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停戦

◆◆◆


桃生郡 北上川の渡し場


南部晴政の陣


北信愛 「晴政様二日連続の早馬です一関砦に続いて築館宿の占拠に成功とあります。」


「昨日は一関砦の攻略成功と葛西晴信の調略、今日は築館宿の占拠か、これで陸前への侵攻を妨げる障害は無くなったわけだな。」


斥候 「川を渡ってくる船が、八戸と大崎の旗を上げております。」


「はっ?大崎と八戸の旗が一緒とは?」


半刻前


桃生郡 北上川の渡し場


迎撃軍 大崎の陣


伊達の大将鬼庭良直、葛西家当主葛西親信は大崎の大将黒川晴氏に危急の用事と呼び出されていた。


良直 「事情は分かった、山中の迎撃軍が壊滅し中新田城が落とされた事、すでに陸前に九戸の大軍が侵攻している事。こちらとしても停戦に異存は無い、いや無いどころかかなりの好条件、一旦停戦して仕切り直すのはこちらとしても望む所だしな、だいたいこのままここに貼り付けられていては戦功もあげられん。」


親信 「葛西こちらとしても停戦はありがたい。そろそろ収穫事期だからな、このままここに対陣して作物を駄目にしてしまうよりよほど良い。」


晴氏 「同意感謝する、義直様も停戦後解放することは既に合意している、中新田城に詰めていた氏家定直殿も最上家として賛成だそうだ、これで四家の合意が取れたことになる。」


「大崎としてはこのまま大崎と八戸の合同で出した早馬を対岸に向かわせたいのだが。」


良直 「分かったそれで良い、油断は出来んが撤収の準備はして置いて構わんだろう、南部家から返信がすぐ来るだろうからまた呼んでくれ。」


親信 「そうですね私もそれで良いです、総大将が目の前に居ますから、しかし素早い対処ですねこの八戸という男、有能な官吏なのですかね?このごろこの名をよく聞きますが。」


晴氏 「………、時間が惜しいのですぐに対岸に向かわせるでは失礼する。」


晴氏…… ちっ葛西め余計なことを、俺が負けたことを知っているくせに。


良直…… やれやれ、仲の悪いことで、しかし停戦はありがたいが後の事を考えるとな、伊達家も一度評定をする必要がありそうだな。


南部晴政の陣


「……中新田を落としたのはお手柄なのですが、大崎義直は余計でしたね。信仲殿には申し訳ないが私も一旦停戦で仕方ないかと。」


「信愛も停戦に賛成か。」


「政栄殿の手紙にも書いてありますが高信殿が捕虜を捕まえ過ぎましたな。いえ殺せとか言っている訳ではなく信仲殿に回す兵糧がだいたい半分になりますから、あと一ヶ月しないうちに兵糧が尽きます。」


「で、捕虜を解放しないと大崎領の切り取った土地の収穫が出来ない……更に兵糧が減るのか。」


「正直な所我々が、収穫前に捕虜を解放しないと大量の流民を産むことになりますな。」


「なにもしなくてもこの辺りの土地は壊滅するか、そんな土地を攻め取ってもな、分かった致し方なし停戦に合意しよう、早馬にはそのまま対岸から信仲に停戦命令を届けて貰おう。」


◆◆◆


山中またはやまのなか


石川高信の陣


「盛政殿、政栄から早馬が来た見て見ろこの手紙。」


「どれどれ、ハッハッハ困ってるな捕虜の取り過ぎだとさ。」


「あんな作戦を考えた奴が悪いんだから、我々に責任はないよな。」


「うむ、その通りだ我々に責任はない!」


「解放して、中新田城まで街道を造ってろとさ。」


「雑な命令じゃのう、て言うか中新田城まで落としているし。」


「忙しい奴じゃな、しかし我々は武器から鎧から手紙に書いてある身代金まで大儲けじゃな。」


「まあ、戦場の決まりだからなハッハッハ。」


政栄心の声 んな訳ないでしょ花巻の兵糧分引いてやる。


◆◆◆


大崎領 高清水城


「実親め……半月あれば古川城か岩出山城に届いたモノを。」


「ヤレヤレ、総大将を捕まえてしまうとはね、初陣で大手柄ではあるんだけど、うちにとって最悪だったね。」


「高清水までか……まあ良い十分に元は取った、後は南部の評定で上手く立ち回るだけだな。」


「今度は評定での戦いですか……そういうのは苦手なんですがね。」


「流石に、評定の場で嫁に頼る訳にも行くまい、今回はお前も出るんだ、九戸の家督を継ぐ以上評定の空気に慣れておけ。」


政実…… 空気に慣れるどころか、空気になりそうだよ。


◆◆◆


中新田城 魔改造計画


◆◆◆


中新田城 二ノ丸


八戸政栄の陣


そろそろ、停戦命令の早馬は付いた頃だろう、今回は上手く相手を誘導して戦力の空白地帯を作ってから電撃作戦で陸前の一部に楔を入れた形だが……、九戸が落とした平野部の城は守りにくく攻めやすいんだよね、いずれは数に押されて築館宿まで戻されるだろうな、人口格差ばかりはどうにもならないしね。

まあ以外な拾い物はこの中新田城かな、堀と門を軽く弄るだけで簡単に二ノ丸からは要塞化できるし川を利用して三ノ丸を造ることも出来る。

そうなれば敵中に孤立しても食料があれば二年は持つからね、最初にここに城を造ろうとした人はたいしたもんだな。

でも我々がこの城を使うなら、花巻から川の上流にでる戦略的街道整備が必要な点は……結構大変だね(主にじじいたちが)

中新田城は小舟で川にでれば、川から海までは簡単に下れるから脱出手段として悪くないんだが今は大崎領と伊達領を通らないと海にでられない、非常時に脱出手段として使うには一か八かになりそうだな。

脱出手段は置いておいて、城の修繕ついでに強化だが取りあえず二ノ丸を完全に堀で包んで門を跳ね橋にしてしまおうかな土塁はコンクリートで角度をつけて登りにくく、いや直角にして登れなくしてしまえ。堀の上五メートルあれば……嚢砂の計で登れるか、三万人に攻められてもいいように計算上なら十五メートルは欲しいな、まあ時間をかけて守備兵でコツコツ作ればいいし基本の中国型城壁の城壁工事の練習に丁度良い、コンクリートをつかえば岩を切り出す必要も積み上げる必要もないし、時間がかかるけど、いずれ無敵要塞化できるね。とりあえず二ノ丸を一週位グルグル回りながら高くするやり方を試してみるかな、うーん?日本の風景に合わねー城になりそうだな。


まあ良い二千の兵を常駐させて二ノ丸を高くしていく一連の工程を構築しておくか。材料には困らないから金もそんなに掛からないしね。


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