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新八戸領 領内見廻り その一

◆◆◆


新たな領地の体制が整いつつある八戸領だが問題は山積みだった。


「旧八戸領の石高は、米相当で約八万石、穀物に直すと約三十万石、備蓄する分を除いてもおよそ二十万人は楽に養えるわけだな。」


泰造 「へえ、今人口はどれ位なんだ。」


「新八戸領の人口は約四十万人だ、だいたい人口は倍、土地の面積は十五倍位だな、そしてここに問題が隠れている。」


「なんだよ、問題って。」


「新八戸領の米相当の石高は八万二千石、穀物に直しても三十一万石、備蓄を放出しても養いきれません。」


「ん?計算がおかしくない、十九万人は今までどうやって食ってきたんだよ。」


「泰造も八戸領のぬるま湯に浸かって慣れてしまってるぞ、いまの日本の正確には奥州の食料事情なんてこんなもんだぞ、八戸領が異常なんだからな。」


「如何するんだよ、新しく加わった人達は“我々も同じ領民なのに”と食料事情の格差を口にするんだろ、ヘタすれば一揆になっちまうぞ。」


「格差とかどこで覚えてきたんだか、まあいい今年からは新たに加わった地域の住民には麦粉と種麦を配っていてな、麦の味を知ってもらい、暇をみて開墾してもらい冬麦から畑を始めてもらう。そうやって麦畑の開墾を推奨していくまあ石高が安定するまで五年はかかるかな。溜池とか八戸領で培った農業技術も道具、牛、馬の貸し出しとかも惜しみなく行うつもりだ、……が~新しく加わった領地は山地が多くてね、頑張って開墾してもいいとこ麦で十万石程度しか増えないんだよね。」


「九万人分足りないのは如何するんだよ。」


「うーん全体的に石高は伸びてるからそんなに心配はいらないんだが目を付けてる土地はあるんだよね、あそこを開墾できれば米相当で五万石、麦で二十五万石、更に牧草地としても有効活用出来るくらい広大な平たい土地が余ってる。」


「そんな都合の良い土地有ったっけ……まさか、あそこか!あそこは歴代の南部領主がことごとく開墾に失敗しただけでなく、祟りで何回も村が全滅してるところだろ。」


「そうだな、蝗の被害で南部領というか東北地方を壊滅させかけたいわく付きの土地だな。」


「いくらお前でも無理だろ。」


「お前とか無理とか言うな、外では殿と呼んどけ。」


「なんだよ、無理じゃ無いのか殿?」


「片方の解決策は既に知っている、もう片方は知識だけだが大丈夫だろう。」


「知っているのか、じゃあ問題ないな。」


「軽いね、もうちょっと心配しようよ。」


「殿は自分が八戸領でなんて呼ばれてるか知らないからな。」


「なんて、呼ばれてるんだ?」


「八幡様の御使い。」


「おつかい?」


「み、つ、か、い、八幡太郎義家の二代目だってさ。」


「そりゃまた大層な名前だね。……ん?弓の神様じゃなかったかな?」


「御使い様にかかれば、祟りの土地も安心して開墾できるんじゃない。」


……俺をそんな立派な人に例えられてもなー、まあ神童歳をとったらただの人のノリなんだろな。


「……八幡様にありがたく名前だけ借りておくか、混乱が起きなきゃそれでいい。」


「それで、開拓する方法は?」


「それはまた後でな、今はここの地域の計画をかんがえてるから。」


……今は維持するので精一杯、開拓団とか組織する余裕はないな、取りあえず工兵隊が戻る来年あたりから手をつけるかな。


「ふーん、ところでわざわざここまで視察に来ないといけないものなのか?」


「実際に土地の形状や日当たり、水はけ、高低差、土の質、できれば一年間の温度まで確認してからでないと、作物適正なんてわからないからね。」


この辺りは既に俺の地元じゃないからね、正解を知らんのよ。


「それで、後ろの連中は?」


「連中言うな、南部各領主からの視察団かな?うちの文官の修行ついでに連れてきた。」


「手の内さらして大丈夫なのか?」


「ああ、南部家も内政の大事さを理解し始めたんだから良いことだよ、断って良い流れを止める必要はないさ。」


「真似されたら、うちが貧乏になるんじゃないのか?」


「余った麦はうちで米に変えて差し上げる予定だからね、もしかしたらうちの一人勝ちになるかもねぇ。」


「買い取りにも馬車がいるからな、……もしかして他の領の儲けを吸い上げてるんじゃ。」


「相手は米が手に入って満足、うちは馬車を使って輸送料を貰って満足、更に相場の麦が入ってきて備蓄が増える。良いこと尽くめじゃないか。」


「詐欺師ってそういう口調なんだってね。」


「詐欺師とか人聞きの悪い、うちは真っ当真っ白な商売ですよ。」


……価格操作しようとしてる時点で真っ黒だがね。


……まあ、とりあえず問題の一つ、予想以上に悪くなった食料事情の改善はなんとかなりそうたが、飢饉対策の分を放出しているのはいただけない、早急に備蓄できるよう他国からの麦の買い取りを強化しないとな。


正直、今年、長雨とか台風が来たらとかドキドキしてますよ、せめて今年を乗り切らないとな。


ていうか、雑穀一万石ってなんだ?本当にどうやって生活してたんだか理解が追いつかん、しばらくは検地とかするつもりはなかったが、隠し畑位は持ってるんだろうな~斎藤衆に調べさせとこ。

余りに行き過ぎてる奴は摘発して、“締める所は締めるぞ”を新しく領の住人になった者に見せておかないとな、舐められたままで統治なんてできないからな、神の使いとか言って誤魔化しても赦しませんよ私は。

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