新年会(1554) 南部首脳会議 前半
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三陸の押さえとして派遣されているじじい(新田盛政)の代わりに不来方の新年会に出席と成ったわけだが。
早速捕まりました。(泣)
【政栄】 「いつから不来方の城代になったんだよ。」
【北信愛】 「三戸の収穫が終わってから引き継ぎをしてで、この間やっとですかね。」
二ヶ月で本家の雑務を引き継いだのか、パねえっす、相変わらず内政値の高いヤンデレだぜ。
「で、不来方のじいさん(石亀信房)は?」
「横手で城の普請奉行をしてますよ。」
ほう、また適確な所に誰の発案だろ。
「誰が具申したんだ?」
「九戸からですね。守りに適した土地だと聞いています。」
なる程、愛姫か俺もあそこは目を付けてたんだがな、最上の動きがないから優先順位が低くなってたが、安東領には死活だったか。
「ちょっと足りないな、不来方から街道も整備した方が良いと思う。」
「ふむふむ、ですが早くて春からですね、冬は峠越えは厳しいですから。」
「街道を広くしておくだけでいいさ、物資は馬に橇を引かせれば良い。」
「橇ですか、なる程、まあ考えておきましょう。」
冬場厳しいのは承知の上、人手の無理が利くのは春まで、道を広げるだけで効果はあるだろ。
「それで、信愛殿は不来方近辺を統括するのか?」
「内政だけですかね、軍の運用は(石川)高信殿がまとめて指揮していますね。」
ふーん本家は不来方近辺に移る気かな?、まあ小競り合いは来年の秋位までなさそうだし、あちらさんも侵攻の準備も有るだろうから来秋まで戦はもう無いだろ。おっさんも不来方に隠ってくれているし、これで後継ぎができれば、なおよしなんだがな。
【政栄】 「ところで、今本家の食糧関連の石高はいくらなんだ?」
「唐突ですね、米が五万八千石、その他が二十万石位ですね、米相当に直すとかなり低くなりますが。」
「餓死者が出るよりいいだろ四万は貯められるかな?」
「兵糧の話でしたか、二年で十万は超える予定です。」
「あー、聞いてたのね。」
「新年会の後で詳細を聞くと、晴政様から呼び出しがありますよ、私と高信殿も参加します。」
南部首脳会議になったか……ん?九戸がいないな?
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楽しい?新年会も終わり、帰りたいな~
《不来方城下 晴政の屋敷》
少し狭めの部屋に車座で座る四人。
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石川高信(南部高信、田子高信とも)
晴政時代の南部の要石、石川城を守り津軽地方の要となった人物、守将の印象が大きいが安東愛季を破るなどの武勲を上げている、津軽為信に殺された説もあるが、家督を譲り現役を退いてからの事で、生涯北東北でほぼ負け無しなのに評価は低い。津軽だと敵役のためか? 奴のせいだな。
晴政の兄という説もあるが、小説では叔父で石亀信房と兄弟の説でいきます。
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【高信】 「揃ったようじゃな、ほれ、政栄始めんかい。」
やりにくい、じいさんだな。
「では、改めて一関砦の攻略会議を始めます。」
「まずは、砦の攻略から行きます。」
「砦の正門前に麻袋を使って嚢砂の計を使い川幅を狭くして加工した杉の柱で橋をかける、取りあえずこれが時間的にも早く、川を堰き止めない安全なやり方と思われます。」
「正門までの道ができたら、木砲を持って門を破壊、三ノ丸から順に制圧していきます。」
【信愛】 「木砲とは?」
「木砲は、上方で使われ出した種子島を大型で木製にしたものですかね、まあ、一発撃ってお終いの使い捨ての武器なんですがね。」
【高信】 「その武器は堺で仕入れてきたのか?」
「まあ武器なんですが、これは帰り際、田中殿から硝石を少し分けてもらいまして、それを元に八戸領で作りました。」
【晴政】 「木砲とやらは、大量に作れるのか?」
「火薬の量に限りが有るため四発が限度ですね。」
【高信】 「門を壊してお終いか。」
「硝石を仕入れる事が出来れば作れますけどね……まあその……。」
【信愛】 「高価であると。」
「まあ、そうです。」
【高信】 「虎の子だが、それを“ここぞ”で使うわけだな、うんうん納得だぞ。」
「では次に一ノ丸、二ノ丸、の攻略ですが……この話は道具を揃えて訓練してからですかね?、無理と判断した時……最悪木砲で強行突破する方向で考えています。」
【高信】 「それなんじゃが、坊は九戸を使うつもりじゃな。」
「ええ、あそこは精鋭揃いですから。」
ええ、楽極まりないですから。
【高信】 「すまんがのう、九戸ばかりに功が偏るのは不味いから、違う領の兵でやって貰えんか。」
……アホは、言いくるめるのが簡単で良いんだが、そういう事情で来られると………そうか、なる程九戸を呼ばない訳だな。
「どこか、適当な所は?」
流石に弱兵の所は駄目だぞ。
「しばらく大浦の所が功を上げとらん、あそこでどうだ。」
じいさんマジか……悪気が無いだけにタチが悪いな……




