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水平城(中新田城)の戦い その二

◆◆◆


【政栄】 「敗残兵(八戸兵)の諸君、門が開くかどうかは、君たちに掛かっている、そこで今回は特別報奨金を出そうじゃないか。」


「若!ありがとうございます。」「流石!若。」「男前!」


「演技が下手だといかんので矢を射掛けまーす。」


「ふざけんな、ボケ!」「何故こんな人に、ついてきたんだ。」「お暇を頂戴いたしたく。」


やじりは潰そうかなー、それとも尖ったままでいいのかなー。」


「流石、若ですね。」「ついてきて、良かった。」「頑張ります!」


「さてここで政栄チャーンス、尖った矢一本につき五十文!最大一貫二百本まで混ぜることができます。」


「おい、どうする?」「盾は持って良いのか?」「大崎兵は持ってないだろ。」「避ければいいのでは。」「全力で……


【九戸実親】小声「本気で射掛けるのですか?」


【政栄】小声「鏃は全部潰します、嘘ですが迫真の演技をしてくれるでしょう。」


小声「なる程、良い意味で騙す訳ですね。」


【政栄】大声「全力で射掛けますから死人がでるかもしれませんねー。」


「なる程、勉強になります。」


◆◆◆


うわっはっはっは!よい敵兵は死んだ敵兵だけなんだな。


「若-!なんか弓の威力がおかしいです!」「まじでしぬーー。」「やめてー!」


これがまさかの試作コンポジットボウだとか?不思議なこともあるんだなー


「はっはっは!みんな良い事を教えてやろう。」


「これ当たったら死んじゃうかも、てへ。」


いきなり全力で逃走し始めた敗残兵(八戸兵)。


【実親】 「演技なんですよね?」


「もちろん……ですよ。」


◆◆◆


中新田城 


大崎義直


石川高信の迎撃に出した、二万が全滅か……、築館宿では定直殿が撃退されてしまったし、領内には各城に守備兵を残してはいるが、花巻からの大軍に一つ一つ落とされていっては……ここは一旦我慢して、和平交渉てうちを行うべきでは?収穫前に領内が蹂躙されては領地経営も立ちゆかなくなってしまう。南部の一族衆にも確か血縁者がいたはず……


【伝令】 「殿、味方が南部とみられる軍に追われて、こちらに向かってきます。」


【義直】 「なんと!旗は?何処の者だ?」


「旗は中新田から出撃した大崎の物です。」


「この城の兵達か……」


義直…… 士気の落ちた今、少数でも兵を見捨てるべきではない……味方を切り捨てたと思われたら……戦どころではない、和平交渉をするにしても城を守る兵に離反されるようなことは避けるべきだろう。


「門を開けて中に入れるように、追撃してくる南部には、おおそうだ、定直殿に迎撃の指揮を執って貰おう、定直殿に迎撃をお願いしたいと伝えてくれ。」


「はっ!」


義直…… わしが直接指揮を執るより最上兵は定直殿に任せた方が良い働きをするだろう。


◆◆◆


中新田城 二ノ丸


一ノ丸に続く門から氏家守棟が二ノ丸の最上兵の集まっている場所に駆け込んできた。


【守棟】 「親父、南部が攻めて来たのか?」


【定直】 「敗残兵を追って山陰やまかげから真っ直ぐこちらに向かって来ている。」


「南部は騎馬の集団だろう、足軽三千じゃあ勝負にならない、籠城して……」


「気付いたか、援軍の来ない籠城はしないことだな、ただいたずらに負けるのを引き伸ばすだけだ。」


「では如何したら、いいと。」


「準備が出来ていれば火計、出来てなければ大将を狙うのみだな。」


「門を開けて引きずり込むのか?」


「無論入って貰わんとな、そのあと要所要所で分断していくまでのこと、守棟、覚えておくといい城というのはそれをし易いように設計してあるのだ。」


◆◆◆


全力で逃げる敗残兵(八戸兵)を喜々としておいかける政栄


「俺は帰れば五石の報奨金が貰えるんだ!こんなところで死んでたまるか!」「バカ」「そいつからはなれろ」


「ほほう、よく頑張ったなえらいなぁつかれたろ……楽にしてあげないとな」


「斎藤衆のみなさん。」


政栄の横にスーッとならぶ黒塗りの鎧の集団


「やっておしまい!」


政栄が軍配を一人に向ける、無言で矢を放つ斎藤衆……


「てめえら!後で覚えてろ、あっ!てめえその腕前、小助だな」


騎乗しながら額に飛んできた矢を直刀で見事に払う男


「なんだ、奴は斎藤衆なのか。」


【爺】 「すみません若、孫の泰造です。」


爺の孫って…言えば普通に取り立ててやるのに、足軽スタートとか、ぷっ中二病か。


「そうか!よーし奴に当てたら試作のこの弓をとらす!」


【小助】 「……泰造すまん……オオオオ!!!」


小助と呼ばれた男が連続で矢を放つ!


【泰造】 「なんの!なんの!なんの!」


連続で切り払う泰造。


ほほう、両者ともなかなかの腕だな、よし。


「小助!ほれ。」


小助に試作の弓を投げ渡す。


「……若よろしいのですか?」


「褒美の先渡しだやれ!」


「……はっ!オオおオ!!!」


数段威力が上がった矢が泰造を襲う。


「くっ!なんと!、グアッ?アアあああぁ」


落馬しながらも転がって立ち上がる泰造。


「てめえら覚えてろよーーー!」


「うむ悪は滅びた、小助!褒美をとらす!」


弓を掲げて「ありがたく。」


◆◆◆


中新田城 正門裏


【斥候】 「騎射で一人落馬しました。」


【定直】 「ふむ、本当に敗残兵のようだな、どちらにせよ入れて隔離するから準備をしておけ。」


【最上兵】 「はっ!」


定直…… まさかな、味方に矢を放つまでは演技ではできるが本当に落馬させるまでやるまい。いや万が一を考えて隔離するのは定石だ、扮装させ侵入から開門なぞ城攻めでは初歩の初歩、南部にとって成功したら儲けもの程度だがやって損は無いからな。


「開けた門の影に潜み、大将が通過したら閉めるのだ、失敗しても構わん、本丸まで何カ所かあるからな、逃げる時は本丸とは逆の行き止まりの殺間に誘導せよ、縄を用意してそこから登って逃げれば良い。」


二倍程度なら大将を狙わずともなんとかなる数だ、前回の憂さ晴らしに叩き潰してくれる。


◆◆◆




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