったからには嫁を取りたいと考えてはおりますが。」


舘 「若輩者ゆえ、伝手が全くありません。」


「いやわかってるよ、俺が紹介なり、なんなりしなきゃなんないことはね、だがその前に俺の嫁をなんとかせんと如何のではないかな。」


泰造 「なにが不満なんだよ、十分大人しいじゃないか。」


「どこ基準だ!姫だぞ、もうちょっとこうな。」


工藤 「我々に聞かれても、ここは年長者の北殿に聞かれてきては。」


ホ○にきいて如何する、しかし奴にも嫁はいるのだよな~仮面夫婦なのかな?

へたに絡みたくないんだが、こいつらと三戸本家との縁組か一度会って相談してみるのも良いかなぁ。


「他に意見は……」


「なんであたしに聞かないのよ。」


「いつから当然のように座っていたのかは、どうでもいいとして……鈴は如何した。」


「おサエさんとなんか作ってる、差し入れかな。」


小助 「殿、鈴姫も頑張っておられる様子、問題ないかと。」


泰造 「小助は子供に甘いからな、でもまあ差し入れ作ってるんだから大丈夫じゃない。」


「いやいや、武家の姫は普通料理せんだろう。」


綾 「あきれた、うちが普通の武家だとでも?」


「建前を捨てる気はないぞ、確かにまともな武家ではないがな。」


市川 「三戸城には、晴政様の奥方を始め本家の姫がいるのですから、何というか修行にというか見学して貰ってはいかがでしょうか。」


「それだ!姫修行に出せば良いじゃない。」


◆◆◆







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