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不来方でのアレコレ

◆◆◆


《不来方付近の山中》


タングステン鉱石というか土を探し出す為に、冬のこの山まで来たわけだが……


「寒い!」


【爺】 「でしょうな。」


「爺、その毛皮を貸してくれ。」


「年寄りから着物を奪うと?非道い方だ。」


「今度の駿河行きの南部丸で綿花を仕入れて来て貰おう。」


「仕方ない、今回は遭難する前に帰ろう。」


「そうですな。」


よく考えたら、誰かにサンプルを採って来て貰えばよかったな。


◆◆◆


《不来方城下》


「何故、不来方の城代代理補佐(居てもいなくても良い)のお前が、ここに居る?」


【石亀政頼】 「親父が北殿に付いて内政を学べと。」


「まあ、役立たずの貴様にメシの種の一つでも仕込みたいのだろう。」


【爺】 「若、心の声がダダ漏れですぞ。」


「おっと、如何いかん、まあ信房じいさんの親心だと思ってしっかりやれ。」


【政頼】 「何気なくかなり非道いね、君は。」


「ハッハッハ、さらばだ。」


しかし奴はあんな所で何をしてるんだ?あとでヤンデレに聞いてみよ。


◆◆◆


《不来方城下 石川屋敷》


一関攻略の人事関係で高信殿を尋ねてきたのだが。


【亀九郎】「あけましておめでとうございます。」


いたよ、未来の信直。


「おめでとう亀九郎殿、親父殿はどちらかな?あとこれ手土産の牛肉の味噌漬けだ。」


「味噌漬け?」


「うむ、焼いて飯と一緒に食べるとうまいぞ。」


「それは、ありがたくいただきます、親父は広間で宴会です。」


「まあ、正月だしいいかな……酒など飲めんし出直すか。」


「時間があるときにでも、上方の話を聞かせて下さい。」


「ああ、また今度な。」


後継候補その一か初めて会ったが、ヤンデレが好きそうな美少年でした。ブルブルなんか悪寒がする考えたら負けな気がする。


そういえば、九戸でその二に会ったことがないな。暇だし行ってみるか。


◆◆◆


《不来方城下 九戸屋敷》


「あけましておめでとう、政実殿。」


「おめでとう、政栄クン……いきなりここで餅を食べている事に違和感を感じなくなってしまったよ。」


「うむ、これは手土産の牛肉の味噌漬けだ、高級な贈答品(自称)らしいさっそくこの小型七輪で焼いて食べよう。」


「ほう、高級品かい、悪いねえでは早速……この小さな竃は自作したのかい?」


「耐火煉瓦を焼くときついでに作ってみた、炬燵こたつで熱々の物が食べられる。」


「君はマメだねえ、どれどれ、おお!うまい!これは良いねえ。」


「八戸領の特産で薬食として売り出す予定だ、脚気にもいいぞ。」


「脚気の薬にもなるのかい?いくらでも出すから売ってくれ。」


クックック釣れた!


「政実殿、友情価格でお安くしておくから(暴利)いつでも言ってくれ。」


「おお、ありがたい!家内はなぜか脚気が多くてね。」


白米ばっか食ってるからだよ金持ちめ。豚肉のほうが効くんだがこいつら豚肉食べなさそうだし。


「所で話は変わるんだが、弟さんが元服だろう。」


「ん、実親のことかな、晴政様の次女と婚約が決まってね、親父殿と晴政様の所に挨拶に行ってるよ。」


「そうか、年も近いし会ってみたかったんだが。」


「正月三日の朝に寒稽古するから、参加すれば会えるよ。」


うん、また今度でいいや。


◆◆◆


ちなみに、晴政公の長女は亀九郎と婚約しています、こちらは元服前です。


◆◆◆


正月三日 早朝 《不来方付近 北上川近くの演習場》


なぜ?起きたらここに?


【政実】 「おはよう、政栄クン約束通り寒稽古だよ、寝ていたのでそのまま連れてきたよ。」


約束してないし、全く気づかなかったぞ、テレビのADか貴様ら。


【爺】 「若お召し物を。」


爺、せめて起こせ。

まあ良い折角きたんだ、なにか収穫していかんとな。


「ところで爺、なぜに鎧装束なのだ?あとこの黒で統一してあるのはなぜだ。」


【爺】 「噂の黒軍師のお披露目ですからな、目が隠れる兜も用意しております。」


………じじいの仕業か、三陸に行ったと思って油断した。


「一応聞いておこう、替えの着物は?」


「持って来ておりませぬ。」


「だろうな。」


くそ、斎藤衆もグルだったか、くっ約束とはそう言うことか。


「まあ良い、お祭りみたいなものと割切るか。どうせ寒稽古という名の武道大会みたいなものだしな。」


◆◆◆


「なる程、貴様の仕事は場所取りか、新人の恒例みたいなものか。」


【政頼】 「そう思ったなら、なにか差し入れしてよ、結構寒いんだよ。」


「そうか、酒は怒られたらまずいな……甘酒ならいいか、そうだ爺、甘酒の作り置きがあったな八戸領の酒と一緒に出店を出すとしようか。」


【爺】 「既に、手配済みです。」


「仕事が早いな、政頼殿あとで熱々の甘酒を届けるから我慢して場所取りしてくれ。」


「早めに頼むよ。」


寒稽古というか稽古総見になってるな。場所取りをするとは。


まあ、娯楽が少ないこの時代ならではってやつかな。


◆◆◆


「ふむ、しかし腕試しというか、なんだこの熱気は?」


【爺】 「若、御自覚下さい、羽後、陸中と南部が侵攻したからです。」


「そうか、浪人の売り込みか、だから射的や流鏑馬が多いのか。」


「良い騎馬武者はどの家もほしいですからな。」


「ふーん。」


【爺】 「ふーんって、集めないのですか?」


「うちは騎馬隊だけに頼らないからね、金もないし。」


爺 ………南部でも飛び抜けた資産をもっておいででは?


「では、九戸を冷やかしにいくとするか。」


◆◆◆






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